嵐と地震とエンジェルズ by 3:16

    第31回 ケイシー・コッチマン、メジャー初ヒット!(May 12, 2004)

    第32回 2004年、アマチュア・ドラフト(Jun 15, 2004)

    第33回 タイタンズ優勝!(Jul 13, 2004)

    第34回 カーティス・プライド(Aug 12, 2004)

    第35回 カリフォルニア・リーグ、ポストシーズン(Sep 14, 2004)



     (第31回) ケイシー・コッチマン、メジャー初ヒット!


     連載が3年目に突入、ここで取り上げてリポートしてきたプレイヤーたちの中から、どうやらメジャーで活躍するプレイヤーが増えてきました。ほんとにうれしいですね。


     今季目覚ましい飛躍を遂げつつあるのは、なんと言ってもパドレスのカーリル・グリーン遊撃手でしょう。
     バックナンバーの第10回でグリーンのストームデビュー戦をリポートしたのがついこのあいだの様に感じられます。

     今季はすっかりパドレスレギュラーの遊撃手として定着し、今日現在32ゲームで、打率.282、HR1本、得点15、打点13、出塁率.350、OPS.777は堂々のバッティングです。


    ●Yahoo!USAにおけるグリーン選手の紹介コーナー(成績がリアルタイムでアップデートされています)。


     なかでも、4/28、4/29と続けてエキスポズ戦でのゲーム終盤での貴重な長打には、なにかスター性のようなものを感じさせました。


    ●4/28のゲーム経過とスコア
    ●4/29のゲーム経過とスコア


     パドレスのタワーズGMは、かねてからグリーンの広い守備範囲と柔らかいフィールディング、正確で強い送球による非凡な守備を非常に買っていまして、今季はバッティングはともかく、たとえ打てなくてもレギュラーで使って育てていく方針を持っていましたが、なかなかどうして、クレムゾン大時代のスラッギング%.888を誇ったバッティングを、メジャーでもうまく発揮出来ているようです。
     これからスランプもあるでしょうが、まだまだ伸び代もある、本当に楽しみな若いプレイヤーですね。


     それから、なんといっても嬉しいのは、ケイシー・コッチマンのメジャー初ヒット。
     アースタッドが故障したため、5月9日、2Aアーカンソーから一足飛びにメジャーに召集されました。
     当日のゲームでは、犠牲フライによる初打点を記録。
     ちなみに2Aでは、コールアップされた時点で打率.368、HR3本、打点18を上げていました。


    ●コッチマンがコールアップされたときの記事


     そして、2ゲーム目の5月11日、ヤンキースタジアムで、記念すべき初ヒットを放ちました。


    ※コッチマンについてはバックナンバーの第18回をご覧下さい。


     雨による中断を挟んでNY時間の夜中の1時過ぎまでかかった6時間15分に及ぶ大激戦となったこのゲーム、ケイシーのヒットをご覧になった方は少ないんじゃないかなと思います。


     この日の試合経過とスコア


     打ったのは8回裏に5−6と逆転されて、ヤンキーズの守護神マリアーノ・リベラが出てきた9回表。ジェフ・ダヴァノンが粘った挙句に三振に倒れ、1アウトランナーなしの場面でした。


     初球ファールのあと、顔の高さの速球、釣り球を空振り、0−2といきなり追い込まれます。
     しかしこの後、持ち前の選球眼のいいところを発揮し、リベラのカッターに何とか食い下がって、ファールで四球粘ったあとでボールカウントをふたつ稼ぎ、しぶとく粘りつつ、2−2となった9球目を反対方向のレフト前へきれいに持っていきました。
     この打球の美しい弾道は、ちょっと忘れられませんね。


     また、素晴らしい投手から打ったこの初ヒットのボールを、ヤンキーズのポサダ捕手がすばやく回収して、代走と交代するケイシーに手渡してくれたのが、とても印象的でした。
     コッチマンも、まだ若干21歳。この先が本当に楽しみです。


     この2人も素晴らしいです。


    フランキー・ロドリゲス投手22歳

    オリバー・ペレス投手23歳


     フランキーは、2002年ポストシーズンに彗星のような活躍をした後にメジャーに定着、そのメジャー初登場以来の素晴らしい投球を続けていまして、ケイシー初ヒットのゲームにて初の自責点1を献上するまで、14ゲーム17イニングズを無失点、28奪三振、フォアボールはたったの4つという、この上ないほどの活躍です。セーブこそつかないセットアッパーですが、0点台のWHIPといい、もはやメジャーでもトップクラスのピッチャーです。


