嵐と地震とエンジェルズ by 3:16

    第46回 ジョー・ソーンダース、メジャーデビュー(Aug 16th, 2005)

    第47回 チャック・オブレムスキー牧師(Sep 26th, 2005)

    第48回 マジック、リーグ・チャンピオンシップで登板!(Oct 20th, 2005)

    第49回 WBC(World Baseball Classic)(Nov 15th, 2005)

    第50回 エンジェルズのTV放映権戦略(Dec 14th, 2005)



     (第46回) ジョー・ソーンダース、メジャーデビュー


     本日、またもや嬉しいニュースが飛び込んできました。
     第33回31回でご紹介しました、2002年ドラフト1位のジョー・ソーンダース投手が、メジャー初昇格を果たしたんです!


    ●ソーンダース投手、メジャーデビューの記事

     ポール・バード投手の腰痛で空いたエンジェルズのローテーションの穴を埋めるべく、1ゲームだけのスポット登板となる予定です。
     チャンスは限られていますが、初登板の緊張と上手に戦い、思う存分に持てる力を見せてくれれば・・・、と思いながら見守りました。
     クエイクス時代から、そして2Aアーカンソーでも、元巨人のカムストック投手コーチに磨きをかけてもらったチェンジアップは、・・・目を見張るほどのボールになっていました。すごい。
     それ程速くはありませんがファストボール、切れのいいカーブもよくコントロールされていて、期待通りの投球振りを見せてくれました。よくやった!
     7回1/3を95球、ヒット5本、フォアボール2つ、奪三振2つ、自責点2点という素晴らしい投球で、3−2とリードして勝利投手の権利を持って降板。
     ゲームの方は、9回にK-Rodがまさかのセーブ失敗で落としてしまい、残念ながら勝利投手にはなれませんでしたが、エンジェルズにまた一人素晴らしい先発投手が誕生しました。


    ●この試合についての詳細な記事


     第43回44回ではアービン・”マジック”・サンタナのメジャー初先発2ゲームについて触れましたが、あの後もマジックはアップダウンを経験しながらも好投を続けていまして、しっかりローテーションの一角に食い込んで頑張っています。
     クエイクス時代から、デーゲームではピリッとしないことが多かったのですが、メジャーでもその問題は残っているようですね。
     Day: 0勝4敗 防御率11.34、4ゲーム16.2イニングズで自責点21、
     Night: 6勝1敗 防御率 2.79、10ゲーム61.1イニングズで自責点19、の成績です。


     大崩れしたゲームもいくつか経験しましたが、ここ6ゲームでは、安定した、いわゆるクオリティースタートを続けていて、リハビリに時間のかかっているエスコバー投手の穴をしっかりと埋めてくれています。
     私は嬉しくて、マジックの54番ジャージーを特注でオーダーしてしまいました。


     さて今年のクエイクスでは、二遊間コンビが素晴らしい活躍ぶりを見せてくれています。


    ●ハゥウィー・ケンドリック(Howie Kendrick)2塁手の特集記事

    ●ブランドン・ウッド(Brandon Wood)遊撃手の特集記事。


     ケンドリックは昨年のルーキーリーグに続いてクエイクスでも3割6分を超える打率と、スピードを活かしたオフェンス・ディフェンスの能力を発揮して大活躍。
     ジャレッド・ウィーバーとほぼ同時期にAAアーカンソーへの昇格を果たしています。
     2002年のドラフト10位ながら、急成長株です。


     ブランドン・ウッドの方は、ものすごいペースでHRを量産。今日現在までに35本のHRを放っていて、打率も3割1分をキープ。
     守備に課題が残っているため、2Aへの昇格はまだですが、2003年のドラフト1位ですから、期待通りの爆発振りですね。
     上には、クエイクスの先輩でアルベルト・カヤスポ(Alberto Callaspo)2塁手、エリック・アイバー(Erick Aybar)遊撃手もベースボールアメリカのトッププロスペクトに名を連ねるなど、活躍していて、今後昇格していくのもなかなか大変ですが、順調に力をつけていって欲しいと思います。


