ホットタイガース by じん

    第46回 2006シーズンを見据えての監督会議

    第47回 2006シーズン、オープン戦展望

    第48回 2006シーズン、神宮での開幕3連戦

    第49回 2006シーズン、交流戦に向けて

    第50回 2006シーズンの甲子園詣で



     第46回 2006シーズンを見据えての監督会議


     早いもので、もうキャンプインですね。いよいよ今年も野球シーズンがやってきました。試合日程も正式に決まり、タイガースに関していえば主催試合のチケット発売方法も発表されました。だんだん、盛り上がってきていますね。

     さて、シーズンを前にして、先日、監督会議が開催されました。ここで各監督からいろいろな提案が出されたようですが、やはり久しぶりに復帰した野村監督がいろいろと話題を提供したようです。
     野村監督ではないのですが、個人的にいまのプロ野球のルール、システムで、止めて欲しいものがいくつかあります。「古いタイプのファン」なので、予告先発、指名打者、交流戦、プレーオフは、どうしても肌に合わないんですよね。そういう意味では野村監督に近い感覚なのかもしれません。

     まず、予告先発。他の3つは条件つきで何とか理解しようと努力はしているのですが、これだけは意味がよくわかりません。昨年の岡田監督、唯一の失敗は、日本シリーズで予告先発を認めてしまったことだと思っています。野村監督の言うように、先発投手を予想するのもファンの一つの楽しみだと思うんですよね。また、予想するまではいかなくても、誰が投げるかわからないというのは宝くじみたいで面白いという感覚があります。
     このことには反論ももちろんあるのですが、どうしても説得力を感じません。例えば、ライオンズフロントの意見として、「松坂や西口が投げるときは観客動員が増える」という旨の反論がありました。でもよくよく考えれば、松坂や西口のようなローテーション投手であれば、予告しなくてもある程度、登板する試合はファンにもわかるもの。どうしても予告を動員に結び付けたいのなら、勝手に宣言すればいいだけの話です。

     バレンタイン監督の反論に関しては「ファンのため」という免罪符が白々しいと感じています。バレンタイン監督の戦法が予告先発を一つの生命線としていることは明らかで、はっきりそれを言えばいいのに、ファンのためという言葉でそれを隠してしまっています。もちろんこれは価値観の違いかもしれませんが、前述のように、先発投手がわかっていることが本当にファンサービスになっているのかどうか、個人的には疑問です。また、仮にそれがファンサービスなら、何故スターティングメンバー全員の予告をやらないのでしょうか?例えば、○○投手の登板を見たいファンもいれば、△△内野手を見たいファンもいます。ファンのために予告先発をするのであれば、先発メンバー全員を予告するのがファンサービスでは?なんて、揚げ足を取ったりしてしまいます(実際に、たまにパ・リーグの試合を見に行って、お目当ての野手が見れないという経験が何度もあるんです!)。

     指名打者という制度も、去年の浜中のようなメリットは認識しつつも、やはり野球というゲームの中では邪道だと感じてしまいます。特にチャンスで投手に打順が回ってきたときの監督采配がどうなるか。ファンとしても思いを巡らせる場面ですし、その結果が出た後でも、いろいろと話のネタにできるんですよ。それが勝敗のアヤになることも多々ありますし、正直、そういった部分をごっそり削ぎ落としたシステムが本当にいいのかどうか、議論を尽くして欲しいところなんです。

     交流戦、プレーオフに関しては、メリット、デメリット相反するというところでしょうか。この二つのシステムに関しては、やり方次第と考えています。そもそも交流戦の反対理由は「試合数が多すぎる」ということであり、プレーオフに関しては「出場権を得るチームの割合が多すぎる」ということに集約されます。どちらもすぐには解消できる課題ではないですね。特にプレーオフ、来年からセ・リーグでも導入される方向で話が進んでいますが、安易な決定はして欲しくありません。1リーグ6チームなら、やはりプレーオフ進出は2チームが限界でしょう。チーム数が増えるのであれば別ですが、パ・リーグとの連携による形も視野に入れなくてはなかなか納得できるシステムにはならないように思えます。