    ※WHIP:Walks plus Hits per Inning Pitched[(与四死球+被安打)/投球回]の略

     オリバーの方も、スプリング・キャンプで投手コーチと取り組んだややサイド気味へのフォーム改造がとても良かったみたいで、フォアボールが激減。
     パイレーツのチーム状態があまり良くないので目立ちませんが、防御率3.48、WHIP1.04という数字からすると、このまま制球力を維持していけたら、メジャー屈指の左腕投手になれる可能性も決して小さくありません。


     さて、クエイクスのジョー・ソーンダース投手(2002年ドラフト1位)ですが、実はまだ、観戦することが出来ていません。

     昨年1年間、故障からのリハビリで棒に振り、復帰初戦はなかなかいいピッチングを披露したのですが、ちょっと揮わないようですね。
     元々スピードを身上とするタイプではありませんので、なにかいいきっかけをつかんでくれれば、と願っています。


     そして一方、ストームにも非常に楽しみな投手が入って来ました。
     ティム・ストーファー投手。2003年ドラフトのパドレス1位、全体でも4番目の指名を受けた期待の投手です。22歳。


     4月11日にストームでデビュー。5回を1失点。続く16日にも6回を1失点。22日には5回を2失点で、勝ち投手になりました。
     その後もいいピッチングを続けていて、現在のスタッツは、6ゲーム35.1イニングズを投げて2勝0敗、防御率1.78、奪三振30、フォアボールはたったの9つです。
     是非この投手は、ストームにいるうちに観に行かなくては!!


     次回は・・・、


     ティム・ストーファー投手をリポートしたいと思います。是非!


    (May 12, 2004) 



     (第32回) 2004年、アマチュア・ドラフト


     今回は、ドラフトの話題です。
     なんといっても今年、大注目していたのは、パドレスが、いの1番のドラフト・ピックの権利を持っていたというところでした。


    ●MLB.comの、ドラフトの特集ページ


     前回予告で、今回お伝えしようと思っていました、パドレス昨年1位(全体4番目)のティム・ストーファー投手も順調に成長しているようですしね。
     6月5日のクエイクス@レイクエルシノア・ストームのゲームを観たのですが、ストーファー投手の登板に会うことは出来ませんでした。残念!
     謹んで、お詫び申し上げます。
     というのも、今季ストームで6ゲームを投げて2勝0敗、防御率1.78、奪三振30という好成績を前回お伝えした直後、2Aのモバイルへ昇格してしまっていたんです。
     おめでとう!


    ●ストーファー投手昇格の記事


     さて、大注目の2004年度ドラフトいの一番のプレイヤーは、地元ミッション・ベイ高校の、マット・ブッシュ君でした。


    ●マット・ブッシュ君1位指名の記事


     記事にはありませんが、子供の頃、「トニー、トニー、サインちょうだい!」なんてやってたそうで、是非パドレスのフランチャイズプレイヤーになって欲しい、期待の高校生遊撃手です。
     大きな契約金、315万ドルを手にして、早速、学校に10万ドルほど寄付をしたそうです。


     ちなみにドラフト前のもっぱらの噂では、今年からドジャーズに加わっているジェフ・ウイーバー投手の弟で、ジェイソン・ジアンビの後輩に当たるロングビーチ大のピッチャー、ジャレッド・ウイーバー投手か、今年からブレーブスに加わったJ.D.ドリュー外野手を長兄とするドリュー3兄弟の一番下の弟、ステファン・ドリュー遊撃手かが、ドラフトいの一番になるんではないかという評判が立っていました。
     しかしドラフトが近づくにつれ、パドレスは地元っ子のマット・ブッシュ君に行きそうだ、という観測が流れました。
     というのも、一説には、お兄さんともどもドラフト1位指名兄弟になるウイーバーとドリューの2人は、代理人があの2億5千2百万ドルの大型契約で有名なA-Rodの代理人、スコット・ボラス氏だったため、各球団が指名にやや二の足を踏んだ、という面があったようです。


     しかし今年は、とある本の出版の影響もあってか、各チームとも高校生よりも即戦力の大学生を!という傾向が出てきている中、A-Rod以来となる高校生遊撃手のいの一番、今後の成長が本当に楽しみですね。
     ルーキーリーグからストームに上がってくる日が、今から待ち遠しい!