     ところで今年のカリフォルニアリーグには、クエイクス、ストーム以外のチームでいくつか変更がありましたのでご紹介しておきましょう。

     昨年までA'sの傘下だったモデスト・A'sは今度、ロッキーズの傘下に入り、モデスト・ナッツ(Nuts)になりました。
     ストックトン・ポーツはレンジャーズの傘下からA'sの傘下に。デビルレイズ傘下だったベイカースフィールド・ブレイズはレンジャーズの傘下に。ロッキーズの傘下だったビザリア・オークスはデビルレイズの参加になりました。
     そして、ブリュワーズ傘下だったハイデザート・マーベリクスは、新加入のロイヤルズ傘下になり、ブリュワーズはロイヤルズがもと居たカロライナ・リーグへ移転していきました。
     ちょっとややこしいですね。


     クエイクスとストームは、2000年にパドレスとエンジェルズの傘下で入れ替えになって以来、安定した契約を続けています。
     この2チームは共に、アドバンスド・シングルAとしてはずば抜けて優秀な、ゲームあたり3,900人台の観客動員に成功しているのです。


    ●観客動員数についてのデータ


     とても誇らしいことだと思います。


    (Aug 16th, 2005) 



     (第47回) チャック・オブレムスキー牧師


     9月18日(日曜日)のエンジェルズのゲーム。


     ポール・バード投手がマウンド上に上がる度に、頭上に両腕で0の字を書くなにやら意味深なポーズをしました。見ようによっては、腕をリラックスさせているだけのしぐさにも見えました。
     そして、7回途中1失点の好投でマウンドをお降りる際には、今度は一段とはっきりゆっくりと0の字ポーズをもう一度掲げました。


     ゲームを観ていた時には判らなかったのですが、これは、チームの牧師さんで、この2年間、癌と戦いながらもチームのためにお勤めを果たして来ていた、チャック・オブレムスキー牧師に向けて送られた、感謝の気持ちのサインだったのです。病室のTVで観られるように、と思ってのことだったそうです。いよいよ危ないという知らせを聞いていたからなのかも知れません。
     翌日の新聞記事で、ポール・バード投手自身、訃報を耳にしたのはゲーム中5回のことだったと言っています。48歳という若さでお亡くなりになりました。


     バード投手は2年前にひじの手術を受け、今年は完全に治り、再起をかけて万全の体調で望んだ新所属のチーム、エンジェルズでの初登板、ところが古巣のロイヤルズに打ち込まれてひどく落ち込んでいた時に、チャックさんから電話をもらい、「君は立ち直るよ。今季は共に頑張って戦おう。そして今季は共に勝とう。」と励まされて以来、コンスタントに連絡を取り合い、ずっと一緒に戦ってきたのです。
     今回の遠征では、プレイヤーたちが飛行機に乗ってホームに帰ってくるまではなんとか生きていたい、というチャックさん最後の頑張りで戦い抜き、日曜日のゲームはチームが帰ってきてから4日目でした。最期に驚異的な頑張りを見せてくれた訳です。


     亡くなった時間は、奇しくもゲーム開始時間とぴったり同じ、午后1時05分でした。
     バード投手はこの一致を、何かの思し召しとポジティブに受け止めています。
     普段のゲームでは、開始時間2−3分前にアースタッド1塁手の足にタップしてマウンドへ向うのですが、この日はアースタッドがウオータークーラーのところでなにやら手間取り、見ると時計が1時5分を指したときにダグアウトを出たのだそうです。
     バード投手は自分が降板する時のボールをアンパイアに頼んで受け取り、ギャレット・アンダーソンに託してチャック牧師の奥さんに届けました。


    ●この日の試合についてのMLBの記事と、OCレジスターという地元紙の記事


     翌週の土曜日、チャック・オブレムスキー牧師を偲んで、朝の10時から球場でセレモニーがしめやかに行われました。夜にはシーズン終盤の大事なゲームがあります。
     広々とした朝のすがすがしい球場で行われ、とても厳かで明るいセレモニーでした。
     日本でも、シーズン前に勝利を祈願してチーム全員でお参りすることはありますが、ここまでチームと一丸で働く習慣はありませんよね。
     チャックさんは、2002年のワールドチャンピオン・リングも持っている、歴としたチームの一員なのです。


