就是愛棒球〜Gotta Love Baseball〜 by 高原成龍

    第6回 海外スポーツ道中膝栗毛シリーズ第2弾 AAA世界野球選手権なぜか侵入ルポ 〜その1〜

    第7回 海外スポーツ道中膝栗毛シリーズ第2弾 AAA世界野球選手権なぜか侵入ルポ 〜その2〜

    第8回 海外スポーツ道中膝栗毛シリーズ第2弾 AAA世界野球選手権なぜか侵入ルポ 〜その3〜

    第9回 海外スポーツ道中膝栗毛シリーズ第2弾 AAA世界野球選手権なぜか侵入ルポ 〜その4〜

    第10回 海外スポーツ道中膝栗毛シリーズ第2弾 AAA世界野球選手権なぜか侵入ルポ 〜その5〜



     第6回 海外スポーツ道中膝栗毛シリーズ第2弾 AAA世界野球選手権なぜか侵入ルポ 〜その1〜


     はじめに

     9月3〜12日に台北で開催された第21回AAA野球世界選手権に、プレス用IDを頂いてあっちこっち駆け回り、9月16日に帰国したため、MB編集長の配慮で、先月のこのコーナーをお休みさせて頂きました。
     読者並びに他の執筆者の皆様、8月の1週送れの発表に続いてご迷惑をおかけした事を、重ねてお詫び申し上げます。

     お詫びも兼ねまして、今月からはその第21回AAA野球世界選手権の様子を「スポーツ道中膝栗毛シリーズ第2弾」としてご報告させて頂きます。第1弾も中断したままで、皆さんから「どうなっとるんじゃ!」と怒られそうですが、どうかご容赦下さい。

    (独り言)

     しかし、ここのメインテーマの巨人はどこに行ったんやろかねぇ?でも、原辰徳がお間抜けフロント陣のせいで監督を辞任したときから、結果は大体予想がついとったけど・・・
     現有戦力でしっかり戦って優勝した中日ドラゴンズは、敵ながら見事やったね。巨人は、ええ加減お金の使い方を考えなアカンね…、って無理やろなあ。

    1.いきさつ

     今回のプレス用ID発給のお話は、5月に中華民國棒球協会の顔見知りの方を訪問した際に頂いたものです。お話を頂いた際は、あまりピンとこなかったのですが、調べていくうちに、日本のチーム構成は、今年の春と夏の甲子園出場のメンバーを中心に初めて構成される、という事が分かりました。
     言い換えれば「未来のスター選手予備軍or未来の日本野球界を担う人材予備軍」のそばで野球を見られる、という事で台北へ行く事にしました。また、現場での取材の様子や、大会の運営方法も学べるという特典も付いているので、一石二鳥どころか三鳥も四鳥にもなる、実にお得なお話でもありました。

     お話を頂いたこの大会は、世界選手権だけあって、日本以外の国の人たちとも交流が持てるだけでなく、アメリカ等の選手の中には、未来のメジャーリーガー予備軍もエントリーしているとあって、則巻アラレのように「ワクワク」していました。しかしながら、英語はボロボロ、スペイン語はサッパリでうまくコミュニケーションが取れず、また関連情報の入手も整理もうまくいかず、後から考えれば情けない限りでした。

     次の項目からは、9月23日に放送された大会ドキュメントではわかりにくい部分を日記調で紹介させて頂きます。主催者からIDを提供されている私は、日本のメディアの方々とは違い、チーム帯同取材をしないで、球場内を自由にあっちこっち回る事ができました。大会にまつわる台湾や他のチームの事もうまく紹介できれば、と思います。

    2.9月2日・記者会見

     14:00から、市内の高級ホテル・華國大飯店にて行われた記者会見。私としては、協会の方に挨拶がてらIDを取りにいって、そのまま「おいとま」するつもりが、会場に入れて頂ける事になりました。しかし、中に入れてもらっても勝手が分からない私は、隅っこで大人しく様子を見守っていました。

