クールジャイアンツ by 慈恩美

    第11回 キヨさんとジーニ

    第12回 電脳世界の中心で、ジャイアンツ愛を叫ぶ

    第13回 「未だ木鶏たりえず」か「恥じらい」



     第11回 キヨさんとジーニ


     はじめに(先月に続き、またです)

     悩んでいる木佐貫洋クンへ

     どうか腐らないで頑張ってください。TVで見ていると、池谷コーチに頭ごなしにモノを言われ、堀内監督のどこか感情任せの辛辣な発言で、思いっきりやれていないように見えます。あなたは、すごく真面目で悩みやすいタイプに見えるので、心配しています。
     かつてイチローはとある打撃コーチに「オレの言う事が聞けんのか!」と言われ、「その打ち方では打てませんから、聞けません」ときっぱり言ったそうです。その当時は、一軍とニ軍を行ったり来たりするエレベーター選手でしたが、今は立派にマリナーズの顔になりました。

     そこで、木佐貫洋クンへ

     コーチや監督の言う事がどうしても聞けないのなら、思いきって聞かないのも、プロで長く活躍するためのステップの一つだ!間違いない!
     監督もコーチもあなたの野球人生の中ではほんの一時しか関わらない人たちで、しかも自己保身のためにあなたをスケープゴートにしかねない人たちかも知れないのだ!気を付けろ!

     長くなりましたが、本題へ。

     6月4日、我らが「キヨさん」こと清原和博が無事2000本安打を達成しました。巨人に入団してからはケガで苦しい日々が続いたと思いますが、よく克服して頑張ったと思います。私だけでなく、みなさんもそうだと思いますが、2000本目のヒットの後、五十嵐亮太が「打てるもんなら打ってみろ!」という感じで投げた155qの真っ直ぐを豪快に弾き返したホームランの方が強烈に残っています。
     キヨさんの2000本安打達成前後、巨人は8連勝しました。今、その8連勝が効いて首位(6月20日現在)に立っています。私はキヨさんの貢献が大きかったと見ていますが、皆さんは如何お考えでしょうか?そのキヨさん、2000本安打達成後は体調不良等で試合出場機会が減っていますが、「これでええんか、オイ!」と思っているG党は少なくないでしょう。

     今年の巨人、ファーストのポジションについては、キヨさんとペタジーニの「併用」という形を採っています。このやり方について、「good!」と思っているG党はどれだけいるのでしょうか?少なくとも、私は「bad!」です。

     では、どうすればいいのか?私なりに考えてみたいと思います。

     キヨさんもジーニも、今年はどこか消化不良の感覚でシーズンを送っているように見えます。二人とも馴染まない代打での出場も多く、本来の力を出し切れていないように感じます。
     年俸は、二人とも日本の中ではいわゆる「高給取り」の部類に入るにも関わらず、その金額に見合う働きが出来ずにいるのをもったいなく思うのは、あるいは二人のうちのどちらかがベンチにいる姿を見てやりきれなく思うのは、果たして私だけでしょうか?

     こういう事態を起こすような補強をやった球団のフロントには、「金遣いが下手」という一言以上の批判をぶつけてやりたい心境(既に他の執筆者の方がやっているかもしれませんが)ですが、現状を踏まえて考えると、どちらかをレギュラーとして起用して、どちらかを切り捨てるしかないと思います。そこで、以下のように考えてみました。

    1.キヨさんをレギュラーで起用するとしたら

     6月1日の試合を思い出して下さい。7回表に4点取られた試合を、その裏にキヨさんのホームランをきっかけに、5点を取って引っくり返した試合がありました。あの日の試合の様な展開の場合、なかなか一気に取られた4点を引っくり返すのは難しいはずです。あの試合は、キヨさんのホームランが流れを巨人に呼び込んだ、といっても言い過ぎではないと思います。連勝期間中、キヨさんのこういった流れを呼び込む活躍が多かったと思います。

     6月1日の試合、きっかけを作ったホームランがジーニだったら、試合はどうなっていたでしょうか?あそこまで反撃のムードを作る事は出来たでしょうか?あれは、巨人で過ごした時間の長さと、濃厚さが生み出せるものではないかと思います。
     キヨさんも怪我等で試合に出る機会が減ってきたとはいえ、レギュラーとして十分活躍できる力はあるはずです。また、試合を動かすくらいの流れを作る力は、今までの活躍を見ていて明らかではないでしょうか?

