ホットタイガース by じん

    第21回 タイガースマンガについて

    第22回 キャンプ、2004シーズンに向けて

    第23回 2004シーズンのチケット販売

    第24回 2004シーズン開幕迫る!

    第25回 2004シーズン、各チームとの対戦が一巡して



     第21回 タイガースマンガについて


     早いもので、2003年もあとわずかになってしまいました。本当に今年はタイガースのおかげで充実した1年でした。
     さて、今回はシーズンオフ企画ということで、多少毛色の違った話でもしてみましょう。野球マンガ(というよりタイガースマンガか?)についてです。

     今年は優勝したこともあって、タイガースに関する本のコーナーができてしまうほど、たくさんの書籍が出版されました。その中にはタイガースに題材を求めたマンガ本も何冊かありました。こういう企画が通ってしまうのは、タイガースだからなんでしょうかね?ここ数年を思い出しても、他球団ではホークスの「あぶさん」くらいでしょうか。その「あぶさん」も、今年は「タイガース総力特集号」という形で、過去にタイガースを題材にした話をまとめて編集した総集編が出版されたりもしました。

     「あぶさん」といえば水島新司氏ですが、個人的に昔からファンでした。というよりも元々、最初にマンガを読み出したきっかけが、氏の「男どアホウ甲子園」でした。最初に読んだときは厳然とした高校野球マンガでしたが、大阪を舞台にしていること、そして何と言っても「甲子園球場へのこだわり」が当時としては斬新な気がして、本当に面白い作品だったと思います。ストーリー的にはおまけみたいな感じ(それでも必然)でしたが、最終的にタイガースに入団してからの活躍はタイガースファンとして、まさにリアルタイムで一喜一憂していました。
     続編になる「一球さん」の最終回前に甲子園のバックネット裏に藤村甲子園が登場したときは嬉しかったのですが、逆に「タイガースはロードの最中やろ、何してるんや」なんて突っ込んだりもしましたねぇ。その真実は「大甲子園」で明かされるわけで、その理由にちょっと哀しい思いもしました。

     その後、単発の読み切りで、野村監督の1年目にコーチとして復帰した話も描かれました。
     この「男どアホウ甲子園」は、主人公が直球しか投げないとか、タイガースに入るとか、「巨人の星」のアンチテーゼ的意味合いもあった作品なのですが、その「巨人の星」も実は非常に好きで、再放送は繰り返しよく見ていました。いま、テレビ神奈川で深夜にやっているので、見れるときにはついつい見入っています。
     ただ、基本的に「巨人の星」の主人公は花形満だと思っているというところが、普通の見方ではないかもしれません。でも、どう考えたって星飛雄馬よりカッコイイし、努力だって星に負けないくらいしている。主人公たりうる要素は十分に持っているキャラクターなんですよね。
     去年の秋にWOWOWで放送された「巨人の星・特別編」は、そんな花形をメインで編集したもので、まさに我が意を得たりという内容でした。

     さて、今年出たタイガースマンガ本でのお勧めは「虎漫」(大都社)という18人の執筆者によるコミックアンソロジーです。中でも、バースの7試合連続ホームランを軸に親子の繋がりを描いた高橋ツトム氏の「7GAMES」は、週刊誌掲載時に見逃してしまっただけに、掲載されているのを見つけたときは本当に嬉しかったですね。また、優勝寸前までいった1992年に編集本が出た押川雲太朗氏の「なにがなんでも阪神ファン」の2003年版も、懐かしいキャラクターが相変わらずです。それ以外にも涙あり、笑いあり、パロディあり、SFありと何でもありです。重版されるかどうかわかりませんが、見かけたら是非読んでほしい一冊です。



     第22回 キャンプ、2004シーズンに向けて


     いよいよ今週末からキャンプですね。このオフはさすがに優勝したこともあり、例年以上にあっという間に過ぎたという印象です。実際に10月まで野球を楽しめましたし、オフには特番もいろいろとあって、いつもに比べればタイガースの選手たちを見る機会が多かったというのも一因でしょう。
     今シーズンの補強はここ数年の中ではやや地味でしたが、それなりに堅実な補強でした。優勝したとは言ってもまだまだ各選手にとってはレベルアップの余地があり、また昨年のレギュラーであっても決してレギュラーの位置が保障されているわけではない、というチーム状況。岡田監督のいう「星野野球の継承」とは、個人的には「チーム内での競争原理」の継続ではないかと思います。
     投手陣で言えば、伊良部と下柳の残留はもとより、ムーアの抜けた穴を埋めるべく若手投手陣や移籍の前川らの先発争い。モレルの加入により、中継ぎ、抑えもどういう体制になるか、現時点ではまだわかりません。
     野手ではキンケードがどれだけ戦力になるかですね。彼は内野も外野も、一説によれば捕手までもできるということで、どの守備位置になるかでも、布陣が大きく変わる可能性があります。
     外国人選手への依存度は数年前に比べれば格段に低くなってはきているのですが、やはりその活躍はチームの動向に大きく影響してきます。新外国人が実際にシーズンで活躍できるかどうかは、シーズンに入らなければわからない部分もあるのですが、それでもキャンプ、オープン戦である程度の力を見せてくれれば、それに刺激されて他の選手の、ひいてはチーム全体のレベルアップに繋がります。そういう意味でも、モレルやキンケードがどれくらいのパフォーマンスを見せてくれるかは、今年のキャンプの楽しみの1つです。

