想ひ出の球鳴 by きんぐ(安威川敏樹)
歳はとりたくないもんだ。
年々、物忘れがひどくなる。夕べ食った晩メシのオカズすら思い出せない。
このたび、僕はこの「ぼーる通信」で執筆することになった。というのも編集長のMB Da Kiddさんが、安威川さん独特の視点からぜひ記憶に残る野球についてエピソードを書いていただきたい、と言われたからだ。
たしかに僕は子供の頃から野球を見てきた。だからといって僕に専門的知識があるわけではない。
だがMBさんは「想ひ出の球鳴」というタイトルを提示した上で、僕に、ぜひ書いていただけないだろうか、と依頼してきたのだ。
「想ひ出の球鳴」か。いいタイトルじゃないか。これなら面白いものが書けるかも。そこでそう考えた僕は、この話を引き受けることにした。
「球鳴」なんて言葉は日本語にはないが、球が鳴る、音は野球における最大の魅力ではないか。
夕べの晩メシは覚えていなくても、子供の頃に見た野球の風景は鮮明に憶えている。MBさんは、そろそろオジサンの年代に差し掛かってきた僕がしっかりと抱えている”想ひ出”というやつを僕自身の言葉で紹介することに、期待をしているに違いない。
しかしその申し出は、僕自身の年齢を感じさせた。正直、ちょっとさみしい。
ホント、歳はとりたくないもんだ。
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