     会場には、台湾だけでなく各国の記者や関係者が見守り、前列には各国の監督とその通訳が着席し、会見がスタートしました。

     その時一番驚いたのは、その席に馬英九・台北市長が来て挨拶していた事です。
     台湾の事情に疎い皆さんのために、解説させて頂きます。
     馬英九・台北市長は、1998年末の台北市長選挙で、現総統で当時現職の台北市長だった陳水扁を破って当選。また2002年の台北市長選挙でも圧勝し、現在2期目に入っています。
     馬市長はルックスも良く、國民党の中でも人気があり、もしかすると2008年の総統選挙で当選し、次期総統の有力候補と呼び声も高いお方です。

     それにしても、間近で見た馬市長は、ホンマ男前やわ〜!背も高いし、英語もしっかり出来はる。政治家やから収入も当然有る!
     「3高」大好き女性の皆さん、ホンマお勧めですよ!どうせ結婚できへんけど・・・

     以上、よい子のみんなの「台湾政治講座」でした〜って、こら〜!違うやろが!

     とどのつまり、市長もやって来て盛り上げる程気合いが入った大会、という事です。

     馬市長は、国際大会という事で会見は英語Onlyでやっていましたが、北京語の通訳付きとはいえ、英語がサッパリの私にはうまく聞けずに困りました。会見後、日本から来た記者さんから会見の内容が何なのか聞かれたのですが、悲しい事に以下のことくらいしか聞けませんでした。

     お話には、一般的な挨拶だけでなく、2、3年後を目処に台北に43000人収容のドーム球場を建設する、というのがありました。

     しかし、このネタは前市長の頃から出ているものですが、未だ現実化していません。正直聞いても、「ホンマかいな」という感じですが、雨で泣かされ続け、日程が狂いまくったこの大会を振り返ると、「早よ出来てくれへんかなぁ」と思わずにいられませんでした。
     もし出来るんやったら、セーフコフィールドみたいな球場を造ってくれへんかな、と思いますが、予算がそこまで出るんでしょうか?ちょっと気になります。

     馬市長、台北市民の皆さん、御協力お願いします!!!ドームは、日本の箱もの行政の失敗を反面教師にして、私の力で有効活用してみせます(お前はどっかの2世議員か!)!

     そして記念撮影も終え、会見が終了し、会場内で個々の監督へのインタビューになり、終了しました…、と思ったら、まだ台湾の監督が残って、キャワイ〜イ、チアガールと大会テーマソングを歌っているアイドルグループも入場して、大会を盛り上げる協賛スポンサーやアイドルグループの第2次記者会見となりました。
     しかし、ユニホームを着ていたとはいえ、アイドルグループを選手と間違えていた私は実におバカでした。よう考えれば、髪を金に染めてたり、体の線がミョ〜に細い選手って、まずおらんから早よ気付かなアカンかったね。

     その第2次記者会見の間、私は「自分の役目も終わったし、一服するか」という事で、用意されていたデザートやドリンクに、恥も外聞もなくむさぼりつきました。皆さん、関係者用IDっていいですね〜。用意されてたデザートは食べ放題、ドリンクは飲み放題ですよ!これがホンマの「おいしい」ってやつですよ。勝手が分からんくって、大人しくしとったが、ここはどっかのおばハンみたく、もっとガメつくいかんとアカンかったな〜。

     会見場から帰る前には、会場にいらした中日ドラゴンズの大豊泰昭さんと、しばらくスポンサー企業の方を交えて一緒に談笑していました。
     大豊さんとは、当時(今でも、かな)旬の話題だった球団合併のお話や、今回の大会視察に関するお話をさせて頂いただけでなく、記念撮影もして頂きました。後で伺いましたが、大豊さんの人気や知名度は引退した今も未だ衰えておらず、相変わらずヒーローのままでした。
     こうして、プレス用ID取得後初日は緊張の中、雲の上を歩くようにふわふわと過ぎて、翌日の大会初日を迎える事になりました、とさ。



     第7回 海外スポーツ道中膝栗毛シリーズ第2弾 AAA世界野球選手権なぜか侵入ルポ 〜その2〜


    3.9月3日・大会初日

     開会式は夜でしたが、試合は10:30から予定されていました。日本チームは、10:30にドイツ戦が組まれていたので、私も試合開始に合わせ、会場の新荘棒球場に7:30頃に到着しました。
     同時刻には、日本チームのバスも到着し、バスからは、先日ドラフトで指名されたダルビッシュ有(東北)や、涌井秀章(横浜)ら選手達が降りてきました。その中でもダルビッシュは、他の選手よりも頭一つか、それ以上に大きく目立っていました。いま思えば、この体の大きさは、大会期間中に起きたあの「事件」や、彼自身の今後の運命を暗示しているのかもしれません。