     外国人ということでいうと、一軍入りの枠もありますね。現在、投手3人、野手2人の陣容です。どうしても1人は出れなくなってしまいます。この辺りも、当然、熾烈な「競争」になってきそうです。2人の新外国人が期待通りの実力を発揮してくれれば、シーズンに入ってからの使い方など岡田新監督の手腕も楽しみになってきます。

     そして、世間一般的にも注目されるのは、藤本と鳥谷の遊撃手争いになるんでしょうね。
     去年のことを思えば、隔世の感があります。去年もチーム全体としてはハイレベルなレギュラー争いを楽しみにしていましたのですが、唯一、遊撃手に関しては心配していました。
     久慈がドラゴンズに移って以来、何人ものレギュラー候補が入団してきましたが、チャンスを掴みかけても怪我や力不足で定着できず、そうこうしているうちに、やたら「候補」だけは多いけど誰も決め手がなく、どんぐりの背比べというようなポジションになっていたというのが実情です。去年の今頃は復帰の久慈が頭一つ抜けているとか、赤星のコンバートというような話が出ていたくらいですからね。
     それが昨年、藤本が定着して、しっかりとレギュラーに近い活躍を見せてくれました。ただ本人も感じているでしょうが、守備の不安定さなど、まだまだ真のレギュラーになったとは言えません。沖原や秀太も「決してレギュラーの座は遠くない」と思っているでしょう。そこに鳥谷という前評判の高い新人が絡んできます。もちろん、去年の実績から藤本が第一候補でしょうが、明らかに去年に比べて高いレベル、高い意識での争いが期待できるんじゃないでしょうか。

     さて、今年もCS放送のスカイAやGAORAで、連日タイガースのキャンプが中継されます。そこで今年もこれらをしっかりチェックして、この「競争」のプロセスを堪能したいと思っています。



     第23回 2004シーズンのチケット販売


     キャンプも終盤、いよいよ今週末には、オープン戦も始まります。そして、公式戦のチケットもそろそろ売り出されますね。
     春になるとやっぱり、球場で野球を見たくなります。関東に住んでいるので、こちらで開幕戦がある年はそれこそいまの時期にチケットを買うための算段を始めるのですが、それ以外の試合に関してはまだまだ先のことと思っていました。しかし、今年はそんなことも言っていられない感じですね。

     甲子園をはじめとしたタイガース主催試合のチケット販売方法の発表がありました。
     昨年同様、ジャイアンツ戦以外の全ての試合が一斉に販売されることになりました。しかも、今年に関しては「全席前売り」です。正確に言うと、前売りが売れ残れば当日券に回るということなのですが、昨年後半からの状況を考えれば前売り段階でほぼ売り切れると考えてもいいんじゃないかと思います。実際に、すでに発売が始まっている団体券をタイガース公式サイトで確認すると、ほとんど売り切れているという状況です。

     一斉販売、結構遠方の人間にとっては辛いんですよね。もちろん近場の人にとっても「気楽に見に行く」という観戦スタイルがとれないという辛さがあります。最大限努力したとしても、仮に買えなかった場合に当日券という選択肢がないことで、一層危機感が煽られるような気がします。甲子園のいいところは、たとえジャイアンツ戦でも、ちょっと頑張れば当日券で見に行けるってところだったんですけどね。

     確かに昨年のようなフィーバーになってしまうと、こういう方法を取らざるを得ないというのも、わからなくはないんです。普通に考えて、やっぱり数日前から泊り込みとか徹夜とかって信じられないことだし、それを回避するには当日券をなくす方向が一番手っ取り早いのは確かです。

     さらにうがった見方をすれば、シーズン前に前売りしちゃえば成績に関係なくシーズン後半のチケットも売れる可能性がある、という営業的な見解もあるでしょうしね。
     で、実際に営業部の思う壺になりそうな雰囲気です。