     来月、10月14日に、Yorba Linda Friends Churchで、「Chuck Obremski Blood Drive(献血)」が行われます。ハリケーン・カタリナの被災者のための催しでもあります。
     こちらにも私は足を運ぼうと思っております。


     それと最近、とてもワクワクするニュースがありました。

     モレノ・オーナーが、2008年のオールスターゲームをアナハイムで開催してもらうよう、コミッショナーに働きかけているというLAタイムスの記事です。
     実現すれば、'89年以来19年ぶりとなります。(それ以前では、球場が出来たばかりの67年にアナハイムで開催されています。)
     セリグ・コミッショナーとしては、'06年ピッツバーグ、'07年サンフランシスコの後は、以前のようにア・リーグとナ・リーグで交互に開催するフォーマットに戻したい意向だと書いてあります。
     '09年の筆頭候補は、新球場が来年完成するセントルイス・カージナルズです。'80年以来となるドジャーズも、働きかけを始めたようです。
     2008年の候補には、最後となるヤンキースタジアムでの開催、もしくはNY新球場での2010年の開催も見込まれているそうです。A'sも新球場を建設する予定ですし、なかなか選ばれるのも大変ですねぇ。


     ただし、たとえ2008年開催への招致が不発に終わったとしても、モレノ・オーナーは'10年、'12年へ向けて、働きかけてくれることでしょう。


     それからアナハイム市とエンジェルズの、チーム名に関する裁判は、11月7日に行われる予定でしたが、1月9日に延期されました。市の弁護団が、裁判の準備にもう少し時間がかかると申し入れたためです。

     市側は、エンジェルズの収支決算を提出するようにも求めました。余計なお世話です。
     チームがあるという恩恵を解らない市のスタジアムからは、もう出て行った方がいいのかも知れません。


    (Sep 26th, 2005) 



     (第48回) マジック、リーグ・チャンピオンシップで登板!


     なんとなんとなんと!
     10月15日(土曜日)のアメリカンリーグ・チャンピオンシップのgame4に、アーヴィン・サンタナ投手が先発しました!
     そして、とても幸運なことに私はこの日のチケット4枚を入手していました。
     つい昨年までクエイクス戦士で、今シーズンはじめはまだ2Aアーカンソーに居たマジックが、こんなにも早く、リーグチャンピオンシップで先発する栄誉を与えられるなんて!
     そして、ちょうどその日に応援に行けるなんて!
     ヤンキーズとのディビジョン・シリーズのgame5、肩を故障して2回ノーアウトで降板したエースのコロンをリリーフ、この大ピンチの展開に5回1/3を2失点、シリーズを決める勝ち投手になった好投を評価されて掴んだ栄光です。
     なんていうことでしょう。
     '03年のMLBオールスターの行われた日に、シングルAでのリハビリ登板だったランディー・ジョンソン(当時Dバックス)との投げあいに勝ったことが、まるで昨日のように思い出されます(第21回)。


     当日のゲーム開始は東海岸での放送に合わせて夕方5時15分ですが、3時に友人と落ち合い、USCとノートルダムの歴史的な逆転劇のゲームをTVで見ながら、後半はラジオで聞きながら早々と球場入り。
     息子はゲレーロの27番、私はお気に入りの54番ジャージーを着込み、当日もらえるけど念のために予備のサンダースティックも用意して・・・、こちらのムードも高まっていきます。


     普段は球場の周りにある私営のイベントパーキングに車を停めることも多いのですが、なぜかポストシーズンになると値段が跳ね上がってしまい、球場の駐車場の方が安くなっちゃうんですよね。
     駐車場内でも、もうあちこちでテールゲート・パーティーをやっていて(というか、ずいぶん早くから出来上がっている雰囲気で)、既に駐車場に来た時点で、普段のゲームとは雰囲気が違います。