     私は目覚ましがてら、

     「おはようございま〜す!」

     と、バスから降りた選手達に挨拶をしましたが、反応は当たり前の如く鈍かったです。考えてみれば、多くのチーム帯同取材している日本人プレスと違い、現地で初めて参加している私を知らないのは至極当然。きっと、

     「こいつ誰やねん?」

     という感じだった事でしょう。
     そんな事を気にせず、球場内に入って関係者の方々へ挨拶を済ませ、ひとしきりの説明を受け、写真撮影に備え、球場内を下見しました。基本的に出入りは自由でしたが、スタッフにいろんな事を確認しながら念入りにやりました。周りに迷惑をかけるとアカンからね。

     その後、ベンチ裏で日本チームのある選手(ご本人の名誉のため、名前は出せません!)がお手洗いを探していたので、案内しました(これも下見の成果でせう)。暑かったのか、疲れていたのか、はたまた面倒くさかったのか。定かではありませんが無愛想に応対され、日本チーム全体に「コワ〜い」と潜在的に思うようになっていました。実際の選手や関係者の皆さんの人柄は、決して「コワ〜い」ということはなかったのですが、この時点ではそういうオーラを放っていただけでなく、私自身感じていたのは確かでした。

     そんなやり取りを経て、試合を迎えました。
     私は、主に日本チームが陣取る三塁側ベンチ横のカメラマン席で見ていました。ベンチはやっぱりピリピリしていましたが、日本人記者さんには笑顔を見せていたようです。この辺りは、チーム帯同取材で顔が見える相手か否かで、大きな違いが出ていました。また、すぐに新しい環境に馴染めない私自身への大きな反省点でもあります。

     試合中、ベンチからいろんな「かけ声」がかかりますが、そばにいると、すごくよく聞こえて面白いものです。判断ミスした選手に対する監督やコーチの叱咤の声もあれば、チームメイトの契機付けの「かけ声」もあります。その中でも面白かったものを紹介します。

    一.「サード、ディカプリオ〜」…キャッチャーからサードの守備に入った梅田大喜(明徳義塾)にかかったかけ声
    二.「サード、スーパーサイヤ人!」…一同様、梅田大喜へのかけ声
    三.「ライト、スーパーサイヤ人!」…ファーストからライトの守備に入った佐藤俊司(横浜)ヘのかけ声

     声の主は、皆さんで想像して下さいね。私はカメラマン席で大笑いしていましたが、「みんなドラゴンボールを見て大きくなっていったんだなあ」と自分の年齢を実感させられました。人間、いたずらに歳はとりたくないものです。そこのアナタ、どこ見てんのよ!
     まさに、「残念!世代交代斬り!」(祝・流行語大賞候補!)であります。

     試合は、日本チームは格の違いをしっかり見せつけ11:1の7回コールド勝ちでした。4番の鵜久森淳志(済美)が、初回にホ?ムランを打ってからワンサイドに押しまくって勝ったような試合でした。

     試合後、日本チームの選手は用具を片付けてロッカールームへ引き上げていきましたが、日本とは質の違う暑さがこたえたせいか、冷房が聞いている裏の通路でぐったりしているのを見かけました。後で知ったのですが、選手達は夏の甲子園が終わってから2日後に大阪で1週間合宿に入って、合宿終了後の9月1日に台北入りしたとのこと。異常に湿度が高く、気温も日本以上に上がる台湾の夏。気温と同様、不快指数も徐々に上がり、さぞきつかった事でしょう。私は、昨年のラスベガスに続いて、1日で腕が糸巻きのチャーシューのようになりました。痛かった〜。
     取材を終えた日本のマスコミの方々も、原稿の送信等に追われていました。この時、ある新聞社の記者さんが、資料のことでスタッフにうまく要望を伝えられず困っていたので、ちょっと手助けをさせて頂きました。この辺りから、私は日本のメディアの方々の手助けも少しではありますが、させて頂くようになっていました。