     一方、全体の12番目のドラフト・ピックの権利を持っていたエンジェルズは、上記のジャレッド・ウイーバー投手を指名しました。


    ●エンジェルズ、ジャレッド・ウィーバー投手を1位で指名の記事


     こちらもこちらで、先日無くなったロナルド・レーガン大統領の記念館があるロサンゼルスのシミ・バレーに住んでいますので、今年からドジャーとして帰ってきたお兄さんのジェフ・ウイーバーとともに、地元のチームでプレイできることをとても喜んでいるそうです。


     実はこのジャレッド・ウイーバー投手、第20回「NCAAチャンピオン?!vol.2」に登場しているのを、ご記憶でしょうか?


     ほんとうに、体形も投げ方もお兄さんそっくりな、ひらひらと投げる、シンカーを得意とするピッチャーです。
     こちらは既に、大学での実績が素晴らしいので、2Aアーカンソーからのスタートで、上手く行けばすぐに昇格して、来期はメジャー契約でのスプリングキャンプ、ということになりそうです。ボラス氏は契約の際に、メジャー契約の40人ロースター確約を要求するものと思われます。
     トロイ・グラウスを位指名したときでさえメジャー確約はしなかったエンジェルズのフロントとの交渉、すんなり行って欲しいところですが、どうなりますか。


     その他のドラフト1位のプレイヤーたちの情報は、こちら。2位以下のプレイヤーもご参考に。


     さて、先日観戦したゲームで、リハビリ中のティム・サーモンのHRを見た他にも、注目のプレイヤーを見つけました。この日もライト前にヒットを打っています。
     クエイクスの、マイケル・ナポリ捕手です。
     6/14日現在まで、キャッチャーにして57ゲーム出場して打率3割3分、リーグトップのHR17本、打点66を上げています。
     2000年のドラフト17位で入ったそうですが、いい体格で、パンチ力があります。三振の多い粗いバッティングが、今のところ修正課題でしょうか。
     でも今のうちは、魅力を伸ばして、どんどん振って行ってもらいましょう!
     期待していますよ!


     次回は・・・、


     クエイクスの注目プレイヤーをさらに取り上げてみようと思います。


    (Jun 15, 2004) 



     (第33回) タイタンズ優勝!


     独立記念日の3連休の初日にあたる7月3日土曜日、クエイクスのザ・エピセンターに行って来ました。
     この日は、マリナーズ傘下の66ersを迎えての1戦、(第31回でお伝えできるはずだった2002年ドラフト1位の)ジョー・ソーンダース投手の登板にうまく当たりました。
     故障から復帰してなかなか調子が上がりませんでしたが、だんだん本来の実力を発揮し始めたようです。
     速球こそそう速くはありませんが、ボールのロケーションが素晴らしいピッチングでした。右足の踏み込みの歩幅があまり大きくなく、腕の振りの使い方が上手いサウスポーです。チェンジアップをもう少し磨けば、なかなかのピッチャーになりそうな、大いに期待の持てる投球振りでした。


     もう一人目立っていたのは、強打のマイケル・ナポリ捕手よりむしろ、エリック・アイバー遊撃手でした。
     この日は2塁打を放ったんですが、高めの簡単ではないボールをシャープなスイングで打つ格好には光るものがありました。パワーこそありませんが、今季既に38盗塁のスピードもあります。よく見ると打率もリーグトップ。楽しみです。


    ゲーム・リキャップ(11対3で圧勝。)


     そうそう、ピッチング・コーチは以前東京ジャイアンツにいたあのキース・カムストック投手でした。同じ左投手ですから、ソーンダース投手の成長に一役買ってくれることでしょう。
     話しかけて、ついでに赤ちゃんを抱っこしてもらったんですが、ばつの悪いことに人見知りで大泣きしてしまったところ、「ダイジョブデスカ?」と日本語で声をかけてくれましたよ。
     なんだか、とても嬉しかった!


     さて、話題は変わりますが、州立大Fullertonタイタンズがカレッジ・ワールドシリーズで、なんと優勝しました。チーム史上4度目の栄冠です。
     おめでとう!


