ホットタイガース by じん

    第11回 2003シーズン、オープン戦展望

    第12回 『メジャーリーグ』と『ミスタールーキー』

    第13回 2003シーズン、4/11のジャイアンツ戦

    第14回 2003シーズン、開幕して2ヶ月

    第15回 2003シーズン、タイガースは失速するのか??



     第11回 2003シーズン、オープン戦展望


     いよいよオープン戦が始まりました。今年は、宜野座、安芸と中盤でキャンプ地が変わったこともあって、この1ヶ月が例年以上に短く感じられました。選手にとっても、ある意味メリハリがついて良かったんじゃないでしょうか。

     オープン戦初戦は、ライオンズとの対戦。安芸と春野での「交流戦」は毎年恒例なのですが、今年は安芸の試合だけのようです。来年からはライオンズが春野のキャンプを撤退するということで、この恒例行事ももう無くなってしまうんでしょうね。ここ数年は、「キャンプの締めはライオンズ戦」という感じで捉えていただけに、ちょっと寂しいものがあります。
     特に安芸と春野、それぞれのキャンプ地に対しての感謝の意を込めた試合と位置付けられる対戦だっただけに、今年に限っても安芸だけというのはちょっと残念な気がします。安芸ではタイガースが、そして春野ではライオンズが、先発メンバーとして、その時点のベストメンバーで臨むという意味でも、キャンプの仕上がり具合を見るには絶好の試合だったんですけどね。

     で、これからのオープン戦は、シーズンに向けた本格的な戦いになります。
     オープン戦、勝敗は関係ないと言いつつ、やはり勝ってくれることに越したことはありません。まぁ、「タイガースはオープン戦だけ」と揶揄されることもあったわけですが、去年の公式戦のことを思い起こすと、星野監督の言うところの「オープン戦でも勝ちにこだわる」という考え方は、このチームに「戦う姿勢」を植え付ける意味でも重要なことなのではないかなと感じています。

     これまでも確かにオープン戦では結構勝ってる年は多かったです。ただ、そこには、ひたすら「負け犬根性を払拭する」という意味合いしかありませんでした。結果として勝っているだけで、本当に必要な「勝つことへの執着」は感じられませんでした。勝ってもオープン戦、負けてもオープン戦という意識がどこかにあったように感じます。
     それが見た目で変わってきたのは、去年のオープン戦の中盤辺りからでしょうか。どんな状態でも、そしてどんなメンバーでも最後まで試合を諦めないという意識で戦うことの意味は、予想以上に大きいのではないかと感じ始めてきたのも、その時期でした。その意識は、単にオープン戦だけに留まらず、それこそきっちりとシーズンに繋がっていったのが去年だったんじゃないでしょうか。

     オープン戦は、チーム内での主力、控えの仕上がり状態だけではなく、相手チームの仕上がりも当然違います。しかし、考えてみれば、それは公式戦の要所でも同じこと。もちろん、そのレベルや意識は、オープン戦と公式戦では格段に違うでしょうが、どんな状況下にあっても勝とう、勝ちたいという意識は、きっと公式戦の苦しい時期に活きてくると思います。
     去年は6月以降、怪我人続出もあって失速してしまいました。後から考えれば、失速の理由の1つとして怪我人続出が挙げられますが、その当時、チームには決して負けることを容認する雰囲気は感じられませんでした。結果として、実力が伴わず、勝てなくなってしまいましたが、少なくとも意識の上で、一昨年までとは雲泥の差であったと感じさせてくれたように思います。

     

     去年同様に「勝ちへのこだわり」をどれくらい見せてくれるかが、今年のオープン戦でも楽しみです。



     第12回 『メジャーリーグ』と『ミスタールーキー』


     以前に『メジャーリーグ』という映画がありましたね。あの映画が封切りになってしばらくしてから、インディアンスが強豪チームへと変身を遂げた時期がありましたが、あの長嶋一茂が主演した『ミスター・ルーキー』は、同じ結果をタイガースにもたらしてくれるでしょうか?
     いよいよオープン戦も終わり、あとは開幕を待つのみということで、いまは仕事に精を出しています。個人的に超多忙モードになっていますが、これも、開幕3連戦を見たいがためなんです。なんとかして時間を作りたいんですが、仕事が...戦争も、気がついたら始まっていたという状態なんですけど、開幕3連戦だけは、どうしても見に行きたいです。