     また、重複しますが五十嵐亮太から打った2001本目のヒットであるホームランを見る限り、ピッチャーが試合の展開に関係なくああいう力勝負をしたくなる魅力を持っているのは、プロに入ってからそうした勝負を積み重ね、ファンを魅了した「キヨさんだからこそ」といえるのではないでしょうか?
     そういった能力を買って、キヨさんをレギュラーで起用し、ジーニをウェーバーにかけて活躍の場を広げられるようにするべきだと考えます。

    2.ジーニをレギュラーで起用するとしたら

     ジーニは、日本に来てからの活躍と実績は、本当にすばらしいものがあります。昨年、慣れない外野をこなしながらの活躍は、チームを何度も救ったと思います。
     しかし、ローズが加入した今年、キヨさんとの「併用」に晒され、存在感を完全にローズに奪われた感があります。また、ローズは愛嬌があり、フレンドリーなので、更に存在感を奪われている様にも見えます。

     ジーニは、レギュラーとして常時出場する事が出来れば、それなりの数字を残す可能性があると思います。1.で書いたキヨさんのように、流れを呼び込む能力はヤクルト時代のように、常時出場が出来ればこそ作れるもの、だと思います。
     ジーニをレギュラーで起用するなら、故障がちなキヨさんをDHがあるパ・リーグのチームに放出して(今月中ならまだ間に合う!)、更なる活躍の場を提供すべきではないでしょうか?
     二人とも、もらっている年俸の金額やファンの期待から、責任感の強さは半端ではないと思います。また、その責任感の強さ故に、二人のうちのどちらかがベンチで座っている姿を見ると、なんとかしてあげたい気持ちになります。そんな二人の気持ちを満たそうとするなら、「併用」という名の共存は絶対にあり得ないと思います。

     堀内監督も、金遣いが下手なフロントに押し付けられた「(超級)余剰」戦力で戦っていかなければならないのはよく分かりますが、この二人の「共存」はDHが無い限り難しいでしょう。この二人に限らず、小久保と江藤の二人にも同じ事は、いえると思います。

     NHK総合で4月から放送されている「冬のソナタ」で、主人公ユジンが、初恋の相手チュンサンにそっくりなミニョン(実は同じなんだけどね…。あっ、シナリオ喋っちゃダメか)に告白され、自分かサンヒョク(ユジンの婚約者で同級生)かどちらか選ぶよう求められるシーンがありました。
     そのとき、心が揺れ動いていたユジンは、曖昧な返事をして、ミニョンに「結局どちらも選んでいない」と言われるのですが、そのユジンの姿は、どこか「併用」という曖昧な答えを正当化しようとしている堀内監督の姿とダブって見えました。
     「曖昧な返事」をするのも、ドラマの中でかわいらしいチェ・ジウ演じるユジンがする分には、ハンカチの端をかじって引っ張りたくなるくらいにいじらしく見えますが、「悪太郎」堀内恒夫がやっても「官僚や政治家のヘタレ答弁」のようで、見苦しく見えます。

     ちょっと脱線しましたが、選手として成熟しているキヨさんとジーニに必要なのは、監督からの「正当な評価&答え」ではないでしょうか?いまは、二人にとっていい方向に進んで行く事を、星明子のように木陰で見守るしかないようです。

    (緊急補足)

     6月19日の試合で、安藤から死球を受けたキヨさんが、骨折でしばらく試合に出られなくなりました。
     これにより、ジーニがファーストで固定されて試合に出場することになりそうですが、キヨさんのように、チームを活気づけ、流れをたぐり寄せるような活躍が出来るのでしょうか?ジーニの活躍で、巨人は首位を維持し続けられるのでしょうか?

     キヨさんの怪我は今年の巨人の命運だけでなく、「併用」に関する一つの区切りを迎えそうな予感です。堀内監督は、彼等のために「正当な答え&評価」をきっちり出すことを求められそうです。

     最後に、キヨさんへ。

     あの瞬間、バットのグリップに当たったのではないかという位涼しい顔していましたが、どうしてそこまで自分を痛めつけてまでチームヘ貢献しようとするのでしょうか?多くのファンは、キヨさんに長く現役でいて欲しいと願っている思惑に逆行してまでも、何を掴もうとしているのでしょうか?声援を送る事しか出来ないファンは、そんなキヨさんの姿を見ていて、辛いものがあります。私は、屈辱の日々に耐える現役晩年時の原辰徳よりも、見ていて辛いです。
     フロントの金遣いの下手さ&ビジョンの無さ故に発生した、さらには監督も結論を先送りするような「併用」の状態でも、腐らず頑張ってきたキヨさんの姿は、私達ファンだけではなく、二軍で頑張っている巨人の選手達にも大きな勇気を与えたはずです。
     そんなキヨさんへ、これを送ります。早く元気になってね!

