ホットタイガース by じん

    第6回 2002シーズン、セ・パ両リーグ優勝決定

    第7回 2002シーズン終了

    第8回 2002シーズンオフ、タイガースの外国人選手去就

    第9回 2002シーズンオフのFA

    第10回 キャンプ、2003シーズンに向けて



     第6回 2002シーズン、セ・パ両リーグ優勝決定


    ついにセ、パ両リーグの優勝が決まりました。
     パ・リーグはライオンズ。本当に攻守とも隙がないというか、強いなぁという印象でした。
     それでも、優勝決定はさすがに普段とは違うのか、ほんのちょっと足踏みしていましたね。マジックが1になって、それまでの試合運びから、すぐにでも優勝決まるやろ、と思ったのですが、こういう試合には滅法強いマリーンズに負けて優勝はお預けになりました。ちょうど、通勤途中に西友があるのですが、帰り道で垂れ幕が中途半端な状態で掛かっているのを目撃しました。レオのマンガが描かれている部分だけが見えている状態だったのですが、おそらく優勝決定の瞬間に上げようと準備していたんでしょう。
     翌日も出勤だったので帰りに見たのですが、まだ上がってませんでした。デーゲームでライオンズが負けたのは知っていたので、「またホークスが意地見せたのかな?」くらいの感じで帰宅してテレビをつけると、まだホークス、試合しているではないですか。しかも1−1の同点の延長で、ファイターズがサヨナラの大チャンスという場面。この場面を見事に抑えたホークスは、結局引き分けでライオンズ優勝が決まったわけなのですが、ライオンズと対戦したマリーンズも、そしてホークスも、「最後の意地を見せた」と感じました。

     一方のセ・リーグ。スワローズがまさかの3タテをジャイアンツに食らって、マジック2で甲子園にジャイアンツを迎え撃つという展開になってしまいました。それでも、ファンとしては(もちろん選手たちもそうでしょうが)目の前で胴上げは見たくありません。何とか意地を見せて欲しい、胴上げされるにせよ、最後の最後までジャイアンツを苦しめて欲しいという思いで望んだ3連戦が始まりました。

     昨年も1つ負けたらスワローズの胴上げという3連戦で2勝1分と「奇跡的に」負けることなく意地を見せてくれたタイガースに、是非とも、その再現を期待したいと思っていましたが、初戦は、残念ながら完全に力負け、松井の2発にやられました。序盤の先制のチャンスをモノにできていれば展開も変わったのでしょうが、ジャイアンツの攻守、堅守にも阻まれてしまいましたね。完全にジャイアンツの引きたて役でした。
     それでも、この日はスワローズもナゴヤで勝ち、優勝決定ならず。タイガースとしては、もう1試合リベンジのチャンスが与えられたんだなと感じました。

     そして迎えた第2戦は、本当に凄い展開になりました。途中でスワローズの負けが決まり、ジャイアンツの優勝が決定しても、そんなこととはもう別次元で両者が激突していました。特に9回、どちらかといえば、もう胴上げモードに入っていた試合を一振りで振り出しに戻した濱中の一発は鳥肌ものでした。濱中は、どちらかといえば、ちょっとひ弱い感じがしていたのですが、故障欠場前に4番に座った頃から、何か一皮むけたかなという印象がありました。そういうときの怪我だっただけに非常に残念だったのですが、この土壇場での復帰で、これ以上ない結果を出してくれました。何より、この特別な試合で結果を残すことができたことは、今後さらに大きな財産となってくれることだと思います。
     また、それは濱中一人に限ったことではないはずです。この試合での経験が、将来、今度は逆の立場に立ったとき(!)に、絶対に糧になってくれるはず。それだけの価値のある試合内容だったんじゃないでしょうか。



     第7回 2002シーズン終了


     全日程が終了しました。66勝70敗4分。近年は20以上の借金は当たり前みたいな状態だっただけに、よくやったな、ちょっとだけステップアップしたかなという印象の方が強いですね。終盤になって負けが混んできたときには二ケタ借金にならなきゃ上出来と思った時期もあったのですが、最後の3連勝で、借金4に収まりました。引き分け4ということを考えれば、思ってたほど5割に遠いわけでもありませんでしたね。

     もちろん、開幕7連勝を含む序盤の調子を考えれば、この成績は物足りないものかもしれません。実際に、普通にやっていれば5割はキープできると思ってましたから。6月以降の失速は、そりゃもったいなかったですね。変則日程やら、怪我人続出という要因があったにせよ、結局そこで力を出し切れなかったわけですから、それが実力ということでしょう。手応えを感じる一方で、課題も明確になった一年だったんじゃないでしょうか。

