ホットタイガース by じん

    第41回 今季、はじめて神宮球場でタイガース2連勝を見ました

    第42回 タイガース優勝後の神宮3連戦

    第43回 2005年の日本シリーズ総括

    第44回 2005年のタイガースのドラフト

    第45回 2005シーズンの総括と外国人選手



     第41回 今季、はじめて神宮球場でタイガース2連勝を見ました


     セ・リーグは関東に3球団あって、一極集中で何かと物議を醸し出していますが、単純に関東に住んでいる地方球団(あえてそう言いますが)のファンとしては生観戦ができる機会がそれだけあるという意味ではありがたい状況になっています。将来的にどうなっていくかわかりませんし、プロ野球全体のことを考えれば地方に分散する形が本当はいいんでしょうが、とりあえず今の状況を享受させていただいています。
     今年は交流戦があったこともあって、関東在住の身として観戦できるタイガースの試合が例年より少なくなってしまいましたが、それでも、先週の土曜、日曜の神宮の試合で、遂に今季タイガース公式戦観戦が20試合を突破しました。
     もちろん遠征込みなのですが、振り返ってみると、過去の試合の勝敗の内訳は甲子園3勝3敗、ナゴヤドーム1勝0敗、東京ドーム4勝1敗、浜スタ4勝0敗と、他球場では、そこそこいい感じの勝率で気持ちよく応援できていました。ただ唯一、神宮が・・・・0勝3敗!あのゴールデンウィークの最も歯車のかみ合わなかった時期の試合ということだったということもありますし、タイガース自体、あのとき以来の神宮です。とにかく、神宮での勝ち試合が見たい!というわけで気合を入れていたんですが、前日はまさかの大敗だっただけに一抹の不安も・・・。

     開門から行こうと思ったのですが、あまりの暑さにめげて4時過ぎに神宮入り。とりあえず、ビールを買ったら売り子のお姉さんに「指定なのに早いですね」と言われてしまいました。やっぱり早いですか?

     この日の試合は2回に鳥谷のエラーで1点を先制されますが、杉山が本当に踏ん張ってくれました。3回は藤本のダブルエラーも絡んで無死満塁のピンチを迎えましたが、ここを無失点で切り抜けると、桧山のソロで同点。杉山の投球はいつもハラハラさせてくれるのですが、結構ピンチで無失点という場面も多く、個人的に「粘りの杉山」というイメージがあったのですが、その面目躍如って感じでした。

     試合が大きくタイガースに傾いたのは5回の攻撃でした。岩村のエラーで藤本が出塁。定石通り杉山送りバントというところで、なんと館山の投球が杉山を直撃。かなり騒然とした雰囲気になりましたが、それ以上にピッチャーに死球を与えたという館山の動揺がそのまま投球に表れてしまいました。赤星が繋いで鳥谷が押し出しで逆転、シーツの打球がポテンヒットで加点と押せ押せの場面で、金本の満塁ホームラン!期待していたシナリオ以上の展開で一気に優位な展開に持ち込むことができました。
     結局、杉山は5回にラミレスにソロを打たれたものの勝利投手の権利を得て降板。点差があったということもあって、藤川、ウィリアムス、久保田を温存して、6回から桟原、江草、太陽のリレーで快勝と、まさに理想的な展開で今季神宮初勝利!レフトスタンドは終始お祭り騒ぎでした。

     翌日の日曜は朝から草野球で汗を流した後、何とか土曜と同じ時間に神宮へ。やっぱりゲンを担いで同じ時間に行きたかったんですよ。いつも思うのですが、自分の行動で贔屓チームの勝敗が決まるなんてことは絶対にないはずなのですが、どうしても勝った日と同じ行動を取りたくなっちゃうのがファン心理です。
     この日の先発は全く読めず、前日の試合中からブルペンを見ながら予想をしていたのですが、結局、中2日で安藤が出てきました。前回はKOされてたのでリベンジ登板です。さらに濱中も先発出場で、いよいよ本格復活に向けて動き出しました。