    3.2.1.ハッスル!ハッスル!

    終わりに

     1997年に巨人移籍1年目のシーズンを送っていたキヨさんは、精彩を欠き本来の力を発揮できないでいましたが、このときナゴヤドームで外野席の応援団が応援ボイコットをやったことを思い出します。贔屓のチームの選手が苦しんでいるにも関わらず、マスコミに乗せられ「応援ボイコット」をするというのは、一体何様のつもりでしょうか?

     いまのキヨさんを見ていると、どうしても現役引退前に絶大な声援を送られていた原辰徳と同じように見えてなりません。電脳世界で、キヨさんのスタメン出場機会を要求する応援ボードを出すように呼びかけている見たいですが、そこには巨人やキヨさんに対する愛情はあるのでしょうか?そこには、原辰徳同様、引退前に最後の残り火を燃やそうとしている選手に対する、体裁を繕うかのような同情を感じずにいられません。

     原辰徳の時にいつも思った事ですが、打てなくて苦しんでいる時こそ、声援をおくり元気付けるのが、真のG党ではないのでしょうか?また、それこそがG党における「ジャイアンツ愛」なのではないでしょうか?応援ボイコットして、苦しんでいるキヨさんを更に追い込むような事をしたそのときの応援団の人たちに「ジャイアンツ愛」はあったのでしょうか?

     原辰徳は引退前のヒーローインタビューで、ファンの声援に感激し、涙を流していました。キヨさんは先月のヒーローインタビューで、ファンの声援を「枯れかかった自分に水を与えてくれる」と表現しました。
     手の平を返すようなマネをした連中に対して、「よくこういうことができるなあ」と思うと同時に、「そこまでせんでもええのになあ」と思います。また、この二人にファンが惹かれていく理由と、周囲の選手達に慕われる理由がよく分かりました。

     あの当時ナゴヤドームで、キヨさんの応援ボイコットした応援団の皆様方から、その当時の非礼をお詫びする声明等を、未だに聞いていません(単に私が知らないだけでしょうか?)。球場にわざわざ足を運んで声援を送るくらいですから、私よりも強い「ジャイアンツ愛」がある筈です。だから、キヨさんに対してもそのくらいの事できますよね?できない、もしくはやっていない、という事は、やっぱり東京ドームで警察沙汰の不祥事を起こした連中と同じ次元でしか野球と巨人を見れない「稚拙で、わがままな方々」だという事でしょうか?



     第12回 電脳世界の中心で、ジャイアンツ愛を叫ぶ


     風雲急を告げる「合併・1リーグ制問題」。これを猛烈な勢いで進めているのがどうも巨人の渡邊オーナーらしく、それを巡る発言内容等のお上品さから、どうしても静観することが出来なくなりました。そこで、「電脳世界の中心で、ジャイアンツ愛を叫ぶ」者として、今回このテーマでこのコラムを書かせて頂くことにしました。

     まず、個人的な意見として結論を申し上げますと、現行の流れを汲んだ「1リーグ制」への移行には「反対」です。というのは、巨人中心で成り立っている、今の日本プロ野球が「1リーグ制」になった場合、巨人の人気が落ち、球場に空席が目立つ日々が続いた場合、巨人と共に総倒れになりそうな気がしてならないからです。

     たとえば「1リーグ」のメリットとして「対戦カードの種類が増える」というものがあり、私の周りでもそれを支持する声があります。しかしそれは、日本プロ野球チーム随一の売り手市場の巨人が軸になってこそ、と言えるものではないでしょうか。実際、TVのスポーツニュースで「1リーグ制」の話題で一般ファンの声を拾っていましたが、支持していた人の要望の多くは「巨人戦」もしくは「巨人のスター選手」絡みだったように思います。