     ファームは日本一を決めましたね。この試合、生中継を見ていたのですが、昨年のファーム日本選手権の内容は期待を大きく裏切られた結果だっただけに、試合前の岡田二軍監督のインタビューよろしくライオンズ相手に倍以上のお返しをしてくれました。喜田や藤原といった新人が結果を残したのも、嬉しかったですね。
     あとは、この二軍の若手メンバーが順調に一軍で力を発揮してくれるようになってくれれば、さらに来季に希望も持てるんですが・・・。タイガースの場合、特に最近は、一軍にすんなり定着できる選手がいないという印象が強くて。(^^;
     二軍では相手を見下したような感じで打ちまくってるのに、一軍では結果が出なくて、ニ軍に舞い戻ってしまうというパターンですね。濱中にしても、数年前から一軍定着できる力はつけていたはずだと思っているのですが、何とか形になりだしたのは、ようやく去年からです。いまひとつ定着できない選手が多すぎて、二軍の強さが、そのまま一軍に返ってきていないんですよ。二軍の強さほど、若手は育っていないという批判(ベテラン使いすぎとか)も聞くのですが、それなりに若手も出てきてるんですよ、二軍レベルではね。一軍で力を発揮できないから、そう言われるんだろうし、また一軍の戦力に跳ね返ってこない。精神的なものなのか、それとも技術的に「二軍+」くらいの選手しかいないのか。高波なんか、典型ですよね。二軍の選手権であれだけ打てるのに、一軍では全く打てるような気がしない・・・。

     今年のオフも戦力補強の話がいろいろと出ていますが、結局のところ、外からの補強と今いる選手のレベルアップが噛み合わないことには、「優勝」という声も身近なものにはならないのは、今年のジャイアンツを見ていても明らかです。外からの補強は相手もいることなので、結局のところどうなるかわかりません。今できること、来年になって今年以上の成績をあげるために確実な方法は、現有戦力のレベルアップしかありません。ファームの試合を見ていても、少なくとも人材がいないということはないでしょうし、個々の選手に対する期待感もあります。星野監督は、シーズン終了のセレモニーで「明日から来シーズンが始まる」と言っていました。まさにその通り。今年は怪我人の続出が失速の一因になりましたが、これは逆に言えば、チャンスを与えられた控えレベルの選手、若手の選手の力が足りなかったことを意味しています。何人の選手が「一軍レベル」までレベルアップできるかどうかが、ポイントになりますね。

     最後になりましたが、シーズン最終戦で、星野、遠山、伊藤、葛西の引退セレモニーがありました。特に星野、遠山は、今日の試合の最初と最後をそれぞれ「3球三振」で締めてくれました。(あの雰囲気の中、ドラゴンズの選手もやりにくかったでしょうが・・・)
     個人的には最後に星野に1勝を、遠山にセーブを・・・みたいな都合のいいシナリオを考えていたのですが、2人にとっては今日の展開でも全く問題なかったでしょうね。星野の先頭打者のみというのは別にして、最後の遠山の登板も、今日の試合展開が後押ししてくれていたように思います。本当に感慨深い最終戦でした。4人には、本当に楽しませてもらいました。本当にご苦労様でした・・・ですね。
     また、4人以外にも、残念ながら「戦力外通告」という形でタイガースを退団する選手が何名もいます。おそらく、これからも数名出るとは思うのですが、各選手とも、タイガースファンにとっては思い入れがある選手です。他球団で現役続行するにせよ、また引退するにせよ、本当にありがとうと言いたいです。



     第8回 2002シーズンオフ、タイガースの外国人選手去就


     シーズンオフ、例年以上に、タイガースの補強活動が活発ですね。
     今回はその中でも、外国人投手絡みの話題です。

     ウィリアムス投手の獲得に伴い、バルデスが解雇となってしまいました。バルデスは成績もさる事ながら、そのキャラクターもあって、今年のタイガースを盛り上げてくれた選手の一人です。何故解雇?という気持ちはどうしてもあります。
     でも、個人的にはこれで良かったのかも、と感じています。今年はハンセルとカーライルの存在があっただけに、特に強くそれを感じます。