     その濱中、初回にクリーンアップの出塁で二死満塁の場面で登場。いきなり起用が当たるか?と思ったのですが、残念ながらショートライナー。でも、何となくタイガースの流れになっているような雰囲気を感じました。そして、安藤の方はというと1回、2回と先頭打者を出すものの、ことごとくダブルプレーに討ち取り、徐々にペースを取り戻していくという感じで、見ていても安心感がありました。
     3回に今岡のタイムリーで1点先制。安藤の内容からちょっと安心していたのですが、やっぱり1点差というのは神宮では恐いです。ジリジリした投手戦で5回を終了。6回、一塁にランナーを置いて安藤の打席という場面で、まだ投げるんだろうなという予想を裏切って、早くも代打スペンサーが登場。正直、ちょっと期待してなかったのですが、なんと打った瞬間にホームランとわかる当たりを打ってくれました!この2点は本当に大きいし、これで勝ちを確信しました。6回からは藤川、ウィリアムス、久保田で予定通りの勝利!ウィリアムスが1点を取られたものの、危なげなしという感じで、本当に信頼できるリリーフ陣です。

     ドラゴンズの急追が「死のロード」というネガティブイメージを忘れさせてくれることで、逆に長期ロード中のタイガースの追い風になるんじゃないかと、希望も込めて予想していたのですが、まさにその通りの展開になってきました。結局、今年の夏のロードは11年ぶりの勝ち越しが決まりましたが、それだけの理由があると感じさせてくれた2試合だったんじゃないかと感じました。



     第42回 タイガース優勝後の神宮3連戦


     9月29日、甲子園でのジャイアンツ戦。タイガースが「勝って優勝」を見事に決めてくれました。
     マジック点灯してから、本当に順調に一歩一歩優勝に近づいていき、まさに毎日がカウントダウンの日々でした。2年ぶりの優勝ということで考えてもいなかった短い間隔での優勝、これはこれまでにない経験だったのですが、一昨年の優勝に負けず劣らず感動の優勝でした。
     それにしても、まさか9月中に決まるとは思ってませんでしたね。もはや語り尽くされた感もあるのですが、やはり9月7日のナゴヤでの死闘がタイガースとドラゴンズのその後の勢いに明暗をつけて、一気に流れがタイガースのものになっていきました。あの直接対決の試合、特に9回裏のドラゴンズの攻撃はテレビで固唾を呑んで見守っていたのですが、まさにあの場面、1992年の神宮でのスワローズとの直接対決の試合を思い出しました。この試合もタイガース優位で進んでいて、これを勝てば優勝に向けて大きな流れを掴めるという展開だったのですが、9回裏に大逆転でサヨナラ負けを喫し、スワローズ優勝の流れになってしまいました。でも今年、流れを掴んだのはタイガースでしたね。13年前のあの試合を思い出しながら、今年は何とかいけるかなと感じた試合でした。

     さて、優勝から一夜明けた9月30日からの神宮での3連戦。行ってきました。
     正直言うと、ひょっとしてこの神宮での試合がXデーになるかも?と毎日星勘定しながらも、本当にドキドキの毎日を過ごしました。ドラゴンズがずっと負けなければ、タイガースが全勝でも胴上げは神宮だななんて期待したりもして。でも、実際に甲子園での感動の胴上げを見て、そんなことはどうでもよくなったのは、神宮に詰め掛けたタイガースファンの誰もが思っていたことだと思います。むしろ、優勝したチームの関東凱旋ということでいつも以上に盛り上がっていたかもしれません。
     とにかく、スタンドのあちらこちらで、「おめでとう!」「お疲れさま!」など、お互いを祝福しあうファンで満ち溢れていました。
     30日の試合、さすがに前夜のビールかけから当日の新幹線移動。本当にお疲れさまという感じでしたが、それでも先発はほぼベストメンバー。そして、濱中、関本、浅井らの活躍で中盤までリードを奪うという、さすが「優勝チーム」という試合展開でした。ベテラン組では金本がさすがの二安打&美技&決死のバックホーム。やっぱり、この人は鉄人ですね。
     とはいえ、さすがにこの日の試合は、随所に「二日酔い投法」「酔いどれ打線」が炸裂で、全体に動きが悪かったのも事実。まぁ、しゃあないなぁという感じでした。結局、リードした試合も福原がピリッとせず、7回には久々登板の江草が打たれて逆転負けという結果になってしまいましたが、試合終了後に、我々関東の虎ファンにプレゼントがありました。
     異変に気がついたのは、リグス選手のヒーローインタビューが始まろうとしているとき。ヒーローのリグス選手の周りにほとんど人がいない一方で、3塁ベンチ前に黒山の報道陣。何かあるなと思って待っていたら、ヒーローインタビューが終わったところで、ベンチから監督、選手が引き上げるために出てきました。いつもはインタビュー中に出てくるので、混乱を避けるためにタイミングをずらしたのかなとも思ったのですが、なんとレフト外野席前まで来て、ファンに挨拶を始めるではありませんか!この日は内野で見ていたため、遠くからその様子を見守るという形になったのですが、周りには感動で泣き出すファンもいました。とにかく、直接胴上げは見れませんでしたが、もうこれだけでも、この日、神宮に行って良かったと思わせてくれました。