     日本の試合後、14:30〜アメリカvsベネズエラが予定されていました。しか〜し、ベネズエラ選手団が「予算が捻出できない」という理由(信じられんやろ)で到着が遅延しているため、9:0でアメリカの勝ちになり、以後の予定が空白になったため中華民國棒球協会の方々と一緒に、タクシーでもうひとつの会場の天母棒球場へ移動してきました。
     今思えば、ベネズエラは関係者も前日の記者会見から姿がなかったのですが、結局大会の参加そのものをキャンセルしてきました。おかげで日本がいるAブロックの選手達は、ベネズエラ戦が吹っ飛んだため1試合減って休暇が増えたと同時に、調整が難しくなったようです。

     天母棒球場到着後、試合中だったので、撮影がてら場内を下見しました。2002年のホークスの試合会場だった球場に、今回は「PRESS」として中に入っているので、本当に不思議な感じでした。開会式は、おかげでグラウンドに入る事が出来ましたが、前日の記者会見でお会いした協賛スポンサーの会社の方々や、世界各国の野球協会の会長クラスの役員の方々に囲まれ、緊張しまくって何をどうしたいのか訳が分からない状態になりました。
     開会式は、前日に姿を見せた馬台北市長だけでなく、游行政院院長(日本でいえば首相のようなもの)も姿を見せ、スピーチをしました。游行政院院長は、その後開催された台湾VSオランダの試合開始前の始球式をやって大会を盛り上げました(政治家も大変やなぁ)。

     開会式終了後の台湾vsオランダでは、日本以上の鳴りものに加えて両チームのベンチ上のカメラマン席に配置されたスピーカーが応援をうるさ・・・ではなく、盛り上げていました。協賛スポンサーも、前日会見場にいたチアガールを動員してあおっ…ではなく、華を添えていました。

     それが効いたのかどうか定かではありませんが、台湾はオランダに8:0と快勝しました。
     私は試合の結果よりも、台湾の応援席にあった都市対抗野球で見かけるようなひな壇で、マイクを持って応援の指揮をとっていた「平成狸合戦ぽんぽこ」に出てくるタヌキのように太ったおっちゃんの方が気になって仕方がなかったです。顔はとっちゃん坊や風、上半身裸は裸、タヌキ腹に描かれた青天白日旗。そんなおっちゃんが、ひな壇上でマイクもって応援を促している姿は実に滑稽です。
     さすがにバテやすいのか、休みの度にひな壇を降りたおっちゃんは、汗を大量にかき、ハアハアいいながら場内を歩いていました。ただでさえ暑苦しくて不快指数の高い台湾で、おっちゃんは安田大サーカスのHIROのように暑苦しさをいっそう引き立て、「涼」の文字を見事に吹き飛ばしてくれました。

     会場で用意されたドリンク、弁当(注:ここでいう「弁当」は、日本のコンビニで見かけるどこか質素な「お弁当」ではなく、台湾のおかずもご飯も「山盛り」の「御弁当」です。うまいんだなぁ、これが!)をスタッフに勧められるがまま平らげ、誰かが引いたレールの上を走るような感じで初日は終わりました。
     日本チームは開会式終了後、次の対戦相手である台湾を視察していましたが、果して成果はあったのでしょうか・・・

     9月4日へ、続く



     第8回 海外スポーツ道中膝栗毛シリーズ第2弾 AAA世界野球選手権なぜか侵入ルポ 〜その3〜


     はじめに

     とある書籍の原稿執筆依頼(微々たるものですが)で、この原稿発表が遅れることになりました。次回も、私が所用で台湾へ出かけるので、また遅くなります。
    > また、若干の誤記や誤字もありました。
     皆様にご迷惑をお掛けしました事を、ここにお詫び申しあげます。

    5.9月5日・日米野球

     この日も、朝も早よから新荘棒球場入りです。前日は、台湾のTV局の知人とバーで豪快に飲みました。ちょっとした二日酔いです。3日連続朝6時起き。眠いです。頭がぼーっ、としています。黙っていても睡魔が襲ってきています。
     10:30からの試合は、ドイツvsオランダです。スタンドは、閑散としています。ネット裏でいつも見かけたMLBのスカウトの皆様方は、全くと言っていい程見かけません。記者席にも記者はあまり詰めていません。
     試合も、野球発展途上国同志(失礼!)の対戦で冗漫なものになり、疲れてしまいました。