     交流戦での指名打者の扱いについて、岡田監督がセパの主催試合での逆転での採用提案をしました。交流戦に新しい要素を加えることで、昨年と違うものを見せようという発想です。セパの制度の違いを逆手に取った面白い提案です。実際どういう効用があるのかはよくわからないのですが、だからこそ限定企画としては、やってみてもいいかなという感じです。現在指名打者制は、交流戦、日本シリーズのパ主催試合に適用されています。つまり、セのチームが指名打者を使えるのは表の攻撃のときのみ。前述の投手交代のアヤなども含めて、表の攻撃か裏の攻撃かでも、選手起用が大きく変わる局面があるのが野球の面白さです。投手の続投か、代打を起用するか。野手も交代で代わっている場面で、打順の流れも変わっています。そこをどう考えて、どういう采配をしていくのか。特に僅少差での終盤や延長戦で、そのようなケースに遭遇することがよくあります。それが指名打者を使うことでどのように変わっていくのかという視点で見れば、交流戦で1年限定でやる分には興味深いものが見れるかもしれません。
     実際には実行委員会で却下されたようですが、去年と同じ形での交流戦で、ファンの関心度という点で果たしてどういう効果が見られるか。今後のシステムを考える上でも、重要なシーズンであることは間違いないでしょう。



     第47回 2006シーズン、オープン戦展望


     キャンプもあっという間に終わってしまい、いよいよオープン戦も始まりました。WBCも始まって、いよいよ野球シーズンも本格化してきましたね。個人的には今年もチケット争奪戦が始まり、シーズン観戦の予定が徐々に決まってきています。本当にワクワクしてきます。
     オープン戦に関して言えば、すでに練習試合という形で他球団との試合もこなしていますから、昔に比べると、「いよいよ始まった!」という感じではないのですが、それでもやはりオープン戦という響きは練習試合とは全く別物です。
     さて、タイガースですが、先週末の安芸と高知で行われたバファローズとのオープン戦は、放映権の関係もあり、残念ながら関東では見ることができませんでした。というわけで詳しい内容はわからないのですが、結果を見るとなかなかいい感じで連勝したようですね。練習試合や紅白戦も含めてここまでの実戦の内容を見ていると、投打ともに、本当に怖いくらい順調に調整が進んでいるように感じます。

     試合の勝敗という結果だけを見ると、弱い時期でも、オープン戦初期は強かった。(^^;
     以前のタイガースはとにかく勝ち癖をつけるために、オープン戦と言えども、しゃかりきに勝ちに行っていました。他チームとの試合は、各チームの状況や調整の状態に差があるため、一概に結果だけでは判断ができないのは当然のことだったのですが、やはり勝つことで気分も良かったし、今年は違うぞとカン違いもしてしまいましたよね。1年間というレンジで考えれば当然戦力的には厳しいものがありましたし、冷静に考えれば「今の時期しか勝てない」という一種の切迫感があったのも事実でした。
     そういう意味で言えば、今年は練習試合も含めてまだ数試合ですが、その試合運びに余裕を感じます。チームの状況的にこの時期の勝ちにこだわる必要もなくなったわけですが、控え層の底上げや各選手の競争意識もあって内容も充実していますし、結果はその後についてくるという非常に理想的でいい形になっているように感じます。

     が、全てが順調な中でウィリアムスの離脱が決まりました。唯一の誤算と言えば言えなくもないのですが、昨年手術をしたときから、この事態も予測できなくはありませんでした。また数年前なら、これで今年も終わったかなぁみたいな感じになっていたかもしれませんが、他の投手にチャンスが回ることで逆に楽しみな部分もあるんですよね。