     球場に入ると、キャパシティーを100人以上も上回る観客数で、独特の騒然とした雰囲気が漂います。
     プレイオフのチケットは入手が難しい上値段が張ることもあって、普段とは逆に、子供の数がぐっと減って、ゲームゾーンが閑散としているのも、ちょっと印象的です。
     このゲームでは他にも、第18回をはじめ、何度と無く登場してこちらではすっかりおなじみのケイシー・コッチマンが、ラインナップの6番にDHとして名を連ねています。
     そして、相手のホワイトソックスのクローザーは、ボビー・ジェンクス。第14回2629回でもご紹介しました、103マイルを投げる豪腕投手、あのボビーです。


     実はシーズン前、キューバの雄ケンドリー・モラレス(第44回に登場。マジックの初完封ゲームリポートと同じ回です)を獲得した際、40人枠を空けなければならなかったために、ウエイバーにかけざるを得ず、ホワイトソックスにさらわれてしまっていたんですよね。
     ブルペンでのボビーは、エンジェルズを見返したっていう気持ちもあったでしょうし、地元で勇姿を見せられて晴れがましいって言う気持ちもあったでしょう。
     クローザー暦は、まだわずか1ヶ月です。
     ちょっと居心地が悪いような良いような、複雑な表情を見せていました。
     ボビー、がんばれ!


     K-Rodも含めて、クエイクスで観てきたプレイヤーたちがチャンピオンシップに堂々と顔を揃えて登場する姿を見るのは、なんともいえません。
     固くなったりせず、上手く持てる力を発揮して欲しい、そんな気持ちが先にたちます。


     ゲームの方は残念ながらサンタナが打たれ、エンジェルズが負けてしまいましたが、私としては、ちょっとしたあやで、別な結果にも転がったんじゃないかな、マジックの出来はそんなに悪く無かったよ。って思いました。


     野球にタラ・レバを言っても仕方ないのですが、もう全部終わってしまいましたので敢えて言ってみます。
     ・・・初回コネルコにフルカウントからのスライダーを高めに浮かせてしまい、3ランを喰らって3点先制されてしまいますが、実はその2球前、2−2から低めのカーブで、ハーフスイングの三振に打ち取っているんです。ジャッジはスイングをとらず、ボールになってしまいましたが。
     この判定がもらえていれば、初回は3点ではなく0点。
     2回裏の攻撃では、フィンリーのバットがピアジンスキーのミットに当たり、明らかな打撃妨害でしたが、これもアンパイアは見逃してしまい、ダブルプレーとなって1点止まり。本当ならワンナウト満塁で、少なくとももう1点は入っていたでしょう。
     この時点で、1−3の劣勢ではなく、2−0で勝っていたとしたら、その後の展開はけっこう違ったものになっていたと思います。
     3回の失点も、名手カブレラの珍しい送球エラーで1点を失ったものですし、5回に許した追加点も、ホームを踏んだポセドニックは、実はファーストで完全に牽制アウトになっていました。これもミスジャッジでセーフにされてしまったのです。
     4回のピアジンスキーのソロホームランは完璧に打たれましたけれどね。


    ●この試合の記事


     まぁ私が言いたかったのは、ミスジャッジが無ければ勝っていただろうって言うことなんかではなくて、サンタナは、ボックススコアで見えるよりはずっといいピッチングを出来ていましたよ、っていうことなんですけれどね。


     ポストシーズンでの経験をまたひとつ肥やしにして、今後は、多少の不利なジャッジにも投げ勝てるちからをつけていってもらいたいと思います。
     マジック、頑張れ!


    (Oct 20th, 2005) 



     (第49回) WBC(World Baseball Classic)


     毎年少しだけリポートしておりますが、今年もアリゾナ・フォールリーグ(AFL)は盛況に行われ、つい先週終了しました。


     今年のビッグニュースは、第46回でご紹介しましたブランドン・ウッド遊撃手です。2003年に高校生でドラフトされたエンジェルズの1位指名。
     今年はシーズン中にも、シングルAクエイクスで新記録となる43HRをかっ飛ばし、カリフォルニアリーグのMVPに選ばれました。
     それに引き続いて、アリゾナ・フォールリーグでも大爆発。