     今季のチームはクローザーのチーフをはじめ主力がごっそり抜けてしまい、昨年大活躍だったチームに比べ、正直言って見劣りしてしまう印象でした。
     また昨年、終盤に宿敵スタンフォードにやられたのが最後まで響いてしまった訳ですが、今年もそのスタンフォードにふがいなく3連敗してシーズンをスタート。
     シーズン前半は15勝16敗の防御率4.85と、とてもチャンピオンを望むべくも無い成績でしたが、後半は31勝6敗で防御率2.84と、見事に巻き返してみせました。

     決勝ではテキサス大ロングホーンズとの対戦になりましたが、テキサス大のヘッドコーチは19年間タイタンズを率い、3度のチャンピオンに導いた名将Augie Garridoコーチでしたので、タイタンズのGeorge Hortonコーチとは、くしくも「タイタンズ師弟対決」と言うことになりました。


    ●Hortonコーチの記事


     タイタンズは、シーズントータルで47勝22敗、ポストシーズンでは11勝2敗のチーム成績を残し、昨年、最後の最後でジャレッド・ウイーバーのロングビーチ大にかっさらわれたビッグウエストのタイトルも、19勝2敗で奪還したんです!
     一方のテキサス大は、シーズントータルで58勝15敗、ポストシーズンでは最後の決勝でタイタンズに負けた2敗だけ、という好成績でした。


    ●2004年のタイタンズ全成績


     今年のタイタンズは、まさに雑草の全体野球での勝利だったといえます。
     スタープレイヤーや大砲は不在で、ビッグウエストの三冠王にあとHR1本足りなかったという急成長を見せ、ものすごい活躍ぶりだったハワイアンのカート・スズキくん(そうです、第5回でご紹介した、イチローに会うのが夢だといっていたスズキくんです)を中心に、バントやエンドラン、チームバッティングや、あきらめない粘りの野球、まさに全員泥んこになっていわゆるスモールボールを実践していくスタイルのチームでした。


     また、終盤に入ってからのジェイソン・ウインザー投手の活躍も、大きな要因でした。ポストシーズンに入っては7勝0敗で防御率1.06。
     ポストシーズンではカート・スズキ捕手が打てませんでしたが、ともに1塁と捕手が出来るフェリペ・ガルシアとP.J.・ピリッタレの2人だけが当たっていて、チームは彼ら2人に助けられた格好でした。


     そして、いつものグッドウインフィールドでの観戦仲間(というか、古くからのブースター・クラブメンバーさんたちですね)は、仕事を放り出してオマハへすっ飛んで行ってしまいました。


    ●オマハでのカレッジ・ワールドシリーズの模様を伝える写真の数々


     その後、カート・スズキとジェイソン・ウインザーはそれぞれ、2位、3位でオークランドA'sにドラフトされました。

     そうそう、A'sには、第5回でもご紹介しました伝説的タイタンズの先輩、カーク・サーロース投手がアストロズから今年移籍して来ましたね。エンジェルズ、インディアンズを相手に先発して、合計11回2/3を無失点です。


     それと、4年生のマイク・マルチネスとP.J.がそれぞれ、8位と13位でヤンキースにドラフトされました。チームメイトが揃って同じチームというのは、励みになりますね。
     プロでの活躍を期待しましょう。
     そしてカートくん、近いうちにイチローに会えることになるかもしれません。楽しみですね。


     次回は・・・、


     クエイクス・マスコットのトレマーの話題などをお送りしようかな、と思っています。


    (Jul 13, 2004) 



     (第34回) カーティス・プライド


     5月29日、エンジェルズは、延べ11球団(7球団)のメジャー(と傘下のマイナー球団)と、加えて独立リーグの球団をも渡り歩き、今年でプロ19年目を迎える、とあるベテラン・プレイヤーとマイナー契約をしました。
     その名は、カーティス・プライド。
     昨年末にヤンキーズの一員として4ゲーム出場し、その後自由契約になっていた彼は今年、通算3度目の所属となる独立リーグのナシュア・プライドというチームでシーズンを迎えていました。ナシュアではおなじみってわけですね。
     そしてプライドはその後、エンジェルズ3Aのソルトレイクでプレイし、4割を越える好調な打撃を買われて、7月27日、ついに再びメジャーへと昇格しました。エンジェルズは、延べ12球団目(8球団目)ということになります。


     エンジェルズ公式HPでの小さな記事(下の方です)。


     昨年ヤンキーズにおりましたこともありますし(実は昨年も独立リーグのナシュア・プライドでシーズンをスタートしていました)、ご存知の方はご存知のプレイヤーだと思いますが、カーティスは生まれたときから95%程度耳が聞こえません。私は聴覚障害について詳しい知識を持ち合わせておりませんが、すぐ傍で大声でしゃべっても聞こえないぐらいの程度だそうです。
     しかしワシントンDC出身のカーティスは、スポーツ万能の素晴らしいアスリートで、17歳以下の米国サッカーチーム代表で'85年に中国に遠征に行ったこともあるそうです。
     この時期はWilliam and Mary大学のバスケットボールの奨学生でしたが、17歳の時にドラフトでメッツから10位で指名を受けた時は家族の意向もあって、二束のわらじを履くユニークな契約を交わしています。
     大学のバスケットボール・チームで4年間活躍しながらメッツのマイナーリーグでプレイする、というのは、メッツからのサポートも含めて、とてもすごいことですね。