     最近はインターネットや電話でチケットが取れるので、ある意味便利ではあります。遠方の人間でもチケットを買えること、また、わざわざ窓口に並ぶ必要がないこと(これは仕事とかの都合を考えると非常にありがたい)とかです。一方で、去年の日本シリーズでも経験したように、みんなが欲しいチケットは、まず「電話もインターネットも通じない!」。チケットゲッターと言われる人たちが跋扈するのも不快です。
     まぁ、シーズン全部の前売りということで、チケットゲッター氏たちもかなり賭けに近い購入になると思うので、例えばシーズン後半なんて意外と取りやすいかもしれませんが、こればかりはどうなるか予想がつきません。
    とりあえず抑えておこうという心理が働いて、過剰需要になる可能性も十分に考えられますからね。

     このチケット販売方法については、やっぱりいろいろな選択肢は残しておいてもらった方がいいなぁと思います。今年はこれでいくとして、来年以降はもう少し考えて欲しいものです。



     第24回 2004シーズン開幕迫る!


     いよいよ開幕が近づいてきました。パ・リーグはもう今週からスタートですね。オープン戦も佳境に入ってきました。
     オープン戦終盤は、シーズン開幕に向けてベストメンバーで実際の戦い方をシミュレートする意味合いがあると思うのですが、今岡の死球の影響が長引いたり、キンケードが復帰したと思ったら腰痛で再度離脱したりと、ここにきて怪我人が出てきてしまいましたねぇ。他チームに比べて大きな怪我も少なく順調にきていたのに残念です。
     今岡もキンケードもどうやらギリギリ間に合いそうですが、ほとんどぶっつけ本番という形になりそうです。
     プラス思考で考えれば、シーズン中に確実にありうる「怪我人が出たときのテストケース」を実際にテストできたということなんですけどね。そう理解すれば、それこそ2、3年前に比べて、やはりそれなりの選手層になったというのは実感します。以前は、先発9人揃えるのも頭を捻っていたのが実情でしたから。

     外国人選手依存度が高かった数年前と同じ状況なら、キンケードのリタイアでそれこそ大騒ぎになったことでしょう。シーズン前で今年は終わったという雰囲気になっていたはずです。今岡の怪我にしても、関西のスポーツ紙なら連日一面で経過報告って感じになっていたのでは?
     今年はそれでも、試合の記事がメインにきます。それだけでも、チームの変わり様が理解できます。

     ベストメンバーで試合ができない場合、打線の流れももちろんなのですが、個人的には守備のシフトや連携に不具合がでるのではないかと、どうしても気になってしまいます。
     例えば先週の試合では、濱中がライトの守備に入っています。怪我の不安がある濱中が守ることができるか、あるいは投げることができるかは、今年の戦いの中では非常に重要な意味を持ってきます。濱中一人が完全復調しているかではなく、他の守備陣の動き、連携等、チームとしての守備の態勢も他の選手の場合と大きく変わってくるはず。実際に大阪ドームのバファローズ戦をテレビで観戦したとき、ライト線の打球に思い切りセカンドの藤本がカットに入っているのが、テレビ画面で見ていてもわかりました。
     いざというとき、セカンドに藤本が入って同様のプレーが行われることはあるでしょう。しかしセカンドの基本線は今岡ですから、今岡が入ったシフトでどれくらいのことができるかは、オープン戦で見ておきたいところです。個人的に今岡がセカンドに戻ってきたケースでは、ライト濱中でもかなり相手チームにプレッシャーをかけることができるのでは?と考えているからです。

     新庄がFAで抜けたとき、やはり守備面において新庄の肩がなくなってしまうのはチームにとって非常に痛いなと思いました。特に当時は打てない打線が慢性的なものだっただけに、投手力を含めた守備面で対抗していかなければ、どうしようもないというのがタイガースの実情でしたからね。新庄の肩は、そこに守っているだけでも大きな武器でした。
     しかし、実際に新庄がいなくなったとき、それを補わなければ戦うことができません。そこでポイントになるのが、セカンド今岡という布陣。あの強肩で外野の肩を補うという発想は当時から考えていました。当然、当時の野村監督もそれを期待していたと思います。実際には、それがきっちりと機能したのは一昨年のシーズンになってからでしたが、そういう意味で今岡の覚醒は、打撃面だけでなく守備面でも、タイガースにとっては大きな意味を持っていました。赤星の守備範囲と今岡の肩で新庄の穴を十二分に埋めたことが、タイガースの躍進の大きな柱になったと言っても過言ではないと思います。