    ●ブランドン・ウッド遊撃手大活躍の記事


     2002年に、それまでライアン・クレスコやハンク・ブレイロックが持っていたAFLのHR記録11本を、ストームのタグ・ボズィートが12本で更新していた記録(第14回でご紹介しました)を、今年さらに2本更新する14HRを放ち、新記録を打ち立てたんです。打率も3割7厘で、3割を打っています。
     恐るべき長打力。ドラフト1位の期待にたがわぬ活躍ぶりです。ひょっとすると、なるべく出番を作るために今後ポジションのコンバートもあるかも知れませんね。


     アリゾナ・フォールリーグでは、ハゥウイー・ケンドリック2塁手と、ケンドリー・モラレス1塁手の二人も仲良く、レッズのケビン・ハワード2塁手、ドジャーズのマット・ケンプ外野手に続く、第3位の打率.380を打っていて、大活躍。二人とも長打率ほぼ6割で、打率だけではないところを見せています。


    ●クエイクス3選手の活躍を伝える記事


     一方ストーム戦士の方ではマイケル・ジョンソン1塁手が打率.272、HR6本と、そこそこ頑張りました。
     2002年のドラフト2位です。当時はウイリアム・ジョンソンと登録されていたんですが、いつの間にかミドルネームのマイケルでの登録に変えていたようですね。


    ●アリゾナ・フォールリーグの公式サイトはこちらです。


     ブランドン・ウッドは、同僚のハゥウイー・ケンドリック、ジャレッド・ウィーバーと一緒にオリンピック予選にも出場していまして、今年は今日現在で58本もHRを打ったことになります。


    ●このウッドのバッティングについて解説した記事


     記事にもありますが、細い体で、そんなに飛ばすようには見えません。柔らかいリストを使って飛ばすタイプなんですよね。
     メジャーの変化球にはまだなかなかついていけないとは思いますが、なにせ高校生で入ってまだ20歳ですから、この子の将来は本当に楽しみです。


     ところで、日本でも徐々に関心が高まっていると思います、WBC(World Baseball Classic)に関して、嬉しい決定が発表されました。
     まずは9月29日付けのこちらの記事です。


    PETCO Park gets WBC finals


     決勝戦と、準決勝の一部が、PETCOパークで開催されることになりました。


     11月7日には、セカンドラウンドの一部のゲームが、エンジェルスタジアム(Big A)で開催されることが発表されました。


    WBC will play at Angel Stadium


     上手く行けば、「日本」対「米国」の対戦がエンジェルスタジアムで観られそうです。本当に楽しみ!


     日本では、選手会の対応などがまだまとまっていないようですが、ぜひ最強チームを編成して参戦して欲しいと思います。
     米国よりもベネズエラあたりの方が強そうな予感・・・。


     非常に興味あふれるイベントになりそうで、今から本当に楽しみです。


    (Nov 15th, 2005) 



     (第50回) エンジェルズのTV放映権戦略


     前回ご紹介しましたブランドン・ウッド遊撃手、目下トレード話で他チームから引っ張りだこです。
     ストーンマンGMに、ブランドンやマジック・サンタナをトレードする意思は全く無いため、数々上がったトレード話は今のところほとんどまとまりません。
     他チームからも、力を見込まれているという証拠ですから、クエイクス戦士の活躍を楽しみにしているファンとしては、喜ばしい限りです。


     さて今回は、チーム名称変更の理由のひとつでもあったTV放映権の話題です。
    (チーム名称変更については今年の初めに、第39回ならびに40回でお伝えしました。)


     去る10月20日、LAタイムズとOCレジスターに、エンジェルズのTV放送契約に関する話が載りました。
     FOXがエンジェルズのゲームに対し、FOXスポーツ・ネット局(FSN)での放映権を、10年総額$340MMの大型契約としてオファーした、という内容です。
     これは、昨年ドジャーズが結んだ10年契約とほぼ同額と伝えられています。第40回でお伝えしましたが、観客動員、TVの視聴率レーティングから見ても妥当なオファーといえるでしょう。モレノ・オーナーの、チームを魅力的にしようという取り組みが実を結んだもの、と言えると思います。