     さて、先日の夜、久しぶりに家に帰り、テレビをつけると、NHKのスポーツニュースで順位予想をやっていました。各局で毎年恒例で行われる年中行事(司会者が「秋になったら採点しましょう」と言うのもお約束)で、今年も、いつのまにか、そういう季節になったんだなぁ。
     この解説者の順位予想。ほとんどの予想が「前年の成績」を前提に解説者自身の「ファン心理」で語られることが多く、キャンプ、オープン戦を取材してきた解説者が、この時期に予想する意味合いそのものが全くないですよね。
     解説者の順位予想ほど公共の電波の無駄遣いとしか思えないというのが持論なのですが、いよいよ本番が近づいてきたということを実感できる風物詩と思えば、最近はあまり腹も立たなくなっているのは事実です。

     さて、昨日のNHKでの予想もそうだったんですが、雑誌等々を見ても、今年のタイガースは、どうやらジャイアンツの対抗馬ということで、かなり期待されているようです。もちろん、ファンとしても当然のことながら期待感はあるのですが、2年ほど前を考えると、本当にわずかの間に評価が豹変していて、隔世の感がありますね。
     もちろん、昨年の春先の躍進があり「怪我人がいなければ・・・」という言い訳(^^;)もあり、またそれなりの補強をしたということで、前述の解説者予想の法則からすると、それなりの理由もあるんでしょうけど。
     ただ、結構期待されたときにコケるのもタイガース・・・みたいなところも経験的に感じているだけに、何としても前評判通りの躍進を今年こそは見てみたいものですね。

     どちらにしても、あと1日!
     今年は秋まで楽しませてくれることを期待します!



     第13回 2003シーズン、4/11のジャイアンツ戦


     開幕からほぼ1ヶ月が経ちました。我がタイガース、なかなかいい感じのスタートがきれたのではないでしょうか。表現は適当ではないかもしれませんが、「普通に強いんじゃないか?」という雰囲気を感じさせてくれています。(まさに何年ぶりのことでしょう!)
     確かに、去年の開幕ダッシュに比べれば派手さはありません。選手個々の調子をみても、投打ともに全員が絶好調で勢いもあった去年に比べればモノ足りない感じがします。でも、それだけに結果として残った数字は地に足がついたものでしょうし、勢いだけで勝っているわけではないと思えるのです。もちろん、まだ1ヶ月も経っていないんですが・・・。

     さて、今月の試合の中でも、4月11日の試合の話題を避けて通ることはできませんね。今年初めてのジャイアンツとの対戦です。
     正直、9回で6点差。試合の流れもタイガースにあっただけに、一気に同点に追いつかれてしまうとは夢にも思ってもいませんでした。本当に負けなくて良かったというのが本音ですね。
     確かに9回表までの展開で勝てなかったのは痛かったです。いや、当然勝たなくてはいけない試合だったでしょう。ただ、冷静になって振りかえってみると、9回裏以降の流れの中で、負けなかったということも、また事実です。
     過去のジャイアンツとの対戦を考えれば、9回裏のあの攻撃の勢いは、まず確実に逆転サヨナラに続く流れでしたし、運よく延長に持ち込んだとしても、はっきり言ってその流れを堰き止めるのに精一杯で、いつ決壊するかを待つような試合はもう何試合も見てきましたからね。
     結局、再度同点に追いつかれてしまいましたが、一度はリードを奪ったというのも、ジャイアンツに向いていた流れの中で、最近のタイガースには考えられなかった展開でした。結局、そのリードも同点に追いつかれてしまったというのは、ジャイアンツに向いた流れを完全に止めることができなかったということかもしれません。