     そして、ここで皆さんにぜひ考えて頂きたいのですが、その巨人、かつてのON時代のように、今「絶対的な人気を誇っている」と言えるでしょうか?
     今年TVで巨人戦を見ていて、神宮球場、横浜スタジアム、広島市民球場では今まで以上に空席が目立っている印象がありますが、それは私の気のせいでしょうか?
    実際私がスワローズのHPとカープのHPを確認したところ、巨人戦のチケットは、売れ残っていたのです。

     また、私の地元・ナゴヤドームで今年4月、6月、7月に開催された巨人戦でも当日券が販売されていましたし、TVを見ていても空席が目立ってました。8月も巨人戦はありますが、ドラゴンズのHPで見る限りでは、昨年までほぼ即日完売に近かった巨人戦のチケットの売れ行きがウソのようにひどい状況になっています。これは、ナゴヤドームの座席配置と料金設定の悪さと、外野自由席で列を作って並んでいる一般のファンよりも後から来た応援団が先に入場する、という応援団優遇(TV中継を見ると分かりますが、外野席の絶好の場所に、どっかりと応援団が陣取っております)を行なっていることがその原因ではないかと私は見ていますが、それでもナゴヤ球場時代を知っている自分としては、このことがとても信じられません。

     極めつけは、毎年行われている巨人の北海道シリーズ。昨年まで発売されなかった当日券が、今年は発売されました。私はその時の札幌ドームのHPに、当日券の案内が出ているのを見かけたのです(注:現在は、更新されて閲覧不可能です)。またこのことについては、TV中継でもアナウンサーが喋っていました。
     札幌円山球場時代は、平日のデイライト・ゲームでも会社や学校をサボって見に来ていたファンが多くいましたが、札幌ドームとなった今はどうなのでしょうか?やっぱり、移転したばかりの「ファイターズ」の存在が大きいのでしょうか?
     そして、春と秋のキャンプ地でもあり、長嶋さんが命名するなどジャイアンツにとっても非常に縁の深い宮崎サンマリンスタジアムでの5月初の公式戦もチケットが即日完売になる事はなかったようで、5月上旬のTVの巨人戦中継にてアナウンサーが「チケットは、まだ若干残っています」と紹介していました。

     一方、巨人戦のTV中継の視聴率は、同じ時間のTV中継の五輪出場権がかかった女子バレーボールの試合よりも低かったそうです。
     バレーボールはフジテレビが中心となって、ジャニーさんトコの芸能人を使って巧みにやっているので、このように単純比較するのは「ナンセンス」かもしれませんが、このこともまた、巨人の人気が「絶対」でなくなってきていることを表しているように私には思えます。
     ついこの間まで巨人の選手が複数名出演していた炭酸飲料のCMは、今ではSHINJOさんや、「冬のソナタ」愛好家のアイドル・ヨン様がやっています。SHINJOさんに至っては、先日行われたオールスターゲームでファンを湧かせ、ヒーローインタビューの締めの一言で「元気ハツラツぅ?」とかまし、歴代の巨人の選手達が「元気ハツラツ」とやっていたことを忘却の彼方へと追いやりました。恐らく今の若い野球ファンのみなさんは、その炭酸飲料のCM出演がかつて巨人選手の「一流への登竜門」的な役割を果たしてきたことを知らないのではないでしょうか?

     以上のことを考えてみると、今の巨人に「絶対」的な人気があるとは思えません。そしてそんな状況の中で巨人戦の利益を軸にした「1リーグ制」に移行する事は、どうしても巨人の人気の凋落とともに、だだ滑り的に日本のプロ野球そのものが崩壊する危険を孕んだものだとしか思えてならないのです。
     エモやんのお言葉を拝借すると、「1リーグ制」になって人気No.1とNo.2になるであろう巨人と阪神が(毎年のように)熾烈なビリ争いを展開したら、ファンは一体どういう反応を示すのでしょうか?

     「1リーグ制」移行後、リーグを支えていく(であろう)巨人の場合、頭痛の種はよその球団よりも悲惨かもしれません。よその球団とはいえ、特定の選手を「バカ」と言ったり、選手を「野球バカ一代」と見下したかのように「たかが選手が」と平然と口に出す人が球団を経営しているのです。
     こういう人が、原辰徳のような「ジャイアンツ愛」をもって球団を経営すると思えますか?選手に対して尊敬の念も無く、このような無礼千万な事を言う人に、プロ野球球団のオーナーとしての敬意を表す事が出来ますか?