     翌日の2戦目は林、喜田という二軍の主力を試しつつも、17安打10得点で復帰登板の安藤を援護です。2安打1打点1四球の林、今季初ヒットの喜田がシリーズや来季に向けてのアピールをする一方で、金本がホームランを含む、なんと4安打。今岡も打点をあげれば、赤星も2盗塁。鳥谷も二塁打、三塁打を打ちましたし、濱中も桧山も藤本も関本も打ちました。なんとも贅沢な試合展開で快勝でしたね。

     3戦目は、ひょっとしたら今年、関東では最後の試合になるかもしれない試合でした。六大学の試合が延びて30分試合開始が遅れましたが、タイガースの勢いは止まりません。鳥谷の先制弾、そして今岡のチームシーズン最多打点タイ記録となるホームラン、その後も着実に加点しました。投手陣では先発杉山が好投、シリーズでも期待できそうです。
     そしてこの日は関東ラスト試合ということもあって、7回桟原を挟んで、最後の2イニングはJFKのお披露目登板!最後に久保田がランナーを2人出してしまいましたが、それ以外は完璧でしっかり完封リレー完成。今年の総決算のような試合で、関東のファンにとっては申し分のない試合でした。

     優勝決定後の試合ではありましたが、本当に密度の濃い3日間でした。その前の優勝カウントダウンから始まり、この数日でエネルギーを使い果たしたという感じなのですが、これからシリーズまでしばらく応援も休養して、来るべき決戦に向けてしっかり充電しようと思います。



     第43回 2005年の日本シリーズ総括


     結局日本シリーズは、まさかの4連敗で終わってしまいました。う〜ん、残念。
     内容的にも一気にやられたという感じでしたが、チーム力としてそれほど大きな差はなかったと思うんですけどね。ひとつ歯車が狂うとどんどん悪い方向に流れていってしまうということが多々ありますが、まさにそんな感じでした。

     敗因の一つとして挙げられている試合間隔の問題。これは、もうシステム的なことですし、それがわかった上での今回のシリーズだったので、何とか克服してくれると信じていたのですが、それほど甘いものではありませんでした。少なくとも千葉での2試合を見る限り、その影響は少なからずあったと思います。
     試合勘の件とは逆に今回の相手がマリーンズだったということもあって、2年前に日本シリーズを経験した選手がほとんどであるタイガースにとってはその経験の差がアドバンテージになるんじゃないかとも思っていました。ただ結局、最初に流れに乗り切れなかったことが逆にプレッシャーになって本来の力を出し切れなかったのが、甲子園での2試合だったような気がします。2年前に勝っていればまた違う意識で望めたと思うのですが、やはり「どうしても勝たなければ・・・」という気持ちが強くなりすぎて、チーム全体が非常に重い雰囲気になっていったのは否定できないでしょう。プレーオフで2年続けて負けてしまったホークスに似た重さというのを、シリーズでは感じてしまいました。一昨年の経験が逆に入れ込みすぎという形になって、悪い方に作用したような印象です。
     もちろんマリーンズも強かったですし、負けても納得というチームでしたが、少なくともシーズンで見せてくれたタイガースの戦いぶりでなかったのは事実で、ちょっと不完全燃焼気味に終わってしまった、もう少し相手にプレッシャーを与えることができたのではないか、というのも偽らざる感想です。

     そういう意味では、逆にサバサバしたところもありますね。力を出し切れなかったのは残念ですが、だからと言ってセ・リーグで優勝した事実、一つ一つの試合で選手が見せてくれたパフォーマンスは、決して色褪せることはありません。それを出し切れなかったからこそ負けてしまったのであって、たった4試合で今年のタイガースの野球を全否定する必要はありません。