     幸か不幸か藤川と久保田もWBCに派遣されたということで、オープン戦にJFKがいないという状況の中、穴を埋めるべき投手陣、特に若手の登板機会が必然的に増えてくるでしょう。いろいろと試行錯誤もできるし、必然的にテストも存分にできます。結果は気にせず、かと言って、全く勝負にならないというレベルでもありません。このオープン戦でさらにレベルアップしてくれるんじゃないか、そんな期待も膨らんできています。
     シーズン開幕まで残り1ヶ月弱、オープン戦の内容からも目が離せません。



     第48回 2006シーズン、神宮での開幕3連戦


     いよいよ今年も開幕です。さっそく神宮の開幕3連戦に行って来ました。

     まずは開幕戦。この3連戦でWBCの優勝トロフィーが神宮でお披露目ということだったので、球場入りする前に球場正面に回ってトロフィーを見てきました。やはり人だかりがしていて、みんな携帯で写真撮影してましたね。もちろんデジカメで撮ってきましたが、あのトロフィーが目の前にあると思うと何か不思議な感じでした。

     開幕セレモニーも終わり、いよいよ試合開始。開幕戦は何度か来ていますが、やはりこの時期のナイターは寒くて辛いですね。特に今年はいつも以上に寒い開幕でした。とにかく強風が吹き荒れていると言っても言いすぎではないような冷たい風が吹いていましたが、やはり生観戦は楽しい!去年の日本シリーズ以来、約5ヶ月ぶりの観戦を楽しみました。

     この試合のポイント。まずは井川ですね。とにかく立ち上がりの1回は最高でした・・・が、こういうときって得てして後が恐いというのが、経験則から導き出された直感みたいなものです。調子がいいときにひとつリズムが崩れるとなかなか修正が効かないということがあるんでしょうか。井川の崩れるきっかけは、ラミレスのホームランでした。あのホームラン、ラミレスには失礼かもしれませんが、本当に出会い頭という感じがしました。もちろんパワーがあるからあそこまで飛んだんでしょうが、振ったら当たったという感じに見えました。冷たい強風にも乗ったようです。いい感じで投げていたところにあのホームランで一気にリズムが崩れて、ボロボロになってしまいました。
     とは言っても1年目、2年目の投手じゃないんで、そういうところで踏ん張って欲しいとは思うのですが、この日はもうボロボロでした。この回の8人攻撃を何とか3点で抑えたのはさすがなのですが、とにかく点の取られ方が悪すぎて、かつ開幕戦という特別な状況もあって、3点以上の重みがチームにかかってしまいました。
     この日の最終なスコアは3−4と僅差にはなったものの、雰囲気的にはスワローズに圧されていました。ただ結局、この点差で納まったのも、スワローズ側にリズムに乗り切れない要因があります。結局この3連戦を通じて言えたことだったのですが、全ての打席をピンチで迎えた古田新監督を、完全に討ち取ることができたこと。おそらく古田に1本でもヒットが出ていれば、この3連戦の雰囲気もタイガースにとって悪い方向へもっと変わっていたかもしれません。

     さて、この試合のタイガース打線で一際元気があったのが、相手投手が左腕の石川であったにも関わらず2番セカンドで起用された藤本です。他の選手が四苦八苦している中で3安打、1四球、素晴らしかった!
     投手陣では井川の後、相木、能見が登板。相木は初めて生で見たのですが、なかなかいいボールを投げていましたね。死球を2つも当ててしまいましたが、宮本への死球はかすっただけですからね。ラロッカへの死球の後にも内角を攻めていた証明ですし、ボールのキレもよく、これからも働いてくれそうです。能見はちょっと厳しい判定もあり、無死満塁というピンチを背負ってしまいましたが、鳥谷の好守備もあり、しっかりと無失点で切り抜けました。場面的には左対左で岩村をきっちり抑える役目が果たせませんでしたが、この大ピンチを切り抜けたことは今年のこれからの財産になるような気がします。
     そういう諸々を含めて開幕戦に負けてしまったことは残念だし、正直しっかりやれば勝てた試合だなぁという思いもあるのですが、それでもいろいろと見所のある試合でした。