     本来なら14:30から台湾vsベネズエラが予定されていました。しかし、以前お伝えしたようにベネズエラが大会をキャンセルしたため(金がなくてドタキャンするなら、エントリーすな!ホンマに)、台湾チームはグラウンドで練習後、日本vsアメリカを観戦してました。

     てな訳で、18:30からの試合まで時間が余ってしまったので、球場内にある会見場で他のスタッフ達と一緒に昼寝しました。
     外は、スカッ晴れ!35℃以上!独断と偏見による不快指数は200%!飲み放題のスポーツドリンクやミネラルウォーターも、キンキンに冷えたものがガンガン入っていきます!
     一方、部屋は対照的に豪快に冷えてます。「これでもか!」という位冷えてます。日本における店舗の真夏の冷房なんて比になりません。上着が必要なくらい体が冷えます。気が付けば、加藤茶のようなクシャミが止まらなくなります。外から中に入った瞬間は「涼」の一文字ですが、時間の経過と共に「寒」になります。「涼」から「寒」への移行時間は、決して緩やかではありません。「リニアモーターカー」の如しです。

     でも、これが台湾の夏なのです。今夏に台湾訪問予定の皆様、気を付けて下さいね!
    風邪引くなよ〜(by加藤茶)

     話しを戻して・・・っと。そんな外を歩き回って滝のような汗をかき、シャツも豪快に濡れている状態で、そんな冷房が効いた部屋で睡魔が襲うまま昼寝をすればどうなるか・・・。もうお分かりですね?
     喉が痛くなってきました。いつも風邪で寝込む前の徴候です。暑いはずの外にいても寒気が止まりません。つまり、所謂一つの「Catch a Cold」です。そうして体の異常を感じているうちに、両チームの選手達は到着しグラウンドで練習していました。

     試合開始前、記者室で大会スタッフと喋っていた時、アメリカチームのスタッフの方に声をかけられました。聞けば、日本チームの選手達がついこの前に経験した甲子園大会の事を詳しく知りたい、とのこと。インターネットという文明の利器を使って、じっくり教えてあげました。日本人記者達が皆取材で出払っていたので、私にお声がかったのでしょう。調子に乗って、言わんでええ事まで言っていたような気がします。
     試合は、日本が先発涌井秀章(横浜。現西武)と2番手の浅香明生(日大三高)が好投。7ー3で快勝でした。

     試合の内容もさる事ながら、日本チームのベンチ横のカメラマン席ではおもしろいことがありました。私が日本人である事を知った台湾人記者とカメラマンが、興味を持って色々声をかけてきました。その主なものは、「日本チームのベンチから聞こえるかけ声は何だ?お前訳せ!」でした。私は、すべてバカ正直に彼等に翻訳しましたが、まずかったでしょうか?ねぇSクン?
     それだけならまだしも、同じカメラマン席にいた日本から来ていた某雑誌の女性記者の事を「可愛い」とか「いいねえ」とつぶやいていたし、中には私をダシにして彼女を食事に誘おうとした者もいました。そいつ、カメラの腕は凄いんだけどねえ・・・

     試合後、自分が風邪をこじらせた忌わしい会見場で行われた(知らん間に記者会見用に模様替えされとるやんけ)記者会見が終了した後は、記者室に戻り休憩していました。北京語が出来る外人が私一人だけだったので、台湾人記者から誰からともなく声をかけられ、談笑していました。
     その中にアテネ五輪へ取材に行ってた者がいて、これまたアテネへ取材へ行っていた某民放TV局の人気女子アナの写真(同僚のカメラマンが撮影した写真らしい)を見せて、「コイツ誰か知ってるか?」と聞いてきました。
     私が名前を教えた後、矢継ぎ早に質問がきて追っ付かなくなったので、すぐに文明の利器を活用して詳細を教えてあげました。が、やっぱり男臭さ全開の記者室。すぐにこんな言葉が・・・