     その渡邊オーナーはバファローズ買収を表明したライブドアの堀江貴文社長に対して、「金さえあればいいってものじゃないんだよ」と発言してましたが、「自分が経営している球団はどうなんだ?」とみなさんは言いたくなりませんでしか?
     巨人は豊富な資金力や、オーナー自身が持つ政治力にモノいわせて、よそのチームのスター選手やアマチュアの有望株をあっちこっちから引っ張ってきましたが、その涙ぐましい努力から生まれた成果は「あった」と言えるでしょうか?
     あれだけお金をかけて話題を作っておきながら、今の成績では絶好の笑い者です。きっと、多くのマスコミは、舌なめずりしながら「低迷する巨人の哀れな姿」を待っている事でしょう。

     恐らく渡邊オーナーにも「ジャイアンツ愛」があるとは思いますが、どうしても私の目には「権力愛」とか「金銭愛」といったものが、勝っているようにしか見えません。それに私にとっては、こういう経営者の下で文句を言わず真面目にやっている選手や「ジャイアンツ愛」故に心が揺れて穏やかでない原辰徳のような巨人OBの方々が、本当にかわいそうにしか思えてならないのです。
     また今回私が指摘したような根本にある巨人中心主義的な問題と巨人自身が抱えている問題が解決されないかぎり、バファローズとブルーウェーブの合併をきっかけにした「1リーグ制」に移行しようが、堤義明首領様的私案の「プロ野球・構造改革構想」になろうが、待っている未来は、選手やファンにとっては、ただ暗いものでしかないのではないでしょうか?私には、そうとしか思えないのです。



     第13回 「未だ木鶏たりえず」か「恥じらい」


     はじめに

     本来なら8月第4週に配信しなければならないこのコーナーですが、私の体調不良でアナを空けてしまいました。MB編集長はじめ、他の執筆者の皆様、特に読者の皆様にご迷惑をおかけしました事をお詫び申し上げます。

     読者の皆様も既にshinorarさんの原稿でご存知かと思いますが、8月23日のBS朝日における田原総一郎司会の番組の収録に、私はMB編集長やshinorarさん達と一緒に参加しました。なお、会場内で私がどこいにいるかは、当ててみて下さい。このコラムを熱心に読んでおられる読者の方なら、すぐに分かると思います。放送は9月5日21:00〜です。

     私がこの番組で注目していたのは、「野村克也」という本物のプロがしてくださる野球のお話でした。TVでは非常に奥深い解説やお話をされる方なので、竹中大臣や進行役の田原さんには大変失礼ですが、私は実質、野村さんだけに視線を注いでいました。

     野村さんの話を伺いながら、その様子を見ていて驚いた事があります。左手が極真会館創始者の故大山倍達総裁のように分厚く、そして、その左手人さし指の横腹にごっついタコがあった事です。
     以前に高いレベルで実際に野球をやってらした方からお話を伺ったことがあるのですが、この人差し指の横腹はキャッチングの際に使う部分で、受けるとき相当衝撃があるのだそうです。またファウルチップ等を受け損なうと、このときの指への衝撃は半端ではなく、ときには突き指になってしまうこともあるという話もその人から聞きました。
     つまり、野村さんの左人さし指のごっついタコは、長い間にわたってプロのすごいピッチャー達のボールを受け続けてきた証だという事です。そして、そのように偉大な経験をされてきた方が野球のお話をされれば、非常な説得力があります。私にとっての今回の番組収録の最大の収穫は、そんな力強いプロの足跡を見れたことでした。
     当日の野村さんのお話で、私が皆様にお勧めしたいのは、「監督という立場から見るリーダーシップ論」と「タイガース&新庄再建話」の部分です。トリビアの泉で紹介されているネタよりは、明日の職場や学校での話題として使えるものばかりでしたねえ。