     ちなみにこの年のドラフトでは、現ヤンキーズのケビン・ブラウン、ゲーリー・シェフィールドや、MLBとNFLの二足のわらじで有名だったボー・ジャクソンなども、同期としてピックアップされております。


     カーティス・プライド選手の簡単な経歴紹介と、功績を称えられて受賞した数々の賞の紹介が載っているページをご紹介しておきますね。


     '93年からはエキスポズに移籍、2Aと3Aで打率.324、ホームラン21本、50盗塁の活躍で、9月のロースター枠拡大のチャンスにメジャーに昇格、9月17日の対フィリーズ戦で記念すべきメジャー初ヒットを放ち、モントリオールのファンから約5分間も続く大きな拍手をもらいました。
     私もこのゲームは記憶にあります。ペドロ・マルチネスが投げたゲームでしたね。


     奥さんと一緒にプライド・ファウンデーションInc.という、耳の不自由な子供たちのための基金を設立、運営していますので、ページをご紹介しておきましょう。


     さて、私もプレイヤーとして知ってはいましたものの、ただ知っている程度でしたが、今度カーティスがエンジェルズに加入して来ることになって、あらためて身近な存在となり、そのお陰で、私自身の野球の世界観がちょっと広がりました。
     ソーシア監督は、「どうせ外野は大声援で(お互い掛け合う声が)聞こえないから、大丈夫だよ。」と言っています。外野守備ではアイコンタクトなどによる意思の疎通の方が大切で、その点カーティスは非常に長けているので心配ない、というわけです。


     ちなみにエンジェルズ・クラブハウスという番組でのインタビューを見たところ、ごく普通に受け答えしていて、音が聞こえていないということを全く感じさせません。目で相手の口を読んでいるんですね。
     ですからカーティスによると、マウンドでのピッチャーの会話、実は”聞こえている”ことがあるんだそうです。何度かその情報でアドバンテージを取ったこともあるとか。そのつもりじゃなくても、ってやつですね。
     面白いと思いませんか?


    (カーティスにとっては・・、)
     ・・・野村監督の現役時代のように、キャッチャーから「左肩が下がってるんじゃない?」とか色々ささやかれても聞こえない一方、巨人の桑田投手のようにマウンドでぶつぶつしゃべりながら投げるピッチャーはうるさくてかなわない。だとか、

     ・・・スタンドのフィールドボックスにいるカップルの会話、小耳(ならぬ目の端?)に挟んじゃったけど、こっ恥ずかしくて聞いてらんない、集中できないよ!とか。

     どうなんだろう?なんて想像しちゃいます。


     野球の場合、口のところをグローブで覆うようにしてマウンドで会話している場面を良く見かけますが(エンジェルズのウアッシュバーン投手のように、グローブで隠さないでしゃべるピッチャーも中には居ます)、そうしないと、カーティスには”聞こえて”しまうんですね。
     スコット・シールズはこの件について、こんな面白いことを言っています。
     「そういえば、なんでグローブを口に当ててしゃべるのか、自分でもわかんないな。野球始めたときからただ自然にそうしてるっていうか・・・。」


     1900年前後に2,000本以上のヒットを打つほどの活躍をした、Dummy Hoyという偉大なプレイヤーは、やはり耳が不自由でした。このDummy Hoy外野手がきっかけで、野球のアンパイアは、ストライクやボール、アウトなどのコールを、大きな声だけではなく、ジェスチャー入りでするようになったといわれておりますが、今日、ピッチャーやキャッチャーが自然とやっているグローブで口を隠すしぐさも、案外この頃から習慣づいていたのかも知れませんね。


    Dummy Hoyについての説明


     どうやら野球界のグラウンドにおけるバリアフリー、こうした素晴らしいプレイヤー達の功績によって一般社会よりもずっと進んでいたのかも知れません。


    ※お詫び:
     ここ数回、次回予告を行っておきながら度々内容を変更してお伝えしておりますため、この予告は廃止することにいたしました。申し訳ありませんが、よろしくご了承ください。


    (Aug 12, 2004) 



     (第35回) カリフォルニア・リーグ、ポストシーズン


     さて、9月に入り、メジャー各球団のロースター枠は25人から40人へと拡がりました。
     そして今年も、何人かのクエイクス戦士、ストーム戦士が、メジャーチームへコールアップされています。


     昨年の9月、第23回の記事では、カリール・グリーン遊撃手がコールアップされたことをお伝えしたなぁ、って思い出しました。今年はついにレギュラーポジションを獲得、ルーキー・オブ・ザ・イヤーの呼び声も高い大活躍を見せてくれています。
     嬉しいですね!