     しかし、この試合の流れを止め切ることはできませんでしたが、それでも負けなかったことが、3連戦というもう少し長いスパンでみたときに、ジャイアンツへ傾いていた流れを逆にタイガース側に引き込めたように感じました。だからこそ、2戦目、3戦目の連勝にも繋がったと思うのは、こじつけでしょうか。
     また、あの試合、あの展開があったからこそ、それ以降の試合に関しての、監督、選手の気合の入り方(特にリードした終盤)もより強くなっていっているように感じます。
     試合の中で流れがあるというのはよく言われることですし、また長年見ているとなんとなくわかるところがあるのですが、この3連戦では、さらに3試合というスパンで見たときにも流れがあるんじゃないかということを強く意識できた連戦でした。

     さらに言えば、長いシーズンの中での流れというものもあって、この3連戦がひとつのターニングポイントになっていくんじゃないかという予感がしています。



     第14回 2003シーズン、開幕して2ヶ月


     開幕して2ヶ月、気がつけば、貯金もいっぱいできました。何もかもがうまく行きすぎて怖いくらいです。
     振りかえってみると、甲子園での最初のジャイアンツ戦での3連勝が大きかったですね。あそこで、ちょこっと頭1つ飛び出たことで、後は2位集団が星の潰し合いという展開になりましたから。あれ以来、2位チームがことごとく負けてるんですよ。それほど大きな連勝もなかったはず(もちろん連敗もありませんでしたが)なのに、気がついたらゲーム差がついていたという感じがします。

     まぁ、これで安心と言えないところがタイガースファンの哀しいところ。マスコミには、そろそろ関西の盛り上がりぶりが報道されているんじゃないかと思うのですが、あれは本当に一部分を切り取っただけなんですよねぇ。
     あぁいう報道を通して見ると、それこそ今の時期にタイガースファンが浮かれているのは他チームのファンに人には理解しがたいとは思うのですが、浮かれているように思えて、多くのタイガースファンは深層心理の奥の方で「不安」を抱えて応援しているということは理解して欲しいですね。
     「優勝や!」と叫んでいながら、ほとんどのトラキチの本心は実はそこまでの確信は持っていないはずです。

     とは言え、今年の戦いぶりからして、やはり「いつもと違う」という実感は持っているのも事実でしょう。
     その最たるものは、今や今年のタイガースのキーワードともなっている「逆転勝利」。
     逆転勝ちというのは、結果的には爽快なのですが、試合中は気が気ではありません。やはり安心感があるのは先制してそのまま勝ち切ることでしょう。
     それでも、今年の試合を見ていると、多少リードを許しても、まだ安心できるケースがあります。ベンチも選手も慌てていないというのが雰囲気としてわかるというのが、非常に大きいのですが、終盤の逆転に向けて序盤から張った伏線が徐々に結実していく様が、実績を重ねる毎に確度を増しているような気がするからかもしれません。

     序盤から張った伏線には大きく言って2つあります。
     まずは守備面。とにかく、先発が点を取られても2〜3点くらいで抑えてゲームを作ること。去年までの打線なら、もうそれだけで負けパターンとなり空気も重くなっていましたが、終盤の逆転に向けて、リードされても挽回可能な範囲に抑えているというのが、逆転の条件になります。
     カープ戦であったような6点差を一気に逆転というような試合は、本当に稀にしかありません。基本はやはり最小失点に抑えること。一時期、先発陣が崩れた期間がありましたが、最近の試合では落ち着いた試合展開になってきたんじゃないかなと思います。

     第2のポイントは、やはり攻撃面。
     今年のタイガースのゲームを試合開始から見ているとわかると思うのですが、本当に各打者が粘れるようになってきました。例え凡退しても、ファールで何球も相手投手に投げさせています。例え投手が打者になっても、簡単に凡退するということが極端に少なくなったというのが実感です。
     さらには赤星や藤本に代表されるような足での撹乱。例え盗塁をしなくても、得点に繋がらなくても、相手投手や守備陣に神経を使わせる。
     これらの攻撃が、徐々に相手を消耗させてボディブローのように効いてきて、一気に終盤に捕まえるというパターンも、いまや当たり前の形になっています。