     外人選手の場合、厳然としてあるのは外国人枠の問題です。いくらいい選手をたくさん擁していても、所詮、試合(もちろん一軍)にでれるのは4人です。
     今年のタイガースは、その4人の枠に対して投手、打者7人の競争でした。投手に関しては、ハンセル、カーライルは十分に戦力になると予想していただけに、この外国人枠をどう使っていくのか、という点は非常に興味深いところでした。
     バルデスはストッパーに使うと決まってたような感じでしたから、ムーア次第とは言え、登録抹消を繰り返して、うまくやりくりして使っていくのかなぁと予想していました。
     ただ、この「やりくり」は、過去にも戦略として語られることがありましたが、それが現実になったことがありません。
     現実には、登録抹消してから再登録までの10日という間隔が問題です。10日おきに、入れ替えた投手が結果を出し続けていけば、どんどん先発−入れ替えのパターンを繰り返すことができます。でも、実際には、登板間隔が空いてコンディションが維持できなかったりして、1年間を考えればうまく回るはずがないのです。あくまでも、やっているのは人間ですから。
     それなら、ある程度のローテーションの中で調子のいい投手を使っていく方が結果は出るでしょう。それでも、調子が落ちた、もしくは怪我をした時点で入れ替えしたとして、上がってきた外国人選手が調子がいいとは限りません。むしろ、いつ来るかわからない出番を待ちながらの調整、モチベーション的にも厳しいものがあるのは容易に想像できます。
     案の定、カーライルがムーア故障の際に一軍に上がってきましたが、結果を残すことができませんでした。

     今回の件は、ウィリアムスとバルデスを比較して、ウィリアムスを獲るという判断で起きたこと。その判断の正否の結論は、もちろん来季にならなければわからないことなのですが、現時点での判断としては正しかったと言わざるを得ないでしょう。

     仮定の話は意味がないのですが、ウィリアムスが残念ながら力を発揮できなかったときに、やはり「バルデスを置いておけば・・・」という批判が出てきそうです。ただ、「外国人選手の代わりは外国人」という発想をそろそろ変える必要があるんじゃないかと思います。そう、来年は外国人選手の代わりは日本人選手でまかないましょう。もちろん、ウィリアムスにはバルデス以上の活躍を期待していますが。

     バルデスがドラゴンズに行きそうだというのも批判の種になりそうですが、それもいいじゃないですか。おそらく、ドラゴンズに行ってもある程度の結果を残すでしょう。タイガースも痛い目にあうことがあるに違いありません。でも、その対戦を通してお互いにレベルアップしていけば、いいだけです。敵に回るとやられるからとか、解雇したのはもったいないという批判に対しては、もうそんな小さなことはどうでもいいよという感じです。実力があるのに一軍の試合に出れないタイガースのバルデスよりも、敵ではあってもドラゴンズで活躍するバルデス、そしてそのバルデスに相対するタイガース打線を見れる方が絶対にいいなと思います。来季の楽しみがまた1つ増えたと言うことです。



     第9回 2002シーズンオフのFA


     今回はやはりFAのお話ですね。
     今年も、この話題で年末まで引っ張られてしまいました。一昨年の新庄、昨年の田口に続き、3年連続です。おかげで、最近オフがすごく短く感じます。
     まぁ、引っ張られたとは書きましたが、個人的には別にいつ決まろうが構いませんでした。ルールとして1月末までの交渉期間というのが決められているわけですから、周りがどれだけ騒ごうが、最終的な決定権は選手にあるというのは当然の話です。

     FAで行き先の決定が長引くと、どうしてもマスコミやファンといった外野がワイワイ言い出しますが、個人的に言わせてもらえれば、これがまた「どうでもいいやん」という反応が多いです。
     仕方がない部分はあるんですけどね。マスコミは、この野球ネタが枯渇するシーズンオフに何とか売れる話題で引っ張らなければいけない。適当なことでも大袈裟に報道して、これまたファンを煽る結果になるという悪循環です。
     契約更改の話題にしてもそうなのですが、こういう交渉事は実際問題として当事者にしか本当のところはわかりません。いくら関係者からのコメントや顔色から推測しても、建前から本音を推し量ることには限界がありますし、ましてや状況が日々変わって行くようなことがあれば、途中経過で(いかに売りたい一心とはいえ)「断定記事」を書く神経を疑います。正直、メジャーのサイトに載ったものを垂れ流しするようなマスコミに期待する方が間違ってるとは思うんですけどね。
     今年に関しては、松井にしろ、中村にしろ、当事者のコメント・裏付けがない時点で、「決定」ってやっていたのを見ながら、冷静にマズイだろと感じました。

     そういうスタンスに立つ身から言わせてもらうと、正直なところ、FA選手の動向に関しては結果にしか興味がないというのが本当のところなのです。中村の件についても、途中いろいろと推移しましたが、あくまでもマスコミを通した(一部誇張あるいは捏造?)記事でしか我々は知ることができません。そんなもので、いちいち一喜一憂するのもアホらしいし、結果は時期が来れば必ず出るものですからね。
     来てくれれば面白いなとか、いろいろと妄想するのも楽しいですが、そこまででしょう。