     さて、今回は勝敗とは別に、今回の日本シリーズは、個人的には結構盛り上がったイベントでした。日本シリーズ初観戦、これに尽きます。
     一昨年もシリーズを観戦しようと頑張ったのですが、チケットが取れず残念な想いをしました。今年は抽選販売ということで、とにかく申し込みだけはして結果を待っていたところ、千葉の第2戦と甲子園の第5戦が当たるという幸運。生まれて初めて日本シリーズを見るという経験ができることになったのです。結果的に甲子園の試合が無くなってしまったのですが、とりあえず1試合でも見れて良かったと思いました。公式戦とは違う雰囲気を体感できたことは、本当にいい経験でした。
     千葉マリンに行くのは、実に5年ぶり。球場前は本当に人で溢れかえっていました。ここには何回か来ているのですが、これほど人がいっぱいいる光景というのは初めて見ました。球場前の広場には屋台が出ていて、友人を待つ間、ビールを買って飲みながら、噂に聞く球場前ステージでのコンサート?を聞きつつ、時間をつぶしたりしていました。

     試合の方はご存知の通り、前日に引き続いて悲惨な結果に・・・。
     ただ、前半は安藤が踏ん張って、圧されつつも流れを変えるチャンスはありました。ただ、やはり、きっちりとプレーできなければ負けるのは必然というわけで、まず1回の今岡のタイムリーエラーが痛かったですね。ピンチを0点に抑えることができたというところでのエラーだったので、ガックリでした。2回の失点はダブルプレーの間の1点だったので仕方なし。むしろ、よくダブルプレーに抑えたという藤本、鳥谷の好プレーでした。
     守備では良かった藤本でしたが、流れを切ってしまったのは3回の攻撃でしたね。片岡、矢野の連打で無死1,2塁。当然バントで送れば一打同点というところでマリーンズにプレッシャーを与えることができたのですが、バント失敗の末にファーストファールフライでランナー送れず。こういうミスがジワジワと効いてくるんですよねぇ。
     結局この序盤の2つのプレーが敗因となってしまいました。中盤に安藤がサブローにまさかの一発を打たれたところで、対渡辺俊ということもあって、完全に糸が切れてしまったようでした。ホームランは連発されるは、バッテリーエラー3連発で失点など、ちょっと頂けないプレーが続いてしまいました。

     試合は本当に残念な結果だったのですが、タイガースナインの動きも徐々に良くなってきているというところは感じられました。結局マリーンズに傾いた流れを引き戻すことはできませんでしたが、それでも懸命にプレーしている姿は直に感じられただけに、甲子園で巻き返して欲しかったですね。

     さて、個人的なジンクスなのですが、実はこの試合を迎えるまで、過去にマリーンズの試合をオープン戦、公式戦含めて8試合見ていたのですが、マリーンズが負けた試合を見たことがありません。これがあったから、交流戦も対マリーンズ戦、観戦自粛していたのですが、この試合も・・・。まぁ自分が観に行かなくても結果は変わらなかったでしょうが、これで来年の交流戦も行き辛くなってしまいました。でも、必ずタイガースがこのジンクスをも打ち破ってくれることを信じて、来季のリベンジを期待したいと思います。



     第44回 2005年のタイガースのドラフト


     ドラフト改革ということで実施された今年の分離ドラフトなのですが、システムに馴染みがないせいもあって、どこが「改革」なのかよくわかりませんね。制度そのものを変えるという意味でいろいろと模索していくのは歓迎で、過渡期には矛盾も内包するのは仕方のないことなのかもしれませんが、正直、ドラフトの改革と今年の分離ドラフトの繋がりがよくわかりません。
     とりあえず、各球団にとっては将来性重視の高校生ドラフト、即戦力重視の大学・社会人ドラフトという形でうまく機能すれば、チーム編成上の利点はありそうです。

     数年前までのタイガースのドラフトはやはり低迷期ということもあって、「即戦力」重視という路線はどうしても避けられない状態が続きました。ここにきて、ようやく将来性にも目を向けたドラフト戦略を進めることができる体制が整ってきたという感じがしますね。即戦力の社会人・大学生に関しても、これまでは必要以上に期待してきました。そうしなければチームとして戦えないという切羽詰ったものがありましたし、いま思えば、実力以上のものを期待しすぎてきたなぁと思います。それを思い起こすと、この2,3年でようやく「新人には来年すぐに出てきてもらわなくては困る、主戦力としてやってもらわなくてはならない」という状況からは抜け出すことができました。とにかく、春季キャンプの目玉が新人選手というのは、ある意味でかなり歪んだチーム構成とも言えますからね。