     第10回で、カリールのストームデビュー戦をお伝えできたことも、いい思い出です。


     ちなみにこの時には、オリバー・ペレス投手のメジャー3勝目を喜んでいたんですが、ペレスはその後、ブライアン・ジャイルズとの交換でジェイソン・ベイとともにピッツバーグに移籍、ピッチングコーチとの息が合ったんでしょうか、腕を振るボールのデリバリーの角度をやや横に下げるなどのマイナーチェンジの効果もあって、非常にフォアボールは少ない一方、奪三振はリーグ有数を誇る、素晴らしい投手へと大成長しました。


     そして今年の枠拡大以降のコールアップは、エンジェルズではダラス・マクファーソン3塁手、ケイシー・コッチマン1塁手の2人、パドレスではゼイビアー・ネイディ外野手一人だけです。

     ケイシー・コッチマンは今年の5月〜6月のアースタッドの故障時に、すでにメジャーでの実績を積んでいますね。
     ケイシーについては、第18回第31回にリポートがありますのでご参照ください。
     ネイディーも実績十分ですね。第6回10回17回29回などをご参照いただければ幸いです。


     エンジェルズにコールアップされたダラス・マクファーソン3塁手は今年、2Aと3Aで、8月末までに40本ものHRをかっ飛ばしました。まだまだ、桁外れに多い三振数と、エラーの多い守備がネックでメジャー定着は無理ですが、この9月の合流によって、何かを掴み取って学んでくれることでしょう。


     本連載が始まってからのクエイクス/ストーム戦士(曖昧な仕切り方ですみません)で40人ロースター枠に入っているプレイヤーは、2チームで21人ほど居ます。
     *(アスタリスク)のついているプレイヤーはアクティブ・ロースターには入っていません。


    ●エンジェルズ

    Matt Hensley
    Alfredo Amezaga
    Casey Kotchman
    Dallas McPherson
    *Steve Andrade
    *Chris Bootcheck
    *Bobby Jenks
    *Derrick Turnbow
    *Jake Woods
    *Wil Nieves
    *Robb Quinlan -DL


    ●パドレス

    Jake Peavy
    Sean Burroughs
    Khalil Greene
    Xavier Nady
    *Chris Oxspring
    *Dennis Tankersley
    *Rusty Tucker
    *Steve Watkins
    *Freddy Guzman
    *Jon Knott


     元ストーム戦士のクリス・オクスプリング投手は、オリンピックでオーストラリア・チームが長嶋ジャパンを破る立役者となり、日ハムか阪神が獲得か?なんて騒がれていますね。


     さて、カリフォルニアリーグのペナントの行方もご報告しておきましょう。


     今年は、クエイクスも、ストームも、カリフォルニアリーグのポストシーズンには活躍できませんでした。
     北部ディビジョン、南部ディビジョンとも、前期・後期を同じチームが優勝。
     モデスト・A'sと、ランカスター・ジェットホークスです。


     これによって、ワイルドカードは後期の2位3位チームとなり、ストームは4位で脱落、クエイクスは辛うじて3位でポストシーズンに進んだものの、2位のインランドエンパイア・66ersに敗退しました。
     残念!


     南部は、昨年覇者の66ersと今年完全優勝のジェットホークス、北部は前々年覇者のストックトンと今年完全優勝のA'sという堂々たる顔ぶれで、チャンピオンシップへの準決勝を戦います。


     来年は、ジョシュ・バーフィールド2塁手やマジック・サンタナ投手、ジェフ・マチス捕手、そして今年リポートしましたティム・ストーファー投手やジョー・ソーンダース投手、エリック・アイバー遊撃手、メイケル・ナポリ捕手などの活躍するニュースが届くと嬉しいですね。


    (Sep 14, 2004) 


     第36回〜40回はこちら

現連載

過去の連載

リンク