     ただ、去就の決定が遅くなった選手に対して、ちょっと心配になる部分があります。
     実は、片岡を見ていて感じたのですが、去年の片岡はFAの問題を含め、いろいろな意味でそれどころではなかったような気がします。オフシーズンとは言え、ある程度のトレーニングをしていなければ、やはりキャンプインまでの1ヶ月という期間は短いように思いますし、仮に移籍ということになれば、環境が激変するわけですから、やはりデメリットになるんじゃないでしょうか。今年の片岡の不振の一因がここにあるような気がしてなりません。

     そういう意味で、しっかり代理人を決めて交渉をまかせた松井はともかく、来年の中村は心配ですね。救いは、環境が変わらないという点ですが、どうなるでしょう。
     速攻で決めてトレーニングに精を出している金本に関しては、この部分の心配はいらなさそうですが・・・。また、そういう意味でも、来年の片岡には期待しています。



     第10回 キャンプ、2003シーズンに向けて


     早いもので、もう今週末からキャンプが始まります。
     ここ数年、CS放送のスカイAでタイガースキャンプが連日放送されています。ただただ、バッティング練習やピッチング練習が流れるだけの番組ですが、家に居ながらにして選手の状態を見ることができるこの番組は、スポーツニュースでは伝えてもらえない選手の様子もわかり、非常に重宝しています。今年も時間の許す限り見ようと思っているのですが、唯一の難点は、他球団の様子に疎くなってしまうことですね。どうしても情報が偏ってしまい、冷静に戦力分析ができなかったりするわけです・・・。
     それでも、やっぱり見てしまうんですけどね。

     さて、キャンプの見所として、やはり新戦力がどんな感じなのかなぁというところにですね。特に今年は、かなり大幅に選手が入れ替わったので、それだけ楽しみも大きいです。

     ただ、今年の自由獲得枠での入団となった杉山、江草といったところがキャンプニ軍スタートとのこと。過去を振りかえれば、どうしてもこうした「即戦力」の選手に対しては、チームはもちろんのこと、ファンやマスコミまでが救世主的期待を課してしまっていました。
     期待をかけられた選手も多少の無理はしてしまっていたでしょう。象徴的なのは一昨年の藤田や、去年の安藤。キャンプでの投球練習を見てても、確かに光るものを見せてくれただけに、期待も膨らみました。特に一昨年のキャンプ中継は藤田一色って感じでしたからね。でも、結局2人とも怪我で満足いく結果を残すことができませんでした。元々、故障を持っていた選手だっただけに、あのキャンプでの「過剰な期待」が裏目に出てしまった感は否めません・・・チーム事情もあり仕方ない部分があったんですが。
     そういう意味で、今年の杉山、江草の二軍スタートは本人達にとっては残念なんでしょうが、じっくりと地力をつけることができるという意味で、ここ数年のタイガースの新人としては、逆に恵まれたスタートになるのではないでしょうか。即戦力と言っても、今年限定の戦力ではなく、これから何年間にも渡って活躍してもらわなければいけないわけですからね。
     また、それが可能になるくらいの戦力が整ってきたということなら、非常に心強いところです。

     新戦力以外にも、今年はレギュラー争いが面白そうです。数年前には考えられませんでした。レギュラーの9人の名前を挙げることすら難しかった時期がありましたからね。
     今までに比べればハイレベルな争いが期待できるのですが、唯一ショートは心配です。ここだけは去年の今頃とあまり状況が変わっていないというのが実情でしょう。
     このポジションは久慈がドラゴンズへ移ってから、特にレギュラー不在という状態が続いています。チャンスを掴みそうになっても怪我や力不足で掴みきれないという選手が多いポジションとも言えます。
     個人的には的場辺りが台頭してくれれば面白いのになぁと思うのですが、彼の場合は怪我で二軍ですら片鱗を見せてくれてません。
     復帰した久慈が一歩抜けていると言われるのも、ちょっと寂しい状況なのではないかと思うんですよ。そういう意味で、ショート候補として名前が挙げられている選手たちには一層の奮起を期待したいわけです。

     いずれにせよ、ショート候補の選手に限らず、オフの戦力補強を活かすも殺すも、去年までいた選手たちのレベルアップがあってこそだと思います。今年のキャンプは、新戦力だけではなく、その辺りをじっくり見てみたいですね。


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