     さて、今年のドラフトもそういう意味では、来年すぐに出てきてもらわなければ困るという指名ではなさそうです。もちろん、大学・社会人出身の3人には今年の能見や橋本くらいの働きは期待したいところなのですが、一昨年の自由獲得枠の筒井和や、今年は怪我で登板することのできなかった三東、高卒組では中林や田村、野手陣では徐々に頭角を現しつつある林や喜田ら、期待の選手たちが控えていますから、それほど切羽詰った状況でもないでしょう。そして、それはプロ入りしてすぐに「過大な」期待がかからない=じっくりとプロの力を蓄えることができるという意味でも、非常にいい方向、チームとしてうまく回転し始めているではないかという実感があります。
     今年の指名は高校生ドラフト、社会人・大学生ドラフトともに3人ずつの計6人。野手は高校生の前田大和内野手のみですが、他の投手陣も含めて、今年も関西出身者中心の指名。投手の5人はいずれも速球が評判のようで、ここ数年の指名戦略に合致しています。方向性のしっかり見える指名は、本当にここ数年のいい傾向だと思います。

     高校生ドラフトの1巡目の鶴投手、大学生・社会人の希望枠の岩田投手や4巡目の渡辺投手は故障があるようです。ちょっと前なら、そういう選手を何故指名?という感想になっていたかもしれませんが、最近のタイガースを見ていると、福原や藤川、久保田を例にとっても、故障からの復活組が多く、また怪我をする前よりレベルアップしているという現象があります。そのことがそのままチームの戦力アップにも繋がっていますし、「二軍でいったい何が起こっているのか?」とファンにとっても興味深く、また、どこか頼もしさを感じる謎になっています。入団時に故障を抱えていたという選手でも、井川や林のようにチームの主力や次代の戦力となる選手も出てきています。もちろん、怪我を繰り返してどうしてもブレークできない太陽や遂に自由契約になってしまった的場のように、全ての選手にそれが適合しているわけでもないのですが、それでもある程度、怪我からの復活に対するノウハウが蓄積されてきているように感じています。
     そういう意味では、素質ある投手で多少の故障であれば十分にリカバーして、数年後に必ず戦力としてモノにできるという自信もあるんでしょう。選手の方も安心してプロとしての力を蓄えることに専念できるんじゃないでしょうか。当然ファンとしては、(もちろんチームもでしょうが)指名された選手はみんな期待しているし、全員戦力になって欲しいですから、じっくりとその成長を見守っていきたいですね。



     第45回 2005シーズンの総括と外国人選手


     2005年ももう終わりです。今年はもちろんいい年でした。一昨年の優勝は春先からの独走で、ある意味、ほぼ優勝することが前提で応援していた部分もありました。18年ぶりの優勝ということで本当に嬉しかったのは事実なのですが、一方で、もうこんな形で優勝することはないな、という全てがうまく回転した「奇跡」の優勝だったように思っています。
     一方で今年の優勝に関しては、ドラゴンズとの一騎打ちで、9月まで本当に1試合1試合、一喜一憂しながらの応援でした。そういう意味で一昨年の「久しぶりの優勝」という付加価値はありませんでしたが、それ以上に興奮したし、本当に地力がついてきた勝利だったなと思います。もちろん日本シリーズの戦いぶりもあって、本当に強いということではなくまだまだ発展途上にあると思うし、それゆえにこれからの楽しみも持っているチームだと思っています。

     今年の優勝の象徴的存在は、もちろんJFKでしょう。打線の方のメンバーはある程度予想の範囲で活躍してくれましたから、やはり、この「鉄壁」のリリーフ陣の確立が大きなポイントだったように感じます。藤川、久保田は昨年の後半から後ろで投げていてある程度の結果が出ていましたから、シーズン前に戦い方の青写真はできていました。ただこの2人に関しては、やはり1年間のレンジで働けるかどうかが大きな懸念ではありました。そういう意味で、ウィリアムスの存在は心強いものがありましたね。もちろん、一昨年の優勝では抑えの切り札として活躍してくれた実績もあります。藤川、久保田の2人だけでは、当然、今年のようなパフォーマンスも発揮できていなかったと思います。
     ウィリアムスが加入した一昨年、当時の星野監督の元々の構想は、セットアッパーとしての起用でした。しかし抑えとして期待していたポート投手の不調によって抑えとしての起用になり、結局それが結果に繋がったという経緯があります。セットアッパーと最後の抑え、精神的な部分でも大きな違いがあるポジションですが、その2つのポジションを知っているウィリアムスが藤川、久保田にとっていいお手本になったんじゃないでしょうか。