     「スリーサイズは?」
     「なあ、コイツ胸デカイんだろう?さぞ使い勝手いいだろうなあ・・・」

     某新聞の記者さん曰く、「どこでも男同志集まれば、こんな感じだよ」と笑ってましたが、お仕事中にこんな感じでいいのでしょうか?同業者の皆様、情報お待ちしております。

     そんなバカ話の傍らで、日本の記者さん達は日本時間で締め切りに追われるため(台湾は日本より1時間遅い。日本が12:00なら台湾は11:00)は、せっせとPCに向って原稿入力。台湾人記者の皆様は、私とバカ話に明け暮れ、ずっとリラックス。こんでええんやろか?
     それでも、次の日に出てくる原稿はビシッと決まる。う〜ん、プロやねぇ。

     最終バスも無くなった帰りは、日本の記者さん達とタクシーで帰りました。私は一人でいる時よりも余分な交通費が浮き、記者さん達は私と一緒にいる事で言葉の不安を一掃、という事でめでたし、めでたし。
     またまた深夜に宿舎に戻って、就寝は1:00。風邪は翌日どうなったでせうか?

     9月6日へ続く。



     第9回 海外スポーツ道中膝栗毛シリーズ第2弾 AAA世界野球選手権なぜか侵入ルポ 〜その4〜


     はじめに

     3月は卒業式のシーズン。あの時の日本代表も、福井優也(済美)を除く全員が高校の卒業式を迎えました。一部、卒業前に不測の事態が起きましたが、無事卒業して新たなる第一歩を記す事になります。
     選手の皆様、卒業おめでとうございます。

    6.9月6日・蘭学

     今日も朝も早よから新荘棒球場へ到着です。イタリアvs南アフリカです。スタンドはガラガラ。殆ど注目度が低い試合だけの事はあります。
     試合は冗漫なものになりましたが、それだけに面白い事もありました。南アフリカのある選手が、私に向って「オレを撮れ」といわんばかりにポーズをきめてきました。撮影してカメラのモニターを見せてあげたら、やっぱりあどけなさが残る少年らしく、嬉しそうでしたが、コーチから「こら〜、何やってんだ」と注意され、そそくさとブルペンへ逃げていました。
     こんなトホホ・・・な感じなので、南アフリカは決勝トーナメント(ベネズエラの大会キャンセルの影響で、下位3チームの巴戦が組まれた)のドイツ戦まで勝つ事が出来ませんでした。

     注目度の低い試合でも、真面目に出て来てせっせと写真を撮る私。会場にいる台湾人スタッフと戯れ…、じゃなくコミュニケーションを図る私。
     真面目じゃ〜、あ〜りませんか?

     そのあと、前日撮影した写真のデータが自分のPCへ転送されていない事がわかり、応急措置をとってデータを転送。バスとMRTで移動する時間が無くなり、結局タクシーを使用。250元あまりかかってしまいました。ガックリでありますが、早い!高速道路を使って移動しましたが、30分あまりで到着です。あまりの早さに笑ってしまいました。

     慌てて球場内のメディアセンターへ駆け込んだ時には、試合開始30分前。きつかったです。
     下見中、3塁側のカメラマン席で日本の一部の選手と談笑。緊張状態だったので、ちょっと気が楽になりました。

     日本のこの日の対戦相手はオランダ。楽勝・・・かと思ったら、意外に点が取れず苦戦。小椋健太(当時、中京大中京)―鈴木康仁(当時、駒大苫小牧)―福井優也(済美)と繋いで4ー2で勝ち、予選1位で決勝トーナメント進出を決めました。
     甲子園の疲労が残っていたであろう福井は、この日が最初で最後の出番でした。帰国後に、センバツ大会へ向けての愛媛県大会や四国大会に影響が出ないよう渡辺監督(横浜)が配慮したみたいです。

     試合中、オランダの選手の父兄と談笑。わが子の晴れ姿を見たくて来ていたみたいですが、その傍らで観光も兼ねて来ていたようです。日本からも何名かの選手の父兄が同様の理由で来ていましたが、私はこの時はまだ親しくなっていませんでした。
     夜は、アメリカvsドイツでしたが、当然格の差が出てアメリカの圧勝。試合後すぐに帰りましたが、バス停と最終バスの時刻を把握しておらず、最寄りのMRTの駅までタクシーで移動(初乗り運賃の70元。確か)し、MRTで帰りました。初めて夜に余裕が出来た日でもあります。衣類の洗濯もせかされる事無く、気楽に出来ました。

     翌9月7日は日本vsベネズエラが10:30から組まれていましたが、ベネズエラのドタキャンで、試合が無くなりました。従って試合は14:30からです。
     初めて、初めて(強調します)朝ゆっくり寝られます!目覚ましが不要な朝です!
     サイコ〜です(私は、朝がとっても苦手なのです)!