     こんな野球ができるようになったんだという隔世の感もあるのですが、贅沢を言うと、まだまだ地力というところには至っていないということも感じています。相手の先発投手を疲れさせても、中継ぎや抑えでいいピッチングをされれば、そうそう簡単に逆転なんてできるわけがありませんからね。
     ベイスターズやジャイアンツのように、リリーフ投手陣がイマイチ調子を上げていないチームだとうまくいくのですが、例えばドラゴンズのような強力なリリーフ陣がいるチーム相手だと、もう対戦成績が全てを現しているんではないかと思います。
     この辺りを克服できれば、本当に強くなったと胸を張って言ってもいいとは思うのですが、まだそこまで言うのは正直言うと気が引けるというのが、素直なところ。まだまだ安心できないタイガースファンの心理です・・・。



     第15回 2003シーズン、タイガースは失速するのか??


     去年のこともあり、一部には6月失速を心配(他チーム的には期待)する声がありました。
     いつも思うのですが、単純に考えて「去年が○○だから今年も・・・」という発想は変ですよね。毎年、毎年、状況が変わる中で、去年と全く同じことが起こるとは限りません。
     よくある話として、過去のデータを持ってきて優勝確率云々とか、何ゲーム差までは逆転した年があるとか、こういう状況になるとマスコミを中心に盛りあがってきます。可能性としてネタにする分には全く問題はないと思うのですが、それはそういうこともあったというレベルの話であって、今年は今年で新しいドラマを楽しめばいいと思います。
     確率的に言えば、全く同じことが起こることの方が少ないと思うし、全ての事象が絶対ということはありません。過去10回が10回とも同じ結果だったからと言って、次の11回目が同じ結果であるという保障があるわけではありません。それが野球の面白いところでもあるはずです。

     6月失速の話で、ここ数年、6月の勝ち越しがないということなのですが、6月以外で勝ち越したことが過去10年を振り返っても、どれだけあったというのでしょう?
     イメージで語るのはいいのですが、データを紐解けばその信憑性は感じられないし、それを今年に当てはめるのは、いかがなものかなぁと思うんですよね。
     こういう話は、データではなく暗示のような要素が強いんでしょう。「6月のポイント」として、こういう周囲の雑音に惑わされることなく、今年やってきたことを着実にこなして試合に挑めるかどうかという点を着目していましたが、見事に乗り越えてくれたようです。
     何とか6月は乗り切れましたから、今度の「外圧」はきっと「死のロード」になるんでしょうね。肉体的にはもちろんキツくなってくるでしょうが、ここまでの戦い方を見ていると、精神面においては十分に克服できる力強さを感じます。1つ1つの試合を着実にこなしてきたことで、選手たちに「本当の自信と実力」が身についていっているような手応えを感じます。
     それを支えるのがファンの後押しになるんじゃないかと思います。

     6/7に神宮へ応援に行ってきましたが、本当にタイガースファンが多かったですね。誇張ではなく、大方8割がタイガースファンだったと言っても過言ではないでしょう。
     ビジターであっても、あたかも甲子園で戦っているような雰囲気で、非常に戦いやすい雰囲気になってきていると思います。

     だからこそ、長良川の試合後の出来事については、非常に哀しいものを感じます。
     グラウンドへの乱入、乱闘などは言語道断なのですが、さらに催涙スプレーともなると、何しに球場に来ているんだって感じです。そういう「タイガースファンであること」を誤解して「何をしてもいい」と勘違いしている輩のために、純粋にタイガースを応援したいと思っているファンが球場に来れないという状況もあります。
     球場で傍若無人に振舞っている一部の人たちには、「タイガースを応援すること」の意味を考え直して欲しいと思っているんですよね。まぁ、そういう人たちに何を言っても通じないというのが、哀しいところなのですが。


     第16回〜はこちら


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