     外国人選手で言えば、野手陣の方でもシーツがいい働きをしてくれました。カープでは遊撃手として活躍していたシーツですが、岡田構想で一塁手としての加入。この構想に当時はいろいろと反対意見も聞かれたのですが、個人的には絶対にはまると思っていました。それは、鳥谷を買っていたという事情もあったのですが、やはり将来的なことを考えれば、センターラインは日本人選手で固めたいという思いもありました。短期的に考えればシーツを遊撃手にそのまま当てはめるというのも手でしょう。でも、年齢的なこと、日本人選手と外国人選手のスタンスの違い、そして将来のチーム構想を考えると、やはり鳥谷は遊撃手として育てていきたいところ。アリアス選手がいなくなったところで獲得できたシーツを一塁にコンバートというのは、自然な発想の流れだと思いました。もちろん、守備面では定評のある選手ですから、一塁手としての守備力も期待できます。
     実際にシーツの守備に助けられた場面は多々あります。ゴロのさばきなどは当然うまいのですが、一番助かったと思ったのは、内野手からの送球を受ける場面。藤本、関本、鳥谷、今岡など、どれだけ助けられたことでしょうか。特に今年の守備に関しては、今岡の送球がかなりハラハラ度数が高かった。セカンドからサードへのコンバート、怪我の影響などが考えられますが、元々強肩というイメージの今岡にしてはどこか遠慮して投げていると言う場面が多かったですし、そういう送球は逆にあらぬところに行ってしまいます。難しいバウンドや高めにはずれるような送球、そういうボールをうまくさばいてくれたのは、シーツのグラブさばきと長身でした。
     一番印象に残っているのは、9/3札幌ドームでのベイスターズ戦。4−1、3点リードの9回裏に久保田が登板するものの、連打と押し出し死球で2点差の場面です。金城の打球はライト前に抜けて「あぁ同点か!」と思った瞬間、シーツが打球を止めていました。この打球は内野安打となったのですが、1点差リードを保ったのはまさにシーツの守備のおかげ。さらに二死後の多村の打球は平凡なショートゴロだったのですが、雰囲気に圧されたのでしょうか、鳥谷の動きがおかしい。案の定送球が逸れて、それこそ逆転サヨナラ負け??と思ったら、シーツがうまく捕球して多村にタッチ。まさに薄氷を踏む思いの勝利でしたが、この試合、この展開で負けていたら、それこそショックは大きかったでしょう。大きな1勝でした。

     ウィリアムス、シーツほど活躍はできませんでしたが、ブラウン、スペンサーもピンポイントでいい働きをしています。
     ブラウンは残念ながら今季限りということになってしまいましたが、個人的には5/4甲子園でのカープ戦、先発での1勝は、今年の優勝を語る上で決して無視できない勝利だったと思っています。実は、この一週間前の対ドラゴンズ戦、8−1でリードして7回を迎えながら、まさかの逆転負けを喫してしまい、そのショックが尾を引いたのか、神宮でまさかの3連敗 。
     そして、甲子園に帰った前日の試合でも、町田のサヨナラホームラン?がファール判定で悔しい1点差負けと、5連敗という今シーズン最悪の状態でした。この試合は序盤から6点をリードしてラクな展開ではあったのですが、チーム状態を考えれば決して楽観できない状況。その中で、きっちりと先発の役目を果たしたのがブラウンでした。本当に大きな1勝だったし、結局この1勝をきっかけに翌日も大勝して、気分よく交流戦に突入することができました。

     スペンサーは、去年のオフの手術が尾を引いた形だったんじゃないかと思います。キャンプも万全な状態ではなかったようですし、とりあえず残留が決まったようなので、来季に期待でしょう。スペンサーに対するヒッティングマーチの歌詞に「炸裂グレイトパワーで・・・」という一節があるのですが、仲間内では、「気まぐれグレイトパワー」ということになっています。でも、その気まぐれパワーも、確かに当たれば凄いです。特に関東圏のファンとしては、スワローズ藤井に対する相性の良さは心強かったですね。8/21の神宮での試合、5回まで−0でリードはしていたものの、藤井の前になかなか点が取れない状態が続いていました。やはり神宮での1点差は怖いですからね。で、6回にランナーを一人置いて代打スペンサーの登場。この場面で、打った瞬間にわかる大ホームランを打って、勝利を確実なものにしました。9/18甲子園では、藤井に対して2打数2安打で攻略のきっかけを作っています。(この試合での後の打席、藤井以外の投手に3打席連続三振というのが極端すぎて笑えますが・・・)

     来季は濱中の完全復活、林の台頭と、桧山の存在とともにポジション争いが熾烈ですし、楽しみも大きいのですが、スペンサーの気まぐれでない炸裂パワーも大いに期待したいところです。


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