    「Angels fine-tuning broadcast talks」OCレジスターの記事。


     LAタイムズの方はすでにリンクが切れてしまっていますので、こちらをご参照ください。


     しかしモレノ・オーナーは、ヤンキーズやレッドソックスのようにチームで自前の放送局を持つ事業形態も視野に入れているため、今のところこの大型契約のオファーには返事をしておりません。さまざまな角度から検討しているのでしょう。
     カブスやブレーブスもやや形態は異なりますが、専用放送局で放送されていますね。


     実は昨年、地元地上波局のひとつKCAL-9chは、エンジェルズとの契約を2005年末で終了、延長せず、代わりにドジャーズと来季からの長期契約を結びました。
     この時は、ドジャーズも新オーナーを迎え、若き新鋭GMデポデスタのチーム作りに活気付いていたのですが、・・・現在のドジャーズの惨状は予想だにして居なかったことでしょう。


     エンジェルズは今回オファー受けたFOX(放送はFSN)とは、元々2008年まで年間50ゲームの長期契約を結んでいます。ただしこの契約は$7MM/年程度、同じFSNのドジャーズとの契約に比較して約1/4程度と、非常に安価な契約です。(現在ドジャーズ戦はFSNW(ウエスト)2、エンジェルズ戦はFSNW1で放送されています。chは、ケーブル会社、衛星会社、地域によって異なります。)


     なるべくたくさんのゲームをファンに見てもらいたい、という意向のあったモレノ・オーナーおよび球団スタッフの働きかけで、おととしまでは90ゲームあまりしかなかったTV放送は昨年レギュラーシーズンで161ゲームまで増えました。(161ゲームの中には、ドジャーズ主催で放送されたインターリーグ3戦のうちの2ゲームも含めました。)
     FSNでの放送は50の基本契約に加えて、今年2005年は結果的に102ゲームに。放映権料による収入は各局からの収入合計で約$18MM程度とされています。一方のドジャーズは$43MM。
     今年2005年度までは、半分にも満たなかったわけですから、冒頭のFOXからのオファーの持つインパクトが判ろうかと思います。
     ちなみに、地元で放送されなかったたった一つのゲームはなんと、シーズン終盤日曜日のシアトル戦でした。


     モレノ・オーナーが即答していない理由はもうひとつあります。
     FOXスポーツ(FSN)は、ケーブルTVかまたは、DirecTVなどの衛星放送のプロバイダーと契約しないと観られない局なんです。見られる人が限られてきてしまいますね。
     地域住民”誰もが”見られる地元地上波の候補には、KTLA-5ch, KCOP-13ch、そしてKDOC-56chとあります(契約が切れ、今回ドジャーズを取ったKCAL-9chは除外です)。しかしこれら地元地上波が、野球放送を欲しいかどうかはやや疑問符です。
     ご参考までに、LA地区では全国放送の地上波、CBS-2ch、NBC-4ch、ABC-7ch、FOX-11chでローカルスポーツが放送されることはあまりありません。全国放送にゲームが流してもらえるビッグゲームに選ばれることはありますが(各全国局も、地域ごとに放送を別にすることも可能ですので、一部ローカルスポーツが放送されるケースはたまにあります)。

     その昔ドジャーズが、地元ではドジャースタジアムでのゲームのTV放送は敢えてせず、球場に足を運ばせようとしていた時代とは、隔世の感がありますね。
     現在のTV放映権による収入は、当時とは桁違いになっているということでしょう。


     FOXは、今回の長期大型契約を結ぶことによる契約延長が無い限り、来季以降(2008年まで)の放送は基本契約の50ゲームから増やさない、と揺さぶりをかけて来ています。
     モレノ・オーナー、難しい選択を迫られてしまいました。
     果たして来シーズンまでの短期間で、一体どうするのでしょう?

     ・・・しかし、基本的には嬉しい悩みですね。


     エンジェルスタジアムで行われるワールド・ベースボール・クラシックのround2のチケットを購入しました。日本と米国がそれぞれのPool A、Pool Bで優勝して上がってくることを期待して、Strip Bの3ゲームセットを購入です。


    (Dec 14th, 2005) 


     第51回〜55回はこちら

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