     さて2戦目です。前日とはうって変わって、好天のデーゲームです。神宮周辺も桜が満開で、花見日和、野球日和となりました。
     この日の個人的注目は「10割打者」藤本だったのですが・・・1回表の第一打席にいきなり不運が!1−2からの打球がグラウンドに跳ね返り、藤本の顔面へ直撃したのです。結局、治療のためにベンチに下がったまま、代打に関本が送られてしまいました。一人好調を維持してシーズンインしていただけに、本当にもったいない退場。何事もなければいいのですが・・・・。
     こういうときは球場にいると情報が入ってこないので、もどかしいです。結局、翌日のシートノックのときに元気に守備についている姿を見て一安心したのですが、代わって出てきた関本がこの2戦、3戦と大活躍。思っていた以上にハイレベルな守備位置争いは、シーズン中も繰り広げられることになりそうです。

     先発の安藤は初回以外、毎回ランナーを出すものの得点を許さないという、いつもどおりの粘りのピッチング。というか、ランナーが出てもある程度安心して見ていることができました。とはいえ、タイガース打線も相変わらずピリッとしない展開で、なかなかエンジンがかからないなぁというのが正直な感想でした。
     3点リードで決してセーフティリードではなかったのですが、なんとなく勝てそうな雰囲気が出てきたのが5回裏のスワローズの攻撃でした。安藤もちょっとへばり気味で、一死から真中、青木にいい当たりで連打を浴びて1,2塁。点を取った直後だったので、ここで1点でも2点でも返されていれば、イニングを考えればイヤな場面です。打者は2番の田中浩、しかもまだノーヒットの選手だったので、当然送りバントでくるのかなぁと思っていたわけなのですが、なんと強攻!それもおあつらえ向きのセカンドゴロゲッツーとなり、流れを断ち切りました。いや、本当にこれで勝ったと思ったんですけどねぇ。
     6回裏の一球にこの試合の終盤の全てが集約されてしまいました。安藤がリグスに四球、ラミレスにセンター前ヒットを打たれます。ラミレスの当たり、もうちょっとで関本も取れてゲッツーかとも思ったのですが、打球がわずかに速かったのでしょう。
     5回に続くこのピンチで、まずラロッカをサードゴロに打ち取ります。これで一死1,3塁。武内、古田と続く打線を考えれば何とかリードを保ったまま抑えきれると思っていたのですが、なんと、ここで武内に同点3ランを打たれてしまいました。
     安藤の投球が決して甘かったわけではなく、これは武内がうまく打ったと褒めざるを得ないような打席でした。本当にうまく打たれてしまいました。

     ただ、ここまでならまだ同点ですし、なんてことはなかったのですが、開幕してからどうもタイガースはノリが悪い感じで、重かった。新人の一発で同点に追いついただけにスワローズは盛り上がるし、タイガースは急に追い込まれた雰囲気になっていったように感じました。

     すると、いよいよ運命の最終回が来てしまいました。こうなるとビジターは圧倒的に不利。関東方面の観戦が多いので仕方ないのですが、この展開でサヨナラ負けになる確率は非常に高いものがあります。9回裏は相木が古田、宮本を連続三振に討ち取り、とにかく延長と思えるところまで来たのですが、慎重を期した能見へのリレーが裏目で、城石に四球を与えた後に青木に内野安打を打たれます。正直、きわどい判定ではありましたが・・・。
     ここで久保田が宮出にヒットで満塁の後、リグスに押し出し四球で試合終了。あっけない幕切れでした。

     そして迎えた最終日。開幕3戦目です。イチローではないですが、3つ負けることは許されません・・・みたいな気分で、この日はゲンを担いでみました。2戦目まではJR信濃町駅で降りて球場へ歩いて行ったのですが、この日は千駄ヶ谷駅からのルートで行きました。まぁ、いつもやっていることで、あまり効果も期待できないのですが、ファン心理としては、何かせざるを得ません。
     ここまでの試合で気になったのはノーヒットコンビの桧山と矢野のベテラン勢。特に桧山は6番という本当にポイントとなるポジションでありながら、本当にありえないくらいに精彩がありませんでした。見ていても打てそうな雰囲気がなかったし、どうしても打線がここで途切れてしまう。とにかく、2戦目までの重苦しい雰囲気は、やはり打線が一気に乗っていけない、そういう状況にあったと思います。