     一方、その傍らで収録中、不愉快なこともありました。
     TVを見ればすぐに分かりますが、田原さんに、「アンタの解説は要らん」とたしなめられた者がいます。恐らく編集され、話の大部分がカットされるとは思われますが、とにかくオリックスの宮内オーナー批判ばかりで、私はすっかりうんざりしてしまいました。宮内さんは近鉄とオリックスの合併話で暗躍していると言われている方ですが、批判するのであれば、もっと宮内さんの事を理解していないといけないはずです。宮内さんにプロ野球の経営者として批判される部分は多々あるとしても、会社の経営者として、またビジネスマンとして批判される部分はあるのかどうか等、もっと掘り下げていかないと、その言葉に説得力がないのは当然なのではないでしょうか?
     それを、雑誌か、ネットの掲示板かの文章を引用してエラソーに喋っていたのは、実に頂けません。TVの討論番組や時代を司る方々への数多くのインタビューをこなしてきたことでいろいろな人を見てきた田原さんにそこを見抜かれるのは、必然の流れと言えるでしょう。その宮内批判のカレ、いかに自分のモノの見方が狭いか、ということを公共の電波でさらけ出している事が全く分かっとらんようです。
     更に間抜けなのは、MB編集長と竹中大臣とのサシのバトルを遮ってまで延々と宮内批判を繰り返し、周りの顰蹙を買っていたことです。
     MB編集長は、この後の酒の席で横山師匠ばりに「あのボケみたいなんがおるさかい、ファンはみんなアホやと思われるんやろが!せやから、ファンの意見なんか聞いてもらわれへんやないかい!あのボケ、宮内さんのこと何や思うとんねん!セカチューならぬジコチューボケが!シバいて大阪湾沈めたるぞ、コラ!怒るで、ホンマに!アホンダラ!」と大爆発して、なだめるのが大変でした(笑)。←山本註:ここまでシドイことは言っておりませんが、怒りまくっていたことは事実であります(笑)

     もう一人、けしからんヤツがいました。自分の発言の機会を利用して政治的発言をしていたり、過剰に出しゃばって質問した謎の上海人です。もしかすると編集でカットされるかもしれませんが、質問しながら、最後にアジアカップで日本チームにブーイングを起こした自国民の正当性を主張するちゃっかりさを発揮していたことには、あきれを通り越して笑いました。ああいうことを日本でやったら間違いなくイヤがられ、中国の印象を悪くするだけなのに、ここを自己主張をしっかりせんと生きていけん中国社会とカン違いしているのか、お下品さ丸出しでした。おそらく日本滞在は長いであろうのに、なにやってるんざましょうか、ねえ?
     私がカレに言いたい事は一つです。

     「ここは日本じゃ〜!郷に入ったら郷に従わんかい!」

     4年後の北京五輪が思いやられます・・・ついでに、私は以前中国に留学していた際、哈爾浜駅の切符売り場で中国国内線の電車の切符が買えなかった事だけでなく、その時横入りした中国人からボディに三沢光晴張りのエルボーを入れられたという、とってもムカついたことまで思い出してしまいました。今では懐かしい思い出ですがね(苦笑)。

     それから番組収録後、私はその番組の収録に参加した人たちによる、有志の打ち上げ飲み会に参加したのですが、そこでも先述したような、エラソ−に自分のちょ〜せま〜い見方で不遜なことを語る輩もいたので、正直言って辟易してしまい、その人を無視していました。
     そして同時に、そんなことを恥ずかし気もなく堂々としゃべる人たちが実際に批判しているご本人の前に出たとき、メッキが剥がれるのが恐いので、萎縮してしまって普段エラソーに言ってるようにしゃべれることはないのではないか、とも感じたのです。

     あのスタジオにいた人達の全てとは言いませんが、自分が普段酒の席で批判しているような人たちに面と向かって批判できる覚悟も無く、のこのこ番組の収録に現れ、己の浅い野球論やスポーツビジネス論を展開して憂さ晴らしをするような人がいるかと思うと、本当に情けなくなります。また、こういった自分勝手なことをするファンの存在があるからこそ、ナベさんはじめオーナー会議のおじさまが、完全無視して事を進めていったのではないでしょうか?多分おじさま方は、「あいつら、どーせ何にも知らねえんだから、しょ〜がね〜な〜」と思っておられる事でしょう。
     1にも2にも、「ファンも賢く、洗練されないといけない」ということを感じたこの日の番組収録でした。そして、この場を通して学んだことは、1にも2にも「素直さ」と「謙虚さ」が自分を救うということと、「断片的な情報で、エラソーに物事を語ってはいけない」という事です。皆様も気をつけましょうね!

     最後に、この番組収録を紹介して下さったshinorarさん、本当にありがとうございました!この場を借りて、厚く御礼申し上げます。


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