by  連載リスト

     ●プロ野球チームの歴史シリーズ、北海道日本ハムファイターズの分の連載開始にあたって(2006.10.22. by MB Da Kidd)

     読者のみなさまこんばんは。今日、ついに北海道日本ハムファイターズが44年の沈黙を破り、日本一に輝きましたが、今日から4夜にわたって、アトムフライヤーさんにファイターズの歴史を語っていただきます。

     思えば1981年。私は後楽園球場の第5戦、放送席ブースの近くに座り、ファイターズの応援をしておりました。周りは巨人帽をかぶった大人たちばかり。そんな中、多少なりとも居心地の悪い思いをしながら観戦していたのを覚えています。
     この年から阪神タイガースファンとなった私は、放送席に座っていた当時のタイガースの4番、掛布雅之さんに憧れのまなざしを向けながら、タイガースをペナントレースでかわしていった巨人の戦いを、うらめしそうに眺めていたわけです。

     しかし子供であった私は、ファイターズのことなんか知らない。もちろん私は昔、野球がそれほど好きではなく、ブラジル帰りであったためにサッカーのことにしかほとんど興味がなかったのですが、ただ、黒人選手が好きだったからソレイタ選手を応援していた、それだけでした。今をときめく当時のファイターズの監督、大沢親分のことなんか知らなかったし、ましてやブラジルにいた幼い私ですら名前を知っていた、当時巨人で王さんとともにクリーンナップを打っていた張本勲さんが、このチームの4番を長くつとめていたことも知りませんでした。

     この無知はいったいどこから来るのか。私は大人になってから考えました。そして、それが、私が1998年に命名したところの”カイシャフランチャイズ制度”が原因になっていることを理解したのです。
     ほかの企業の持ち物だった時期の球団の歴史を、いまの企業に語れるわけがない。それは、”企業の論理”としておかしいし、単なる他企業への利益供与にすぎないのではないか、という発想が根底にあるということがわかったのです。

     しかしそれは、私に言わせれば旧い考えです。企業は何も、敵対するだけではない。利益になるとわかれば、当然協調した行動もとるし、場合によっては合弁事業も立ち上げるわけです。
     お互いの企業を宣伝することで良好な協力関係を築き、お互いの利益を増やすという方法もある。

     だが、いまの日本プロ野球を見ていると、オーナー会議が利益収奪の場であると同時に、お互いがいがみ合う場になっており、しかも、敷居の高い会員制秘密クラブのような状況の中、オーナーの特権意識ばかりが先行し、チームはこれに思い入れて支えあう人たちみんなのものである、という意識が欠けています。
     であるがゆえに、宮内さんや堤さん主導の1リーグ騒動が起こり、渡邊主筆がこれに引っかきまわされたわけです。単なる1企業の、そしてオーナーたちのエゴと企業判断が先行し、愚かな騒動を招いたのです。

     これは経済学でいう”囚人のジレンマ”の典型例で、無駄な意地の張り合いがどれだけ利益損失を招いているかということを示しているだけでなく、チームという公共物の公共性を、大きく失わせしめているのです。

     そろそろ日本のプロ野球は、お互いに利益を食い合うということをやめていかなければならない。お互いに協力・協調し、ひいては地域社会とも結びつくことで企業のイメージアップをはかり、共存共栄していくという、カイシャフランチャイズの枠を超えたリーグ運営方法を考えていかなければならない時代に入りつつあります。そこで私はアトムフライヤーさんとともに、この対立と収奪の無意味な企業エゴのぶつかり合いという流れを止め、新たな潮流をつくるために、合理的、かつ、新しい考え方を、旧い事件を新たな視点で取り上げることを通じ、読者のみなさまに示していきます。そして、そのひとつとして、企業の個別の事情にとらわれない、チームのきちっとした歴史シリーズを、このぼーる通信のアーカイヴとして残していきます。


    ぼーる通信 編集長 Thomas Gwynn Mountainbook 



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