     ただし、この日は桧山がポイントになって、一気に打線が爆発しました。まずは1−0でリードしていた4回表の攻撃。一死から金本の四球の後ボークがあり、金本を二塁に置いて今岡という場面がありました。去年ならここで今岡が決めてくれる場面なのですが、まだ今年の今岡は本調子じゃない感じですね。
     あっさりサードゴロで、金本を進めることもできずという場面になって、問題の桧山の打席。やや諦めかけ・・・というより、見ていて本当にタイミングが合っていないというのがここまで見ていての印象だったのですが、この打席、ここまでは止まらなかったバットが、何とかこらえて四球を選ぶことができました。するとこの後の鳥谷がタイムリー。貴重な2点目です。

     そして、今日の試合のターニングポイントともいうべきは、6回表の攻撃でしょう。ここまで3−0でリード、しかも6回ということで、どうしても昨日の試合を思い出さざるを得ない試合展開でしたから、やはり追加点が欲しいところです。
     先頭打者桧山が打った打球はショートとレフトの間へフラフラとあがりました。宮本のグラブに当たったようですが、今季初ヒットとなるツーベース!鳥谷の犠牲フライで3塁に進んだ後、今度は矢野が痛烈な当たりで、これまた今季初ヒットとなるタイムリーツーベースです。
     この回は、ここまでヒットがなかった桧山、矢野の2人のヒットで追加点を取ったということで、一気に雰囲気が変わったような気がしました。

     6回に4点差をつけたこと、さらに桧山と矢野にヒットが出たためにようやく開幕先発メンバー全員にヒットが記録されたということで、流れは完全にタイガースに傾きました。7回、8回の攻撃はまさにそれを象徴するかのような、本当に今年初めてすっきりさせてもらった攻撃でした。
     7回は先頭の関本が2年ぶりの今季初ホームラン、そしてシーツのバックスクリーンへと2者連続ホームランが出ました。続く金本は猛打賞となる痛烈な当たりと連打にはなったのですが、3連発にならずに残念・・・という贅沢な応援状態になってしまいました。

     ところが8回にもう一度夢を見るチャンスが!! 二死から関本がセンター前ヒットを打った後に、シーツが2打席連続ホームラン。そして、今度は金本がきっちりと左中間へのホームランを打ってくれました。1試合で2度も3連発の夢を見せてくれるとは。
     で、期待の今岡だったのですが、この打席はレフト前ヒット。残念ながら3連発はなりませんでしたが、やや不調気味の今岡のヒットだから文句は言えません。
     打線のことばかりになってしまいましたが、先発転向の江草も良かった!本当に安心してみていられました。ランナーは出すものの、きっちりダブルプレーに取っていましたし、力のあるボールで三振も取れていました。オープン戦からの好調を持続して、今年はやってくれそうだという内容をきっちり見せてくれたと思います。
     点差が開いたことで不安のある久保田の調整登板ということになり、残念ながら完投・完封ができませんでしたが、テンポも良かったし、打線の爆発の要因の一つでもあったんじゃないでしょうか。

     とにもかくにも、3戦目にして今季初勝利です!最後に「ようやく開幕」という試合が見れて、今年も始まりました。また、楽しいシーズンになってくれそうです。



     第49回 2006シーズン、交流戦に向けて


     開幕して1ヶ月。いよいよ今週から交流戦が始まります。

     この1ヶ月のタイガースの戦いぶりですが、概ねいい感じだったという印象です。もちろん、個々の選手の好不調もあり、チーム成績も波がありました。また、今年はジャイアンツが開幕から快調に勝っていたこともあって何か出遅れ感もあるのですが、よくよく考えれば、昨年の交流戦前よりは首位に引き離されているという感じもありませんし、実際にゲーム差は小さいです。