     もちろん、今回のように今岡が抜けたときの藤本、関本のシフトも普通のプレーには全く障害はないでしょう。日曜の試合での藤本−鳥谷のダブルプレーの連携は本当に素晴らしいプレーでした。いざというときのためのシフトですが、それだけでは勿体無いくらいの布陣です。
     それでも今岡の「肩」という武器は、あまり着目はされませんが、「ライト濱中」というシフトを組んだときにはやはり大きな威力を発揮するような気がします。今岡が万全ならセカンドが変わることはまずありえませんが、濱中を守備につかせるなら、今岡の存在なしでは見ていてもちょっと恐い感じがしています。
     もちろん今岡に対しては、打撃面での期待は言うに及びません。打線においても、今岡一人への期待というだけではなく、他の選手を含めて打線の相互作用も期待できるのです。打線の繋がりが大きな力になることは、去年の優勝でみんながしっかりと認識できたわけですから、1日でも早くベストメンバーでの試合を見てみたいのです。



     第25回 2004シーズン、各チームとの対戦が一巡して


     各チームとも一通り対戦して、先日の神宮の連戦終了時点で借金1。どうも、なかなか乗り切れないなというのが現状ですね。
     投打ともに調子が出てきていないというのが実情でしょうが、特に投手陣の不調が目につきます。先発陣が井川、福原、そして結果は出ていませんが藪までしかゲームを作ることができていないという点、そして、リリーフ陣に昨年ほどの自信が戻ってきていないように感じます。

     采配も難しいですね。首脳陣もいまは自信のある継投ができないというのが現状ではないでしょうか。そうなると一手も二手も後手に回ることになります。先日の土曜、日曜の神宮の試合を球場で応援していたのですが、結構、継投に文句をつけているファンは多かったですね。ただ、やはり選手が答えを出してくれないと、だんだん厳しい采配になるのは仕方ないという気がします。

     そういうファンの采配批判に代表されるように、いまいち調子に乗り切れてこないということで、悲観的になるファンも多いとは思うのですが、個人的には、まだ楽観的です。
     まず大前提として、去年のような独走はもう絶対にありえないということ。これはシーズン前から思っていたことで、去年は本当に全てがうまくいきすぎたシーズンでした。今後、また独走優勝するような可能性も全くないとは言えませんが、可能性としてはかなり低いと認識してもかまわないと思います。
     また、それを踏まえた上で、まだシーズンは始まったばかりだということ。直接の対戦、そして他の試合を見ていても、他のチームにだって決め手があるとは感じられません。もちろん、タイガースにも決め手はないのですが、これだけ投手陣が安定していないにも関わらず5割前後をキープできているというのが、その傍証になるのではないでしょうか。

     そして、タイガース自身の調子がイマイチだという点が、逆に今後への期待に繋がっています。投手陣はもちろんですが、打撃陣にしても、本来の力が出ていないと感じます。シーズンに入ってからは、開幕のジャイアンツ3連戦がピークで、ずっと底にあるようなモヤモヤ感がありますね。だとすれば、これから上昇する機会はいくらでもあるということ。岡田監督のコメントにも、よく「我慢」という単語が出てくることが多くなっているのですが、まさに我慢。この状態で、ズルズルと下がっていくことなく、どれだけ我慢して星をキープしていくか。それは、まだ今の時期に判断できることではないし、逆にこれからの楽しみでもあるはずです。

     と考えれば、現状で一喜一憂、そして結果が出ないことを悲観しても仕方ありません。もちろん、数年前の戦力であれば、少し負けが混んでしまえば、それを跳ね返すだけのパワーはありませんでした。だから、少しでも負けないことを、どんなときも期待しなければいけなかったし、負けが先行した時点で、シーズンを諦めるということがあったことは事実です。
     でも、去年優勝したメンバーがほとんど残っていて、戦力的にも厚みを増している今年に関しては、多少の負けは肥やしにできるだけのものが絶対にあるはずです。

     端的に言ってしまえば、去年は「ただひたすら勝ちを楽しむ」シーズンでした。18年間の辛さを思えば、それも許してもらいましょう。でも、今年に関しては、違った楽しみ方ができるシーズンです。個人的には「産みの苦しみを楽しむ」シーズンと位置づけています。もちろん、連覇は難しいことですし、去年のような独走は難しい。でも、今のメンバーなら、以前のように負け犬状態になることもないはずです。だとすれば、難しい課題に如何にして取り組み、克服していくかという過程を楽しませてくれることは十分に可能なはず。負け試合もその過程と考えれば、以前のただ負けるだけのシーズンとは、明らかに違う感覚で捉えることができます。
     これから、チームがどういう過程で「連覇」を達成するかを、じっくりと楽しませてもらえるのではないか、そういう楽しみ方ができるシーズンになってくれれば嬉しいですね。


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