     熱帯夜でも、熟睡を期待して9月7日へと続く。



     第10回 海外スポーツ道中膝栗毛シリーズ第2弾 AAA世界野球選手権なぜか侵入ルポ 〜その5〜


    7.安息日

     前回強調したように、目覚まし不要の朝です。サイコ〜で〜す(サヨナラ打後の阿部慎之助のつもりで言いましょう。)!
     8:30頃起きてシャワー、洗濯、朝ご飯、TVから聞こえるNHKのBS1chとどこかの主婦のような朝を迎える事が出来ました。日曜日ではありませんが、田中星児の歌のような爽やかさでした。
     朝早く起きても試合は14:30。時間があるので、滞在先の近所にあるオフィスを訪問して、色々情報交換をしてきました。

     その後昼食をとって新荘棒球場へ。いつも9:00頃には球場にいる私も、今回は12:00頃。初の重役出勤。たまにやると、いいですね〜。夜不規則だし。
     本来試合がある日本チームのご一行様及び帯同取材組は、予想外の休日で簡単な練習の後、朝の私と同じだったようです。

     アメリカvsオランダも、これまたアメリカが格の差を見せつけ圧勝。とはいえ、アメリカにはミスが多く、MLBのスキや無駄が少ない野球を現地で見て知っているだけに、ちょっと信じられませんでした。

     この試合中、また事件が発生しました。私は一塁側カメラマン席で撮影に夢中のあまり、それたボールに気付かずにいたのです。そばにいた台湾人カメラマンの声も全く聞こえていませんでした。
     確かにカメラのファインダー越しには、こちらを向いている審判の姿が見えました。なんでやろ?と思ったら、自分のすぐ右上の壁へ逸れたボールが思いっきり当たっていたのです。それに気付いたとき、ゾッとする前に「もしカメラに当たってたら、どないして修理しよう?保険効くかな?どんなリアクション取ってるやろ?」などという実に現実的な事を考えていました。これは、私だけでしょうか?
     前回の「流れ球直撃事件」に続き、今回は「魔送球事件」。悪送球したプレイヤーは、悲しい事に星一徹のように優れてはいません。
     ワシは魔送球を受ける川上哲治か!

     その後、台湾vsドイツが行われるため、記者室には記者だけでなくスポンサー企業の宣伝担当の皆様も集結。観客も比較的多めに入っていました。
     その時の私は、自由な立場を生かして球場全体を撮影していましたが、序盤から台湾チームの猛攻が始まり、あっという間にコールドゲームが成立する10点差になってしまいました。最短で7回までです。のんびり自由気ままに撮影しとる場合じゃなかとです。

     そんな時、台湾チームの応援席でスポンサー企業の担当者がPRの為に写真撮影している姿を見かけました。試合に殆ど目もくれず頑張っている姿に、自分は何やってんだろう?と思い、彼等に申し出てお手伝いしてきました。どんな写真が欲しいのだろうか?と考えながら撮影できた事は、何か後につながればいいかな…と思っています。

     試合後、記者会見の進行を見届け、記者室で写真を整理しながら(デジタルなので、PCがあればすぐにチェックが出来る。いやはや、便利になりました)そのスポンサー企業の担当者を捕まえて、希望の写真をチェック後、CD−RWに焼いて提供。
     その後は、そのスポンサー企業のスタッフの一の簡素な誕生パーティを球場内のフロアでやっていたので、飛び入り参入。一緒にバースデーケーキをほおばりました。

     野球以外の業界の方々や、スポンサーシップのあり方をこの時初めて実地学習し、いい勉強になったと思い、球場をあとにしました・・・が、やっぱり終バスが無く(22:00はいくら何でも早いで)高いお金を払ってタクシー乗って帰って来たのでした。23:00まわったら、深夜料金付いちゃうじゃない!もう!

     失礼しました。ということで、次は9月8日に続きます。日本チームは休日です。予選B組1位通過を決めての2連休です。私は、また日常に戻り朝早起きです。

     同情するなら、寝る時間くれ!


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