     チーム状態にしても、昨年と似たような部分が多々ありました。昨年、そして今年の序盤の戦い方の大きな共通点は、戦いながらチームの形をつくっていくという点です。徐々に形を整えて、交流戦でその形を確実にして後半戦につなげるという戦い方です。

     例えば、昨年の優勝の原動力JFKですが、交流戦までは久保田の調子がいまひとつで救援失敗の場面も数試合ありました。藤川が抜群に良かったこともあり、藤川−久保田の順番を変えては?という声もありましたが、結局交流戦で久保田も調子を上げ、ウィリアムスとあわせて鉄壁のリリーフ陣を形成したことは記憶に新しいです。そして今年はウィリアムスの故障があり、その代わりとなる選手を含めて試行錯誤が続きました。藤川と久保田の調子がようやく上がってきたこともあり、またダーウィンや能見が結果を出し始めることで、4月には全く勝てなかった1点差ゲームもここにきて確実に拾える形が整ってきています。ウィリアムスの復帰も近いようなのですが、現状ではあまり無理をしなくても、万全の形で出てくれればいいという状況でしょう。

     昨年との大きな違いは、すでに藤川−久保田という最後の基本線が絶対的な決め事として決まっていることですね。先発陣も江草がはまったことで、きっちりまわせる状態になり、いかにこの間を繋げていくかということに集中できるという点では、昨年よりはいい形で交流戦に突入できる状況ではないかと思います。

     打線の方は、ほぼメンバーが固定できているという点では投手陣と同じ状況です。チーム打率も高いのですが、ただ、まだまだ本来のパフォーマンスが表現できていないなぁというのが実情ですね。
     最大の要因は今岡の不調。元々春先はあまり良くなかった選手ですし、怪我の影響もあるのでしょうが、昨年が昨年だけに、大いに不満が残ります。ただそれでも、この人の場合は、いくら不調とは言っても、例えば4月23日の東京ドームでの先制3ランや、同じジャイアンツ戦での甲子園での3戦目の先制2ベースなど、突然打ち出す要素があるので、今は我慢というところでしょう。

     今岡に象徴されるように、ここまでのタイガース打線はそこそこ打ってはいるものの、まだまだ不完全燃焼の感があります。相手投手との兼ね合いもあるのですが、試合毎の出来不出来の波も大きいです。
     ただ、それでも今の勝敗で戦っていけているのは、投打のバランスも含めて、それなりの地力がついている証明でしょう。もちろん、昨年の優勝チームですから基本的な力はあるはずですが、やはりある程度の地力がなければ連覇はできません。交流戦までの戦い方、そして結果は、連覇に向けて十分に期待ができる内容だったと思います。

     交流戦が優勝に向けて重要だということは昨年の結果を見ても明らかなのですが、交流戦後を見据えていかにチームの形を確実にしていくかという点でも、パ・リーグのチームとの試合は注目したいところです。昨年は思いもかけず交流戦で首位に立つことができましたが、しっかりした戦い方ができていれば、今年の本当の勝負は交流戦後でしょう。そういう意味でどういう戦いぶりを見せてくれるか、非常に期待の大きく、そして楽しみの多い交流戦になりそうです。



     第50回 2006シーズンの甲子園詣で


     毎年恒例の夏の甲子園詣でなのですが、今年は7月末のスワローズ戦2試合に行ってきました。実は今年の甲子園観戦では、ゴールデンウィークのときもスワローズとの試合でした。関東在住ということで、せっかく甲子園まで出張るのであれば、普段見れないカープやドラゴンズとの対戦がいいなぁと思っているのですが、ちょっと日程的にはついていませんでした。まぁ、贅沢は言えませんが。

