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    第16回 「San Jose Sharksとは:NHLチーム組織の一例」



     第16回 「San Jose Sharksとは:NHLチーム組織の一例」


     みなさま、今日もBay Areaからこんにちわ。
     ちょっと前に、アリーナとホッケー・チームの話をしましたが、それじゃぁ、Bay Areaのホッケー・チームはどうなってるの?ということで、San Jose Sharksの正体の話です。
     試合をいつも見ていて、選手の名前もバッチリ覚えていても、意外とその後ろにある組織のことは知らないものですよね?ですので今回はこのことを取り上げてみようと思います。


     現在のSharksのオーナーは、San Jose Sports and Entertainment Enterprises(SJSEE)という名称のグループです。
     2002年のシーズン中に、数人の個人オーナーの集まりから、SharksのプレジデントとCEOを担当しているGreg Jamison率いるSJSEEに変わりました。SJSEEは、7人の個人と1つのグループからなっており、Bay Areaのベンチャー投資家から企業の創設者や重役、元市長、ドイツIT企業の創設者などが名を連ねています。それぞれの経歴を見ると、流石ハイテク企業のメッカ、シリコン・バレーにあるチームと思わせます。


     ところで、SJSEEが所有しているはホッケー・チームだけではありません。NHLのチームSan Jose Sharks以外にもいくつか持っています。
     Sharksのトップ・ファームで、AHL(American Hockey League)に所属のWorcester Sharks。Sharksがホームとして使用しているSan Jose市所有のアリーナHP Pavilionの運営会社、HP Pavilion at San Jose Management。Sharksのビジネス面や他のスポーツ・チームやイベントの運営を行っているSilicon Valley Sports & Entertainment(SVS&E)という会社。近隣のFremont市にあるSharks Ice at Fremontという一般公開のアイス・リンクです。
     マイナー・リーグのチームも所有してしまうというのは、MLBではなかなか考えられないものです。日本のプロ野球ではではむしろ、そちらの方が一般的なのですけれども。
     ということでこの会社は、Sports and Entertainment Enterprisesという名が示すとおり、スポーツとエンターテーメントの多くのものを持っています。


     SJSEEが持っているもので一番興味深いのがビジネス面を担当するSilicon Valley Sports & Entertainment(SVS&E)です。
    何を行っているかと言うと、プロ・チームの運営は、NHLのSan Jose Sharks、AHLのWorcester Sharks、そして同じアリーナを使用している室内ラクロス・チームのSan Jose Stealthの3チーム。スポーツ・イベントの運営は、やぱりHP Pavilionで行うテニスのトーナメントのSAP OpenとボクシングのFight Night at the Tank、そのほかに単発のスポーツイベントもいくつかあります。さらに、出版を担当しているSVS&E Publishingと商品開発やマーケティングを担当するSVS&E Merchandiseがあります。それぞれ、Sharks以外のプロ・スポーツや大学スポーツなどの出版や商品開発などを請け負っています。
     また、Bay AreaのNFLの両チーム、Oakland Raiders とSan Francisco 49ersのプログラムをNHLのチームが作っているのは、なかなか面白い事実です。


     それから、チーム運営以外も行っているという点から、SharksのCEOでオーナー・グループの代表も勤めるGreg Jamisonは、ここ数年つねにBay Areaのスポーツ界で影響のあるトップ5に選ばれています。Bay Areaの6チームあるメジャーなプロ・チームのオーナーの中では4番目です。これは視聴率や観客動員などの人気をあらわす指標の順番とはちょっと違います。


     また最近、SharksがNBAのチームを欲しがっているというニュースが流れました。San Joseのアリーナは、建設当初からNBAのチームを欲しておりGolden State Warriorsと交渉を進めていたのですが、設備面での不満から合意に至らず現在のように、1つのマーケットで別々のアリーナを利用しています。
     というのも、アリーナの日程をどのように埋めるかが運営者の頭の悩みだからです。年間40試合が決まっているNBAやNHLのチームがテナントとして入ることは大変ありがたいのです。ということで、アリーナでは常にこの手の話は持ち上がるものです。
     そして今回は、所有者が別にいると話がまとまり難いので、Sharksは自分でNBAのチームを持ってしまおうという作戦のようです。Seattle SuperSonicsが移転売却を考えているというニュースがこれに絡んでます。また、もしNBAのチームがテナントとして入るのなら、アリーナの改築費などがアリーナの所有者のSan Jose市から出るという話も後ろにはあります。さらに、SJSEEがより多くのスポーツを持つなら、今流行の、TVチャンネルを独自に持つということも可能かもしれません。どうなることかちょっと気になる話です。


     ということで今回は、ホッケー・チームはアリーナ運営も兼ねているところが多く、そのために多岐にわたるスポーツ・ビジネスを行っていて、Sharksも例外ではないというお話でした。


    <おまけ>
     NHLのチームでどこが一番いろんなことをしているか?
     前回紹介したアンシャッツ・エンタテインメント・グループ(AEG)のLos Angeles Kingsも手広いですが、昨シーズンから独自のスポーツ・ネットワーク(ケーブルTVチャンネルとウェブ・サイト)がはじまったColorado AvalancheのKroenke Sports Enterpriseもあげておきます。
     Wal-Mart一族の一人を奥さんに持つビジネスマンStanley Kroenkeに率いられるKroenke Sports Enterpriseは、Colorado Avalanche(NHL)、Denver Nuggets(NBA)、St. Louis Rams(NFL)、 Colorado Rapids(MLS)などのプロ・チーム、Pepsi Center、Rapids Soccer Stadiumなどのスポーツ施設、そしてDenverの地域にあるプロスポーツのほとんどのTV放送をColoradoの周りの9つの州にも届けるAltitude Sports and Entertainmentを所有しています。


    <リンク>
    San Jose Sharks
    Altitude Sports and Entertainment

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