     ちょうどオールスター明けのナゴヤでの首位攻防、見事に3タテを食らってしまった直後の試合でした。ナゴヤでの試合はちょっと最初から分が悪かったかなぁという印象でした。慢性的な打撃不振というのはありましたが、やはり打線にしろ、そして久保田が抜けた投手継投にしろ、残念ながらこの期に及んで、まだチームとしての形が整っていないというのが現状でしょう。対してドラゴンズは福留が戻ってきて、万全の状態で後半戦をスタートしましたからね。ただ、まだまだ直接対決が残っているのが救いです。大事なのは、その直接対決までに離されずに、じっくりと態勢を整えること。それだけに他のチームには負けていられません。

     ドラゴンズとの対戦で先発の3本柱、井川、福原、下柳を投入したタイガースは、この2試合、オクスプリング、中村泰という実績に乏しい2人の先発でした。2試合とも、とにかく投手陣は四球連発、そして打撃陣も相変わらずチャンスに一打がでないという典型的な「胃の痛くなる」試合でした。
     それでも何とか試合になったのは、守備の堅さでしたね。ことごとく、ピンチを防ぐ好プレーが続出しました。特にオクスプリングが先発した試合の藤本は圧巻でした。初回の立ち上がり、いきなり青木に四球、リグスにヒットで、しかもボール先行の厳しい内容でしたが、続く岩村の当たりをダイビングキャッチして二塁封殺。そして延長に入ってからの二死1,2塁のピンチでも青木の打球をダイビングキャッチで、失点を防ぎました。この試合は鳥谷にも濱中にもファインプレーが出たのですが、打てない分守り勝ったという試合で、ここまで試行錯誤を繰り返しながらも勝ちを重ねてきたタイガースの生命線が、実は守備力なんだなぁと実感した試合でした。正直なところこの試合は、展開的にはチャンスの連続で、普通なら楽勝の試合だったように思うのですが、それが辛勝ということで、まさに今年のタイガースらしいと言えばらしい試合でした。

     中村泰の先発した試合の方は、結果的には1点差で負けてしまい、痛い敗戦となってしまいました。中村泰もボール先行のピッチングで非常にイライラさせられたのですが、久しぶりに打線が反発力を見せてくれたという意味では、試合としては非常に面白い試合でした。この試合は、同点の7回にリリーフに出てきたダーウィンが誤算でした。この回の先頭のラミレスこそセンターフライに討ち取りますが、岩村、ラロッカにヒットを打たれて一死1,2塁の場面から、荒れ出します。とにかくストライクを取るのに汲々として、宮出に2−3から四球を与えてしまい、満塁にしてしまうと、田中浩には簡単に犠牲フライを打たれて勝ち越し点を奪われ、さらに米野に四球を出すという、とにかく何とかしてくれという内容。準備されたジェット風船がボールのコールの度に空に舞うという、ダーウィンにとっては辛い登板になってしまいました。
     致命傷は、真中の打球をよくセカンドに回っていた関本が止めたのですが、ボールが手につかずに2点タイムリーになってしまったこと。いまのタイガースにとっては非常に重い3点差になってしまいました。ただ、これまでの打線の調子から考えるとこれで終わりみたいな雰囲気ではあったのですが、この日の試合は珍しく、最後の最後まで、試合の結果がわからないところまでスワローズを追い詰めました。
     このところのタイガース打線は、チャンスになると打者の肩に力が入ってしまい、どうしても得点ができないというシーンがあまりにも多く繰り返されていました。絶好球を見逃し、追い込まれては厳しいボールに手を出して凡退。非常に悪い形がパターン化してしまっていたのですが、この日の試合では得点できない場面でも、やや積極性が戻ってきたような感じを受けました。実際に点差が開いても最後まで諦めずに追いすがってくれたという点では、今後に大いに期待できるんじゃないかなということを感じさせてくれた試合でしたね。

     さて、今年も残すところわずかになってきました。ドラゴンズもなかなか負けないので厳しい戦いが続くのですが、逆に楽しみでもありますね。2003年は春先から文句なしの独走優勝でした。去年は厳しい競り合いの中で交流戦明けからの逃げ切り勝ち。そして今年は・・・3つ目のパターン逆転優勝を見せてくれるでしょうか。とにかく、ハラハラする毎日を楽しみたいと思います。



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